午前0時の時計塔の推理動線解説とあとがきとテストプレイの記録 ※ネタバレ有
遊んで頂き、ありがとうございました。
以下、作品のネタバレを含みます。
また、影響を受けた作品として、『ラストナイト・イン・ソーホー』(映画)のネタバレも含んでます。
①推理動線解説
②EDタイトルの元ネタ
③テストプレイの記録
全員が嘘をつけるシナリオという事で、混乱が生じたかもしれません。
それは作者の狙いというか、マダミスの面白さのひとつが、「嘘をつくスリル」にあると思うので、嘘をつきまくれるシナリオを作ろうとしました。
推理動線解説
【犯人】三月。本当は、三月(みつき)という女子生徒。被害者の男性(安司先生)に恐喝されており、抵抗の末刺してしまった。
【動線】
22:40 裏門から入って来る、『髪の長い人影』を依が見ている。
22:45 安司先生が機械室にいるのを、双葉が見ている。安司先生には『霊感』が無いので、気づかれない。双葉、一瞬消える。
22:50 三月、先生を刺す。「ぎゃーーっ」という悲鳴を依が聞くが、どこからの悲鳴かは分からない。双葉、三月と先生の背後から現場を目撃する。
22:55 依、時計塔の外で電話に出る。電話の声を聞いた三月は、雑品のブルーシートを被って隠れる。
23:00 依が先生を発見する。三月は髪を切って少年の振りをしようと決める。双葉、最上階に出現する。
【証拠品】
機械室の床 ホコリが積もっている。1箇所、ハサミの形にホコリが無くなっている
⇒凶器の情報。
男性の死体①鋭利な刃物で刺された痕がある
⇒死因の情報。
男性の死体②封筒に入ったお金がポケットに入れられている
⇒先生が三月から受け取ったお金。指紋が付いているので、三月は回収しようと機械室に戻って来た。
螺旋階段 階段の下の『雑品』の中に、長い髪の毛がごっそりとある。
⇒三月が切った髪の毛。
【想定の推理動線】
三月が『髪の長い幽霊』のせいにしようとする
↓
本物の『時計塔の幽霊』である双葉が、正体を隠しながらそれを否定する
↓
決定的な証拠として『螺旋階段』の情報があるが、それが無くても双葉は<三月=髪の長い幽霊>という推測ができる
↓
確白である依を説得し、最多投票を三月にする
【EDについて】
質問① 犯人投票 ※マダミス要素
質問② 幽霊の正体 ※マルチエンディング要素
質問③ 三月が殺人をするか、しないか ※マルチエンディング要素
という構成で分岐させました。
犯人解明+幽霊特定 の時点でGOOD ENDになりますが、三月が“殺人をしない”を選ぶと、依が撮った心霊写真が見られます。
そこは犯人役の方に委ねますが、BEST ENDはED8としました。
ED8の写真 高画質版
【真相とは関係ない裏設定】
双葉の”不思議な力”は、未来予測です。
将来生まれて来る姉の子供(依)を三月から守るため、今日まで学校に囚われていました。
【テーマ】
『マーダーこれからおこるミステリー』
三月が起こす”これから起きるマーダー”を回避するために、正しい選択肢を選ぶ という仕組みをやりたかったシナリオです。
メモを見返したら、最初のメモの日付が2020年12月でした。
≪幽霊の噂がある場所に集まった3人。実はプレイヤーの中に幽霊がいる≫
このアイデア自体はオーソドックスなので、ど~すっぺかな~と考えたら1年経ってました。
【エンドカード】
EDタイトルの元ネタ
ED1:おのぞみの結末
星新一の小説のタイトルから。
ED2:たった一つの冴えたやりかた
ジェイムズ・ティプトリー・Jr.の小説のタイトルから。
ED3:とうに夜半を過ぎて
レイ・ブラッドベリの小説のタイトルから。
ED4:きみはともだち
UNISON SQARE GARDEN(バンド)の曲のタイトルから。
「何も知らないやつにきみの事傷つけられてたまるか」という歌詞から採用。
ED5:いつ果てるとも知れぬ春の日
レイ・ブラッドベリの小説のタイトルから。
ひと昔前のSF小説は、邦訳が美しくて大好きです。
ED6:光のどけき春の日に
UNISON SQARE GARDEN(バンド)の曲のタイトルから。
ED7:桜のあと
UNISON SQARE GARDEN(バンド)の曲のタイトルから。
春の曲が思いつかなくて、とりあえず桜が入っているからこれにするかと選んだのですが、双葉の心に沿った歌詞に聴こえて、選んだのは偶然じゃなかったかもしれないと思いました。
「拾い集めた後悔のかけらたち」
「忘れない 忘れないよ 今も大人になっても だからこの瞬間は楽しませて」
「今 目の前の君が明日を生きれるくらいには ありえない不条理はぶっ蹴飛ばしていけ」
双葉には生きられなかった後悔があるけれど、双葉は大人になる事は無いけれど、プレイヤーがこの物語を楽しんでいる間が双葉にとっての人生です。
そして目の前の依が明日を生きれるように、三月を跳ねのける事が出来たED7にふさわしいタイトルだと、今は思います。
「桜が咲いて散ったその後で何が真実なのかは わかるからfutre melody」
「一斉のせで魔法も使えるよ 君は自由なんだから」
「喜怒哀楽 余すな 全部惜しみもなく」
「言えないまま 飲み込むなんて事はよして」
なんとなく、マーダーミステリーに繋がる歌詞にも見えました。
喜怒哀楽全部出して推理ダメダメなスタイルでもいいじゃない。
感情を飲み込むぐらいなら、自白したっていいじゃない。
我々は自由なのだから、”こうあるべき”とか、足かせをつけないでおくれ。
ED8:春仕舞
ヨルシカ『春泥棒』(曲)の歌詞から。
2021年春、友達がカラオケで歌ってて初めてこの曲を知った。
友達が歌上手いんですけど、泣いた。
2020年末から温めていたこのシナリオの、物語としての方向性が決まった。
幽霊は誰かを待っていた。
この物語は、幽霊が待っていた相手と出会い、そして永遠に会えなくなる物語だ。
YouTubeにある「命を桜に喩えます」という一文がどうしようもなく美しい。
これだけでは悲しいなぁ。
頭の片隅に置いたまま時は流れ、2021年末『ラストナイト・イン・ソーホー』(映画)を観た。
(映像は綺麗で女優さんも可愛いんですけど、ホラー、サスペンス、スリラー要素があるので、血が苦手な人にはお勧めしません。)
映画のネタバレになりますが、この映画で自分が一番カタルシスを感じたのは、過去世界でサンディを救えなかった主人公が、後半に”本当の意味で”サンディを救った事です。
すげぇ・・・と思いましたね。
話の作り方が上手すぎる・・・
でも、サンディ自身が救いを求めていたかは分からないんです。
あくまで、自分が”サンディが可哀そうだ。どうか救って欲しい。”と願っていただけで。
だから、依に託す事にしました。
皆様の卓の依は、双葉を救えたでしょうか。
そして双葉は、依を守れたでしょうか。
テストプレイの記録
1回目、「嘘のヒント」はありませんでした。
終了後にあった方がいいという意見を受けて、キャラシに記載しました。
1回目 (結果:ED3)
●それぞれが来た理由の嘘
三月「OBで、霊感があるもので、先生に相談されて時計塔の調査をしにきた」
双葉「怖い夢を見た」
●証拠品『螺旋階段』をGETした時の嘘
三月「破れたお守りがある。」
●髪の長い幽霊についての嘘
三月「双葉さんが幽霊に乗り移られたのかもしれない。乗り移られて髪が伸びたのかも」
三月「ここの幽霊は、僕の手に負えないほど強力だ」
2回目 ※「嘘のヒント」記載後 (結果:ED5)
●それぞれが来た理由の嘘
三月「実は僕、高校生探偵なんだ。校長先生に頼まれて、ここに出るという幽霊の噂を解決しに来たんだ。誰かのイタズラなら、学校の評判に関わるからね。」
●三月の嘘が止まらない
三月「1-B教室や体育館など見て、最後に時計塔を見に来たんだ。」
三月「1-Bに隠しカメラがあるのを見つけた。安司が怪しいと思う。」
●証拠品の選択
三月「僕、螺旋階段を見てもいいかな」
双葉「機械室を見ようかな」
依「2人とも、死体見ないねぇ探偵なのにねぇ。 死体①②は上半身か下半身って事かな?」
(作者、ミュートで爆笑。)
●依の携帯を切った事に対する嘘
三月「クセになってんだ・・・人の携帯切るの」
●メタ推理で攻める三月
三月「一つの実と、双つの葉・・・か」
依「?」
(依は全く分かっていませんでした。)
●追加キャラシから、三月がハサミを持っている事が分かった双葉 ※「長い髪の毛」はありませんでした。
双葉「そういえば気づいたんだけど、三月って血のにおいがするね」
(目撃した事を隠しつつ怪しいと伝える、素晴らしいプレイだと思いました。)
三月「ハサミ?これは、前の事件の凶器です。」
双葉「・・・1日何件も回るのね!」
(なぜか前向きにとらえる双葉が可愛かったです。)
3回目 (結果:ED7)
●三月が自白し、依がパニックになる。以下、パニックになった依の名言。
依「たぁぁすけてぇぇ」
依「この状況が怖い!殺されちゃうよ!双葉はもう死んでるからいいけど」
双葉「!?」
以上、テストプレイにご参加頂き本当にありがとうございました!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?