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【マダミス】殺意の色は極彩色【作成経緯とテストプレイの記録】

アプリ「ウズ」で配信中のシナリオ『殺意の色は極彩色』のテストプレイの記録です。
ネタバレを含みます。

【作成経緯】

こちらのツイートに色々思う所があったので、自分の中で消化するためにこのシナリオを作りました。

<個人的な考えです>
自分は学生時代、演劇部でした。
役者、舞台監督、たまに脚本作成をしていました。
この方は「役者は普段から"濃厚な物語体験"をしているからマダミスという"薄い物語体験"は刺さらない」と言っているように感じました。
色々な意見があると思います。
議論したかったわけじゃないので、自分は"意見"を"作品"で表現しました。

まず、役者の仕事は、"観客の感情を揺り動かす事"だと自分は考えています。
"その役の人生をただ生きる事"や、"役者自身が物語を楽しむ事"は、役者の仕事ではありません。
その役の人生を通して、観客がスッキリしたり、抱えた悲しみが癒されたり、ハッピーになって貰う事。少し乱暴な言い方をすれば、スッキリさせる事、悲しみを癒させる事、ハッピーにさせる事。これが役者の仕事であり、テクニックが必要な技術であり、"演じる技"と言う。
流石に学生時代にここまで考えていたわけではありませんが。笑

マダミスの話。
マダミスという新しい遊びは衝撃的でした。
『殺人事件が起きる。プレイヤーの中にいる犯人を当てる。』
構造としては2言で終わりますよね。
シンプルで美しいと思いました。
『一度きりしか遊べない』
この緊張感も魅力のひとつでした。
そして、ミステリー映画やドラマなどとは決定的に違う点があります。
例を"舞台"とすると、"観客"と"役者"がイコールなんです。
物語を"受け取るだけの人"はマダミスには不在です。(配信の話はややこしくなるから置いときますね。)

物語を"受け取る人"に、感情を揺り動かさせるためには技術が必要です。
繰り返しになりますが、その技を磨くのが役者の仕事だと自分は考えます。
映画やドラマを見て「面白い」と思えるのは、役者にその技術があるからです。
技術が無ければ、全ての映画やドラマはドキュメンタリーと呼び名が変わるだろうね。

観客=役者なのだから、そこに技術は不必要です。
それが画期的だと感じました。
逆に、シナリオの力が強くないと、マダミスは面白くないだろうなと考え始めました。
(本シナリオを作成開始した当時の話です。たくさんの作家さんと話すうち、"ゲーム性"も重要なファクターだと感じ始めました。これも色々な意見があると思います。マダミスには色んな要素があって、何に重きを置くかがシナリオの個性になると考えています。ここでは一旦、"ゲーム性"の話は置いておきますね。)

このシナリオは、推理に重きを置けば面白いゲームになるし、RPに重きを置けば素晴らしい物語の脚本になりうる、そういうタフさを持ったシナリオにしたつもりです。
だからこそ、観客=役者という構造を理解し、第三者目線を持ってマダミスをプレイする事のできる役者(演劇関係者)の方々にやって欲しいという願いを込めています。

そうそう、マダミスの面白さはもう1つありました。
プレイヤーによって違う物語が展開され、同じ物語は存在しないという点です。
TRPGも同じですね。とても魅力的です。
だからこそ、違う卓の物語を見たいと思うし、配信してくれる方々は作者としてもプレイヤーとしてもありがたいです。
仮にですけど、役者がマダミス配信をするとして。
ミステリー解決のために推理したり議論して貰うのはもちろんなのですが、"ゲームを楽しむ"のがメインではなく。
役になり切り、役のまま真相へ近づいていく物語を紡いでくれれば。
そしてそこに、視聴者の感情を揺り動かす"演技"が伴っていれば。
それはマダミスというゲームかつ、ミステリードラマになれると思っている。
そこではきっと見た事も無いような感動が生まれると、自分は信じている。

現在演劇界にいるわけじゃないから実情は分からないけど、演劇関係者に刺さらないのはまあ、人によるんじゃないんですかね。
「役者自身も結末を知らない」物語を、即興劇(エチュード)で演じるわけですから、苦手な人もいるんじゃないかなあ。


【テストプレイの記録】

●1回目 1/13  投票結果:メモ無 おそらく木戸
「白亜をこの人にやって貰いたい」というイメージがあった、とある作家さんにやって貰えた。
※白亜のキャラが固まっていたのではなく、この作家が白亜をやってくれたらトンデモナイキャラになりそうだなーという期待でした。
デュフデュフ言ってるダウナー系だった。予想の斜め上。でもなぜかめちゃくちゃ推理してくれた。名探偵デュフ白亜の誕生。
「骨格標本家を目指してまして・・・」

4人にお互いの目撃証言が無く、会話のとっかかりが無かったので、不親切な作りにしてしまったと反省。
葵が完全に隠れる事ができた。

●2回目 1/16  投票結果:メモ無
葵役だったとある作家さんが無双した回。
密談に行きまくり、その狙いを感想戦で訊ねた所、「密談をして、情報を分散させたままにするためです。」との事。つよい。
プレイ開始時の木戸が鋭く、「被害者が一番犯人ぽい」という発言に作者はヒヤリとしました。
木戸役の方は見た目から、木戸を東〇リベンジャーズのキャラとして作り込んでくれたそうですw喋り方とかちょいワルで良かったです!
でも途中から「白亜さんが相間(恒)の殺しの師匠では・・・?」「(白亜を)師匠!」と呼び始め、ワルキャラ?となってしまったのが面白かったです。
白亜の自宅の刃物類の情報を見た時は「ははは白亜さんナイッフ~!スタッフ~!みたいになったけど」てセルフツッコミしてたのがとてもワルとは思えなくて良かったです。
木戸は白亜を犯人と疑っており、ペンキの理由を「俺の真っ白な髪にアートをっていうサイコパス野郎かもしれない」と言っていたのが良い発想だなぁと思いました。系統としては合ってるんですよね。証拠を隠したいという理由ではなかったので。

葵役の方が、『現場写真』のイラストの刃物の向きが逆だと指摘してくれたのも印象深かったです。
イラストもヒントの一つなので、文章以外にイラストの矛盾点を指摘して下さるのはとても嬉しかったです。
もう一個言っちゃうと、後日テキストで感想や指摘事項を送って下さったのが凄く嬉しかったです。
指摘事項を拝見した際に自分の力量の足りなさを感じ、1本練習で別のシナリオを作成する事にしました。次のテスプまで2か月空きます。

●3回目 3/30  投票結果:母親
ビッグネーム作家さんが参加してくださり、ビビった回。
白亜をやってくださったが、さすがに鋭く狂気名探偵・白亜が爆誕。
白亜が主導権を握る。
曜の「母には殺意があったので、どうやったか分からないけど母だと思う。」という発言により、全員が真面目に母親エンドを選択。
戸惑いながらギャグエンドをこなして下さって、作者はミュートで爆笑してしまいました。

経験値高めの皆さんのおかげで、証拠品や目撃証言の増、白亜キャラシの危険性(残酷描写に対する注意書きが必要)など、ゲーム性部分の改善点をたくさん見つけて頂きました。
ストーリー部分はこれ以上変える必要は無さそうだなぁと、一歩進んだ感じがしました。

●4回目 4/9  投票結果:葵
またしても白亜をとある作家さんがやってくださる。

白亜「やたら目つきの悪い男がネコちゃんを触ってて羨ましかったんですよね」
木戸「目つき?オイ、言って良い事と悪い事があるぞ」
白亜「ギャップがラブリーだって言ってるんだ・・・ゾッ」
ここからみんなが木戸を「ラブリーさん」と呼び始める。
「赤い人」とか「ラブリー」とか色々呼ばれた木戸が、「赤い人でもラブリーでも変わんねえよ!」と漢気を見せ「ラブリー」に統一された。
白亜はムードメーカーでありつつ、「このタッパーの中身、な~んだ」と取調室にタッパーを持って来ているという狂気ムーブをかましたり、「粘着質な液体の音がして、怖く・・・怖いって言っちゃったな。恥ずかしい。」と可愛い部分を見せたり、加点ポイント発表時に「ラスカル!!」と自信満々に言ったり、魅力的なキャラクターに仕上がってて聞いてて楽しかったです。

曜をマダミス猛者のプレイヤーさんがやってくださり、名探偵ぶりを大発揮。
真相についてはほとんど、自分の情報から読み取り、不足情報は木戸が握っている1つだけという鋭さ。
「おそらく、兄さんが心を赦していたのはこの青い人だけだと思うんです。」
RPなのか、冷静に推理しているのか判断出来ませんでしたが、常に淡々としていて胸が痛くなりました。この方は本当に上手いです。
「母さんが、兄さんに暴力を振るっていて。それが嫌で兄さんは家出したと思っていたので。」
「更に言えば、兄さんが出て行ってから、僕も殴られ始めました。」
恒の文集(ポエム)を読み始めた時も淡々としていました。作者は恥ずかしくて読まないで欲しかったです。
文集(ポエム)内容を知った白亜が色彩に関する障害を疑い、曜に「てっきりキミも、モノクロの世界で生きてるのかと思った。」と発言した時は震えました。なんて良いセリフなんだ。

大変申し訳ない事に、葵役の方はマダミス初心者でした。
難しい犯人役をやらせてしまい、申し訳なかったです。
でも感想戦で「楽しかったです」と色々感想を述べてくれたり、「葵はこう思ってると思う」とキャラシの改善点も上げてくれて、嬉しかったです。
このテスプはパワーバランスが偏ってしまったので、"葵が楽しめたかどうか"がミソになると思いました。とりあえず、良かったです。

プレイヤー事情を抜いても、曜に有利になってしまったので、バランスを変える事にしました。完成が近い事を感じる。

●5回目(最終)  5/8  投票結果:葵
4回目は早い段階で真相に辿り着いたので、"時間いっぱい使ってやっと真相に辿り着ける"というレベルに調整。これが上手くいっているかの確認。

葵と曜がバチバチにやり合うという、作者想定の流れに5回目で初めてなる。笑
今回も葵役の方はマダミス初心者で申し訳ないなーと思ったのですが、恒との約束を守ろうと必死なのが凄く伝わってきました。端的に言えば怖かったのですが、初心者とは思えない病みRPぶりに感動しました。

葵がピルケースの話を自ら話したので、『休憩時間』の密談は使われませんでした。
追加議論もせず、全員が黙っている『休憩時間』は初めてでした。

後半議論は葵が苦しくなる一方で申し訳なかったです・・・
白亜「これが他為傷という事であれば、本人ではなく、誰かが刺したって事ですよね?」
白亜「志貴さん、彼は一生懸命生きようとしていたって言ってましたけど、割と自殺の本とかも借りてるんですね。そういう話はしなかったんですか?」
葵「恒くんがなんで死なないかって言ったら、わたしと一緒に死のうって言ってくれたんだもの。辛くなったら一緒に死のうって」
立場的には疑われて苦しいと思うんですけど、このセリフが出た時は感動しました。嘘ではあるのですが、葵に感情移入してくれたからこういう嘘が言えたんじゃないかと、勝手に感動していました。
曜「なんでそんな事を兄さんが・・」
葵「アンタに関係ないわよ」
木戸「ケンカしないの~もう~」
その後すぐ曜とバチってて面白かったです笑

手紙に触れてくれたのも、今回が初めてで嬉しかったです。
木戸「手紙のやり取りって誰かしてました?金曜日に手紙を書いている相間を見たんですよ。」
白亜「机の上のメモやペンから指紋が検出されているみたいですしね。」
木戸「誰か貰ってない?」
白亜「僕は無いです。」
曜「僕も。」
葵「私も。」
曜「アナタ(木戸)宛・・・?」
葵「アナタが貰ったら、怖いわ。」wwww
木戸「曜くんには」
曜「あり得ないですね。」
葵「なんだろう。欲しいわ。その手紙。」
曜「(笑顔なのは)今日で終われると思ったからじゃないですか?このままだったら、俺と母さんの家に連れ戻される。それが無いから。」
曜の解釈は真相ではないんだけど、曜っぽいクールさがあって好きでした。

葵が初心者、木戸と曜が作者さんというまたしてもパワーバランスが偏ってしまって申し訳なかった回。
しかし後半議論の後半で推理が固まったという印象だったし、全てにおいて作者想定通りに(初めて)進んでくれたので、プレイヤーの皆さんから「完成で大丈夫」と言って頂けた。
一番嬉しかったのは、「毎回想定通りにならず、主導権を握る人が違ったり話が毎回違ってしまった。」と相談した際、作者の方から「それは良い事ですよ!毎回想定通りじゃないという事は、動線がたくさんあるという事です。その方がやってて楽しいと思います。」と言って頂けた事です。とても自信がつきました。

以上です。ご協力頂いた皆様、ありがとうございました!
また何か作ったら、ご協力頂けると嬉しいです。

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