デジタルトランスフォーメーションには必然性が必要だ。
新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに在宅勤務などの柔軟な働き方が広がり始めた。感染抑制に向けた「新しい日常」の中で定着する可能性もある。一方、情報流出対策や成果重視の人事制度導入などが課題として表面化。日本社会・企業で、デジタル技術で既存制度を変革するデジタルトランスフォーメーション(DX)と合わせ、働き方改革が進むのかが注視される。
◯企業・個人、新たな動き
「DX企業のモデルになる」。富士通の平松浩樹・執行役員常務は語る。同社はITを活用した職場外からのテレワークを推奨。徹底するため、通勤定期券代の支給をやめ、出社の際の交通費は実費精算に変えた。自社の働き方改革で分かった課題を分析し、顧客企業向けのサービスに反映させる戦略も思い描く。
日立製作所や東芝も在宅勤務を進めている。トヨタ自動車は9月から在宅の対象を全事務職や一部の開発担当などに拡大する。いずれも感染防止策の形を取りつつ、社員の自由度を高め、生産性向上につなげることを重要な狙いと位置付ける。
企業の改革とともに、個人の間でも新たな働き方を探る動きが広がった。東京在住の藤崎勝雄さん(32)は1月、新型コロナもきっかけに広告代理店を退社。副業だったウェブ営業を中心に独立した。「デジタル分野で複数の収入を得られれば、会社からだけの収入よりも安定する」と自信を見せる。
在宅勤務で通勤時間が不要になったことなどもあり、副業への関心は高い。ITを活用した仕事を仲介するクラウドワークスは「3~4月に副業希望者が増えた」とみる。IT、サービス業界だけではなく、メーカーや金融機関でも社員の副業を認める動きが目立ってきた。
◯変革拒めば衰退
コロナ禍で注視されるDXと働き方改革は、「経済成長を上振れさせる重要なカギ」(経済産業省幹部)。ただ、中小企業などにとって変革の負担は軽くない。東京商工リサーチが14日に発表した調査では「感染拡大でテレワークを導入したが、既に取りやめた」とする企業が26%に上った。情報管理や人事評価が難しく、社員が慣れなかったことなどが背景にある。
国際的に見ても「DX推進の大きな壁は企業の文化と行動様式」(米マッキンゼー・アンド・カンパニー)とされる。ITサービス普及が遅れ、ファクスを多用する日本は「いまやIT後進国」(経産省幹部)。こうした日本で変革を進めるのは容易ではない。だが、経営共創基盤(東京)の冨山和彦代表はコロナ禍で、喫煙室や飲み会での根回しで物事を決める「昭和経営モデル」が「一気に壊れる」と断言。「日本企業はコロナ後を見据えて仕事の仕方や人事評価を改革できなければ、急速に衰退していく」と警告する。
◯中国の電子マネーが発展し、日本ではあまり浸透しない理由
電子マネーの浸透には、コンビニが大きく関わっている。日本にはコンビニがそこら中にあり、治安もいいため、ATMがいつでも使える。しかし、中国にはそこまでコンビニは浸透しておらず(国土が広いという理由もあると思うが…)、現金の引き出しに苦労していた。また、実は中国ではPCの浸透が他の先進国に比べて遅かった。そのため、スマホで全てを完結させるという流れが必然的に出来上がっていった。これらの理由により、スマホで電子マネーを使うという文化が醸成されていった。このように必然性がなければ、物事を大きく動かすことはできないのである。上記の通り、「DX推進の大きな壁は企業の文化と行動様式」というが、それを変えるにはもっと必然性が必要なのだ。
そして、その必然性は今回のコロナ禍となりうるのか?答えはまだわからないが、「感染拡大でテレワークを導入したが、既に取りやめた」とする企業が26%に上ったことは事実だ。
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