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ピンタレストが大規模オフィス賃貸計画を破棄。在宅勤務シフトが進むシリコンバレーのオフィス事情

写真共有サービス大手のピンタレストがシリコンバレーの大規模オフィス賃貸計画を破棄したというニュース。コロナウイルスの影響を受け、ツイッターをはじめ、大手テック企業の一部ではリモートワークへの永続的、ないしは長期的な移行が話題となっている。

サンフランシスコ・ベイエリア(=シリコンバレー)に本拠を置く写真共有サービス大手のピンタレストが、同市に新たに建設予定であった大規模オフィスの賃貸計画を破棄することを発表した。

ピンタレストが今回契約を取り下げたのは、100万平方フィートの大規模プロジェクト「88 Bluxome」における49万平方フィート分の賃貸オフィスだ。契約破棄に伴うピンタレスト側のキャンセル料は8,950万ドル(約93億円)に及ぶ。予定されていた賃料は4.4億ドル(約458億円)だった。

◯オフィス以外に帰属するもの
 オフィスの立地やビルの大きさなど見栄えや利便性といった労働環境の重要性がますます低下しているのだろう。では、何が代わりなるのか?私が思う従業員の帰属するものは、企業の理念、商品やサービスへの共感、トップの求心力、仕事のやりがい・楽しさなどの精神的なものへ移行していくと思う。従業員になぜこの企業で働くのか?という意味を提供し、市場からもその意味を認められた企業が強いのだろう。オフィスビルの素晴らしさでは、従業員も市場も振り向いてくれない時代だ。

◯ピンタレストの決断
 今回のピンタレストの決断には、賞賛が集まっている。オフィス賃料は不要かつ無駄であり、従業員を通勤させることにも今の世論的には賛同を得られないだろう。すべてを総合して鑑みた場合、キャンセル料を素直に払った方がメリットが大きい。キャンセル料が大きな金額であればある程、世論からの賛辞も大きくなる。「従業員を大切にしている企業」というイメージがキャンセル料の対価として得られるのだ。

実は、この容易ではない決断は、上記で述べた従業員がオフィスの代替として帰属するものに直結してくる。それは、企業の理念であり、世間からのイメージだ。「勇気ある決断をしよう」「従業員を大切にする」「物事を時代にあわせて柔軟に発想しよう」「古くからの慣習にとらわれない」などこんなイメージを従業員はもとより、世間にも定着させる効果があると思う。

とくにピンタレストの場合、単なる写真共有サービスではなく、小物・アパレルのプラットフォームとしての地位を確立していきたいのではないかと思う。つまり、インスタやツイッターとは一線をかくした、ソーシャルメディアというよりもEコマースを軸足としたい。アマゾンと戦うためには、アマゾンの逆張らないといけないのだ。

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