あのサングラスはカモフラージュだったのかも、と今は思う
あの人が私の隣ってことないよね?
オーストラリアのパース発、ゴールドコースト行きの飛行機。
私の3倍はありそうながっしりした体格。
いかつい髭&サングラス&むき出しの二の腕にタトゥーびっしりの彼は、
当然のように私の横に座った。
幸先、という言葉が頭をよぎる。
その上、何故かシートベルトが閉まらない。
今にも離陸しそうな雰囲気に若干焦ってると
隣の人があっさりとはめてくれた。
あ、どうも、と隣人に会釈する。
すると今度は前席に取り付けられた機内用テーブルが出てこない。
またもや横からスッと手が伸びカタっと一発でテーブルが降りる。
あ、どうもすいません、と思わず敬語で言いそうになりながらサンキューと頭をさげる。
すいません、見た目にビビってました。
実は優しいバイカーの人。
あの、私パートナーの所に帰る途中なんです。
3週間前に別れたんですけど。
もどってきてほしいって。
だから、もどります。
ありがとう。
あなたも、いい旅を。