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【ゲーム感想】Nintendo Switch用ソフト『ゼルダの伝説 ティアーズオブキングダム』

阿瀬ままれと申します。

相変わらずでけえマップだった。

昨日、ようやくティアーズオブキングダム(以下、ティアキン)をクリアできました。
約250時間ほどプレイし、達成率は画像の右下にある通り70%未満。
結構歩き回ったつもりだったんですけど、このゲームはしゃぶればまだまだ味が出るようです。

数か月間ほどティアキンに時間を費やしたのもあり、これは感想をぜひとも記事か何かにまとめたいなと思い、僭越ながら筆を取らせていただきました。
主観の感想が多めになるかと思いますので、ご了承くださいませ。


1.どんなゲーム?

『ゼルダの伝説 ティアーズオブキングダム』は、2023年5月12日に任天堂より発売された、ゼルダの伝説シリーズの新作です。
天変地異に見舞われた広大な世界ハイラルを舞台に、勇者リンクとなって冒険するアクションゲームです。

ティアキンは、2017年に発売された『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』の続編になります。
見渡す限りどこへだって行ける広大さと自由さが好評を博し、同年のゲームオブザイヤーでは、最も権威のあるとされる4つの賞を総取りしました。
この快挙を成し遂げたのは、ブレスオブザワイルドを含め、現時点で3作品のみです。

そんなブレスオブザワイルドの続編として発売されたティアキンですが、今作は前作と並ぶか上回るほどの出来になっているのか?
また、ティアキンをプレイするうえで前作をプレイする必要はあるのか?
その辺を交えながら、以下に綴っていけたらなと思っています。

2.前作との繋がり及びプレイする必要性

キングダムハーツシリーズなんかが良い例ですが、前作をプレイしないと話がほとんど理解できない……みたいなことがティアキンにも起こり得ないだろうかと懸念しているかたが少なからずいらっしゃるかもしれません。

一通りプレイしたうえで言わせてもらうと、個人的には前作をプレイする必要はないように思いました。

ティアキンのゲーム内にあるキャラクター紹介で、仲間キャラクターに対して「かつて共闘した~」などと記されているように、ストーリー上の繋がりは確かに存在するものの、それを前提としたストーリー展開はティアキンで一切起こりません。
全ての起承転結はティアキンのみで起こり、全てがティアキンで収束します。

むしろ、後にも綴るのですが、前作に存在したものが今作になって全く登場しなくなったことに違和感すら覚えました。
これはほかの人たちも指摘しているのですが、ガーディアンを始めとするシーカー族の古代文明が主です。

こんなやついましたよね?

ガーディアンたちがいなくなったどころか、なぜいなくなったのかといった理由の説明もティアキンにはありません。
違和感はありますが、裏を返せば前作を知らなくても理解できるストーリーであるということにもなりますので、初見のかたは前作との結びつきについてはそこまで気にしなくていいかなと感じます。

前作をやったらやったで、前作に登場したキャラクターたちがティアキンに再登場して、愛着も自然と湧いてくるようになるかと思います。
地形も前作とほとんど同じなので、ちょっとした変化を見つける楽しみも生まれます。
しかしながら、ただでさえ膨大なボリュームだった前作をクリアしてからティアキンを始めようとすると、絶対に息切れを起こすと思いますので……。
個人的には実況動画などを視聴して前作のストーリーを復習しつつ、ティアキンを楽しむのが無難かなって感じます。

3.面白かったところ

今作は空も飛べるし、だだっ広い地底だってある。

広大な世界を駆け回る、オープンワールドならではの自由さはティアキンでも健在です。
さらにティアキンでは、地上の世界のみならず、空に浮遊している島や、地上の大穴を通じて広がる地底などもあり、それらも自由に探索することができます。
いやほんと、Nintendo Switchの性能でよくここまで作り上げられるなと。

ウルトラハンドを使った物作り。

ティアキンでは、前作に代わって4つの能力を使えるようになりました。
物同士をくっつけたり離したりできる「ウルトラハンド」。
武器や盾にアイテムをくっつける「スクラビルド」。
天井を突き抜けて移動できる「トーレループ」。
物体の時間を巻き戻す「モドレコ」。
これら4つの能力は非常に使い勝手がよく、謎解きのみならず気ままに探索しているときにもかなりお世話になります。
使い勝手を抜きにしても、「ウルトラハンド」による物作りは非常に自由度が高く、発想力次第で無限に作れてしまうのですごく楽しい。

気球を使って浮遊。

今作では「ゾナウギア」という多種多様なアイテムが追加されました。
翼のある乗り物、風を起こす扇風機、熱を受けて浮かび上がる気球、起動すると回転を続けるタイヤ、前方に火炎放射やビームを放つ兵器など、その数は20種類以上。
これらを前述の「ウルトラハンド」で工作し、より便利な道具を作り上げるわけです。
敵を自動で追いかける大砲だったり、空を自由に飛べる乗り物だったり……いろんなものを作ることができます。

新要素はほかにもありますが、ティアキンの目玉となる部分はこのあたりかなと感じます。
これらの登場により、前作よりも遥かに高い自由度でオープンワールドを堪能できるようになったのが、何より面白かったです。

4.良かったところ

まず最初に、メニューのUIがリニューアルされていたのですが、前作よりも使いやすくなっていたので良かったです。

ティアキンのメニュー画面。
アイテム欄は左スティックと右スティックで選択し、タブ欄はLボタンとRボタンで選択します。
前作ではアイテム選択とタブ選択の操作が共有されていたので、
左端から右端に到達するのに少しばかり時間がかかっていました。

画像のとおり、ティアキンではタブ選択の操作がアイテム選択の操作と切り離されたので、選択がスムーズになりました。
こういうちょっとした改善もありがたいですね。

マリオストーリーでもこういうのあったらなあ。

一度作った料理あるいは宝箱などから手に入れた料理は、メニュー内にある料理メモを開くことで、いつでも作りかたを確認できるようになりました。
「この料理どうやって作るんだっけ」「これすごい有用なんだけどどうやって作るんだろう」といった疑問が、この料理メモを開くことですぐ解決します。
素材を消費して料理するというシステムは、過去の別作品にもあったのですが、手に入れただけでレシピを知れるほどの太っ腹仕様はなかなかないと思います。

前作との繋がりがあるキャラクターも、ここで知ることができます。

人物名鑑を閲覧できるようになりました。
こちらと「過去の記憶」なるムービーを見れば、ティアキンのストーリーや登場キャラクターの詳細をおおよそ把握・復習できます。
本作はストーリーがかなり凝っていますので、その分こういう親切設計へのありがたみが増します。

火炎の実を投げると発熱する。

個人的に嬉しかったのが、アイテムを投げる操作が可能になったこと。
例えば、前作で火起こしをする際は、火打ち石を金属で叩くか、火属性のスライムみたいな魔物から取れる素材を置いて衝撃を加えるか、火属性の武器を使用するかのいずれかでした。
しかしながら、火打ち石はそこまで手軽に集まるわけではないし、魔物素材は下手すると被弾するから着火が面倒だし、火属性の武器は消耗品だからもったいないしで、少しばかり不便だったわけです。

それが今作では、メニューを開くことなく素材を選択し、手軽に投げることができます。
加えて、画像の火起こしに使用する実は比較的簡単に入手できるので、まめに集めていれば枯渇することはほとんどありません。
もったいない精神が働きがちな自分にとって、贅沢にアイテムを使いやすくなった本作では冒険をより一層楽しむことができました。

前作はこんなことできなかった。

前述したゾナウギアの登場により、移動がものすごく快適になりました。
前作での移動と言えば、馬やバイグ(DLC購入により入手)に乗るとか、風船みたいな素材を使って浮くとかしかなかったのですが、今作ではゾナウギアとウルトラハンドの組み合わせにより、いろんな乗り物を作ることができます。
崖をよじ登らずに越えたり、空を自由に飛んだり、そういった自由度の高さがオープンワールドを遊ぶうえでストレスフリーに繋がりました。ゾナウギアを消費するので、無限に作れるわけではないんですけどね。

ティアキンは伏線とエモさが盛りだくさん。

ストーリーが非常に良かったです。
個人的にゼルダシリーズのストーリーはトワイライトプリンセスが一番好きだったのですが、ティアキンはそれと同じくらい好みなストーリーでした。

伏線の張りかたや演出が上手かったです。
今作も前作と同様、冒険をしながら過去の出来事などといったストーリーを把握していくようになっているのですが、重大な出来事が起こる(というより知る)前のムービーなどでも、その伏線が散りばめられています。
画像の冒頭シーンでは、たいまつを持っていたゼルダが奈落に落ちてしまうのですが、ゲーム内で落ちた先を訪れると、たいまつがアイテムとして転がっていたりします。
そういった細かな憎い演出が本作はたくさんあります。

ネタバレを避けて話すのですが、ストーリー後半ではエモさが大爆発します。
冒頭のシーンや、道中で知る過去の出来事をプレイヤーにあらかじめ見せつつ、終盤にかけてそれらの構図をなぞる演出が多かったので、胸に来るものがありました。
ここぞの場面で、過去シリーズでお馴染みのBGMをオーケストラ調で流したりしてくるので、そこでまた目尻が熱くなったりします。

あと、BGMについては、新規で作られたものも非常にかっこよかったです。
個人的にブリザゲイラ戦が一番好きで、何度もYouTubeでリピート再生しました。

5.残念なところ

続編であるからこその欠点なのですが、本作では前作ブレスオブザワイルドほどの衝撃を受けなかったように思います。

本作の目玉のひとつである空と地底の冒険なのですが、空のほうはほとんどが地上での冒険の延長上で向かうもので、そこまで密度が濃くありません。
空で手に入るアイテムも、片方は正直なくても問題ないアイテム、もう片方は貴重品ながらそこまで有用でないアイテムなので、それを知った途端モチベーションが薄れてしまいました。
後者は詳しく言わないのですが、効果を強化するとか、クールタイムを短くするとかだったら嬉しかったのになあ……なんて思ったり。

地底のほうは地上と同じくらい広いのですが、雪原や砂漠などといったバリエーションに富む地上と比べ、地底は景色がほとんど代わり映えしません。
こちらで手に入るアイテムも、大半が有用なものではなくコレクター向けのものであるため、興味がない場合はそこまで集める気にならないと思います。
僕の場合、地底は爆弾と煙玉になりうる素材、ゾナウギアを動かすために使用するバッテリーの拡張素材を集めるためだけに探索し、集めきった後はマップ埋めと武器回収以外の目的で地底に行かなくなってしまいました。

ウルトラハンドでの工作は楽しいし、ゾナウギアのおかげで便利にもなったけど、前作で受けた衝撃は新要素の空・地底にはなかったなという印象です。

便利すぎるんだこれ。

ゼルダシリーズではお馴染みの謎解きなのですが、今作では謎解きの大半がウルトラハンドを使ったものでした。
ゾナウギアは多種多様であるものの、操作というかやっていることはウルトラハンドでずっとぺたぺたしているだけなので、そこに飽きが来る人も少なからずいるかもしれません。
謎解き自体はバリエーションに富んでいたので、個人的には最後まで楽しく遊ばせてもらいました。

ケチなんでやりたくないです。

収集要素のひとつであるコログの実ですが、それを集める際に攻略するギミックの一部が個人的にきつかった。
一例なのですが、画像の栓と栓が鎖で繋がったギミック、この場合は辺りの水をうまく利用すればアイテムを消耗せずにクリアできるのですが、時にはゾナウギアを使って攻略する必要があったりします。
つまり、おまけレベルの要素でありながら、中盤以降にならないと集まらないゾナウギアを消耗させようとしているのです。
ほかにも弓矢を消耗させるギミックはあるものの、こちらは手軽に集めることができるので、そこまで抵抗感は覚えません。しかし、この栓抜きギミックはゾナウギアを使いたくない気持ちが勝ってしまい、放置することがしばしばありました。
アイディアはいいものの、こういったギミックは進行度を考慮し、序盤の拠点から離れた場所に配置すべきではないかと感じました。

友達なんて知らないなァ

もっと不満だったのがこちら。コログという妖精みたいなキャラクターを指定した場所に運ぶギミック。
大抵は指定場所がかなり遠く、場合によっては目的地から大きく離れてしまうこともあります。クリアした後も元の場所に戻してもらうことはないため、自分の足で往復する必要があるわけです。
また、コログを運ぶ際はゾナウギアを使用するのですが、時には道端に利用できるゾナウギアが落ちておらず、先ほどと同様に自分で消耗する必要があったりします。
こういうものは、道中でさくっと完了できるからこそモチベーションが維持できるものと思うわけですが、その点でいえばこのコログ運びはかなり嫌だったなあと感じます。
最初こそ生真面目にクリアしていたものの、途中からめんどくさい気持ちが勝って無視することが多くなってしまいました。

あとは、前作で扱われていたシーカー族の古代文明ですね。
がっつりストーリーに関わっていたのに、今作になってまるで存在しなかったかのように振る舞われるわけですから、違和感は拭えません。
今作ではシーカー族に代わってゾナウ族なる者が登場するわけですが、それをシーカー族で統一すれば多少は辻褄が合っていたかもしれません。
あるいは、ゾナウ族自体が高尚な存在なので、ブレスオブザワイルドとは別物、すなわちパラレルワールドとして扱うのも選択肢としてありだったように思います。

個人的な不満点はこんなところでしょうか。
ほかにも敵キャラクターのバリエーションがあまり富んでいないという指摘もあるようでしたが、それはあくまでブレスオブザワイルドの続編なので、仕方ないと言えば仕方ないと思います。

6.総評

結論ですが、5段階評価だと5つ星は普通にあるクオリティーだと思います。
オープンワールドの楽しさはそのままに、移動面やUIも改善され、前作よりも快適に遊べるゲームです。
それに加えてストーリーも演出もBGMもすごいと来たもんだから、間違いなく人に勧められるゲームだと考えます。
しかしながら、目ざとく見てみると所々で惜しいところがあり、決してパーフェクトなゲームとは言い切れないところがあるようにも感じました。

あと、このゲームはすごい部分が盛りだくさんなのですが、密度が濃すぎるがゆえに、あまりゲームを遊ばない人たちには勧めづらいゲームなのかなとも感じました。
前作もそうでしたが、対策や攻略法を考えていないと、その辺の雑魚敵にすらワンパンされてしまう難易度ですから。
普段はモンストやツムツムのようなサクッと遊べるゲームをやっていて、じっくり遊ぶタイプのゲームはやらないという人には、今作もといゼルダは向かないかなと思います。

僕はマリオシリーズほどではないけど、ゼルダシリーズも子供のころからそれなりに親しんできたのですが、それでもなお心打たれるほどの面白さと感動を本作はもたらしてくれました。
今さらこんな風に勧めるのも遅すぎるのですが、壮大な冒険をしてみたい、じっくりと腰を据えてゲームをやってみたいというかたは、ぜひティアキンを遊んでみてください。

では、ここまでお読みくださりありがとうございました。

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