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経済的自由を目指すなら、複利をあまり過信しない方が良いのかも?
複利の力を過信しない。
資産形成を目指すなら、「複利の力」を利用するべきだとよく言われる。
確かに複利の力はすごい。何十年か先に大きな資産を手に入れているためには、複利を利用することは必要なことだと思う。
複利については、アインシュタインの「複利は人類にとって最大の発見だ。知っている者は複利で稼ぎ、知らない者は利息を払う」という名言が有名です。
他にも、ウォーレンバフェットといった多くの著名投資家たちも、複利の力の大切さを説いています。
でも、「複利で資産が増えた」というのは、実際に資産が増えた後に実感するものであって、この今の時点で、「複利のメリットを受けている」と思えるようになることは、なかなか難しいことだと感じています。
「複利で運用すればすごいことになる。」
確かにその通り。だけど、今まさに資産を形成をしようと思っている人は違う考え方をした方が良いのかもしれないと思っています。
「複利で運用する」というイメージよりも、「一円でも多くのお金を投資に回せるようにする」というイメージ。
おそらくこっちの考え方の方が、最終的にいい結果が得られることになる気がしています。
複利を考える必要がない理由。
複利で運用する方法は、利益を消費に使わず、再投資することです。
利益を再投資することで、利益がさらに利益を生み出すようになり、利益が倍々で増えていくようになる。
考え方としては、とても単純な話です。
しかし、簡単なことのようなのに、実際に複利で運用しようと考えていても、なかなかそのイメージの通りには行きません。
なぜなら、資産運用の多くの場面で、複利で増えていくリターンよりも、資産価格が変動する変動率の方が大きいからです。
時に「複利で運用しているはずなのに、全然増えていない。」と感じることもあるものです。
複利でお金が増えていくイメージというのは、投資資産の『価格変動がない投資』ならば、複利のイメージと運用のパフォーマンスが一致するようになるものですが。
実際に私たちが投資している投資先でもある、株式や投資信託といった資産のほとんどが、価格変動の影響を受けています。
つまり、私たちが行おうとしている投資や資産運用では、複利運用なんてイメージしても、ほとんどその通りにはならないという事です。
後から思えば、確かに複利は大切なことは間違いありません。
しかし、実際の運用においては、「複利のイメージをもって運用することはやめた方が良いかもしれない」ぐらいに思っています。
あまりイメージが先行しすぎると、結果的に全くその通りにならなかった時に、人間はやる気を失いやすくなったりするものです。
投資では、継続することが何よりも大切です。
そして複利の力というのは、その継続したことの結果でしかありません。
複利の効果はすごく時間がかかる
複利のことを考えるよりも、今投資できるお金を一円でも増やすことを考えることの方が、資産形成には向いている理由として。
複利の効果が実感できるようになるまでには、かなり時間がかかるという点も挙げられます。
私自身、複利の効果もあったのかもと思えるようになったのは、投資を始めてから10年ぐらい過ぎてからだと思います。
それまでの間、自分の資産が複利で増えているなんて感じたことは一度たりともありませんでした。
投資の資産額が増えるようになってきてから、「これはもしかすると複利の効果もあったということなのかな」と、なんとなく感じるようになったという感じです。
実際に複利の効果を実感したタイミングというのは。
今、世界的な金融市場の大暴落があったとしても、その時に受けることになるだろう予想の損失が、「おそらく今までの投資で得た利益の範囲内に納まるだろうな」と思えるようになった時。
そして、配当金などのインカムゲインに対して、引き出して消費に使いたいという必要がなくなってきて、そのインカムゲインが積み上がり始めたという感覚が出てきた時です。
ただそうなるまでには、おそらく十年単位の時間がかかる。
例えば、金融市場の大暴落で資産が半分になるなんて話が、十数年に一度のペースで起こっていると言われています。
最悪投資額の半分を失うことがあるという事は、今の時点で投資元本に対して2倍の資産額になっていれば、そういった大暴落が来ても、元本を毀損することがないと考えたりできます。
株式市場の平均的なリターンが年7%なのだと仮定すると。
(インフレ調整後の平均リターンは、どの時期でも6.5〜7.0%で一貫して推移しているという、ジェレミー・シーゲルの『シーゲルの一貫性』を参考にしています。)
投資元本が2倍になるまでには、複利で10年かかることになります。
また、複利のグラフを見てみても、10年ぐらいは、単利と複利の間に、それほど大きな差は現れません。
複利のグラフからは、両者に差がついたとはっきりわかるようになるためには、20年以上の時間が必要そうです。
つまり、利益が利益を生み出しているという複利の実感を得るためには、少なくとも10年以上の時間が必要だという事がわかります。
しかし、私たち人間は、長期的な視点で物事を考えるというのが、とても苦手です。
それは、私たち人間の脳が、そのような仕組みになっているからだと言われています。
複利が大切だということは理解できるけど、現実的には長期的な視点で行動することができない私たち人間にとって、その考え方は不向きだという事です。
だから、不必要に『複利』という言葉に囚われる必要はないし。
ただ今できることを精一杯することに集中し、それをできるだけ長く続けていくことをだけ考えていれば、それで十分なのではないかと思っています。