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牛乳を飲んで、おなかを壊す人がいるのはなんで?

あせびるジャーナル 2024.5 【人生100年時代、健康寿命を延ばそう!】

《牛乳を飲めるかどうは、遺伝子できまる!》

 牛乳といえば、カルシウムが豊富で健康に良いという印象を持つ人は多いと思います。特に、歳を取るようになったら、骨粗しょう症などの対策として、牛乳を飲むと良いと言われていたりします。

 しかし、実際には牛乳を飲むことでおなかを壊してしまうという人がいるのもまた事実です。健康のために牛乳を飲むことは良いことなのかもしれないけれど、牛乳を飲んでおなかを壊す人も牛乳を飲んだ方が良いということなのでしょうか?

 牛乳を飲むとおなかを壊してしまう人というのは、牛乳に含まれるラクトース(乳糖)という糖類を消化器官で分解できないために下痢をしてしまうと考えられています。
 そして、ラクトースの分解ができない人というのは、牛乳の中に含まれているカルシウムも吸収できずに体外に出て行ってしまっているのだそうです。 
 
 このラクトースを分解できるかどうかは、遺伝子で決まると言われています。
 そもそも、ラクトースを分解できる人というのは、乳幼児だけだったのだそうです。ところが、人々の生活が、狩猟採集民族的な生活から、農耕民族的な生活に移り変わっていく中で、家畜の牛などから乳製品を摂取するようになったことで、次第に大人になってもラクトースを分解できる酵素を作る遺伝子を獲得するようになってきたのだと考えられています。
 しかし、人類の誕生から始まるとても長い歴史のなかで見ると、今の農耕民族的生活は、まだ始まって日も浅く比較的最近のことであるため、農耕民族的な遺伝子であるラクトースを分解する酵素を作る遺伝子は、まだ持っていない人も多いと言われています。

 幸運にも、何千年も前にこのラクトースを分解する酵素を作る遺伝子を、変異によって手に入れた人たちは、牛乳という比較的手に入れやすい豊富な栄養源を利用できるようになったというわけです。

 ラクトースを分解する遺伝子を持っている人は、主に北欧の方に多いと言われています。古くから牛と共に生活をしてきた生活スタイルの中で、このラクトースを分解する酵素を作る遺伝子を手に入れたのだと思われます。

 ちなみに日本で初めて牛乳が飲まれたのは、飛鳥時代だと言われています。ただ一般庶民に広がったのは明治初期と言われています。
 つまり、日本人が牛乳を飲むようになったのは、比較的最近になるわけです。そのため北欧の人たちや海外と比べると、日本人は体質的に牛乳が合わないという人が多いのは当然というわけです。
 
 また、ラクトースの分解ができない人というのは、健康食品の代名詞ともいえるヨーグルトなどの乳製品も、同じように分解ができていない可能性も高いと言われています。
 健康に良いと思って食べていても、結果的には上手く分解し吸収することが出来ていないのであれば、その健康法に意味はないのかもしれません。
 また胃腸で分解吸収できない食品を摂ることは、かえって胃腸に負担をかけてしまうことになるので、むしろ食べない方が健康に良いという話もあったりするぐらいです。