株価の動向なんて、予想できるようなものじゃないのに・・・。
相場は、相場が動きたいように動く。
株価が上がるか下がるかは、予測できるようなものじゃない。
それでも、みんなが株価の動向を予想したいと考える。そしてまた、予想できると思っている。
そういう私も、株式相場なんて予想できないと言いながらも、なんだかんだ言って予想している。
株価を予想しようとするのは、人間の本能なんだと思う。
儲けたい。お金が欲しい。そういった欲が、しなくてもいい予想、しても当たりもしない予想をしてしまう原因なんじゃないかと思う。
じゃあ欲をかかなければ予想しないで済むのか?、というのもおそらく筋違いなんだろうと思う。
だって、儲けたい、お金が欲しいという欲があるから、株式投資をしたり、投資信託を買ったりするのだろうから。
おそらく株式投資などをしている人は、少なからず相場の予想をしてしまっている。
でも、それは人に言うような話じゃないのかもしれない。
それにまた、人から聞こうとするような話でもないのだと思う。
人は、自分の知りたい情報を欲している。
人は、自分にとって都合のいい情報を欲している。
株価が上がると予想している人は、他の株価が上がると予想している人の話を聞きたがり、株価が下がるという情報はほとんど信じない。
そして、株価が下がると予想している人は、他の株価が下がると予想している人の話を聞きたがり、株価が上がるという話は胡散臭いと考える。
これじゃ結局、予測でも何でもない。
ただの願望です。
株価予測なんて、所詮その程度のものというのが現実だと思われます。
そういうことをわかっているつもりでも、逃れられない人の願望という呪縛。
本当に恐ろしい。
自分の本能と、逆の行動もとるべし。
私はこれまで、株式市場に対して『近いうちに下がる』と考える人でした。
おそらく今もそうです。
株式市場は、上昇と暴落を繰り返してきた歴史があり、また前回の大暴落のリーマンショックからかれこれもう15年以上がたっており、いつまた大暴落が起きてもおかしくないタイミングだと考えてしまっている。
その結果、完全に今のITとAIの相場に乗り遅れている。
正直言って、あまりいい結果だったとはいえないのかもしれない。
それでも、世界的な債務の膨張や、戦争などの地政学的リスクなど、株価が暴落すると言える情報がそこかしこにあると思っていて、いまだに大暴落はあるという考えに囚われています。
もしかすると、リーマンショックの時に感じた不安や恐怖に囚われているのかもしれないと思うこともあります。
本能的には、守り重視で、株式資産などは持たない方が良いというのが本音なのかもしれない。
それでも、株式にも投資をしています。
本能で感じていることとは、逆のことをやる。
株式投資においては、そういう姿勢が大切だと、痛感しています。
想定される損失に、対応できるようにしておくというスタンス。
著名投資家のジョージ・ソロスが、数年前に米国株は今後大暴落することになると考えて、株価が暴落すると大きく儲けることが出来るプットオプションを大量に買っているというニュースがありました。
私も、近いうちに暴落するという意識があったので、ついに来るのかと身構えたことがありました。
しかし実際には、ご存じの通りその後も株価は上昇を続けています。
”イングランド銀行を負かした男”とも言われている著名投資家のジョージ・ソロスでさえ、株式相場の動向を当てることはできなかった。
ただ、この話に対して、「なんだ、外したじゃん」で終わってしまったら、それは違うようです。
この予測を外したことで、ジョージ・ソロスは、大損することになったのかというと、実はそうではなかったようです。
確かにプットオプションの取引では大きな損失を出したそうなのですが、ちゃっかりと株価が上昇した時に利益が出るポジションも同時に持っていたので大した怪我にはならなかったという話でした。
はっきりとは覚えていませんが、もしかすると結果的に儲かっていたという話だったのかもしれません。
この話を知った時。「これだ!」と思いました。
著名投資家などの相場巧者たちは、自分の予想とは違う方向に動いたときにも、大きな損失とはならないようにちゃんと保険をかけているんだと思いました。
自分の予想に従った行動もとるけれど、自分が予想を外した時のことも予想している。
著名投資家のハワード・マークスの言う「二次的思考」のような取り組みが、堅実な投資家と、そうではない人を分けているのかもしれない。
株式投資などのリスクのある投資を行う場合には、相場の予想をすることよりも、失敗した時にその失敗をカバーできる、『対応力』がものを言うのではないかと思いました。
本当に学ぶべき投資の勉強というのは、儲かるための方法ではなく、失敗した時にどう対処したらいいのかの方が重要なのかもしれません。
つまりは、相場の動きに対する対応力を身につけることが、株式投資などで運用する際には、一番大切なポイントになってくるのではないかと考えています。