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【ASE-Lab.メンバーの声】 #13 〜大阪大学 北川寛樹さん 編~前編

海外や全国各地から宇宙好きメンバーが集うASE-Lab.
都内に拠点を置かない団体の活動にメンバーは実際どのように参加しているのでしょうか……?

今回は運営メンバーの家本が調査してきました!
メンバーインタビュー企画第13弾!
今回は、学部1年生の時から自主研究を行い、天文学や生物学、医学と広い興味を持ち精力的に活動されている北川寛樹(きたがわ ひろき)さんにインタビューしてまいりました!

前編では北川さんがASE-Lab.での活動や現在行っていることについてお聞きしていきます!



ー自己紹介


大阪理学部物理学科3年生の北川寛樹(きたがわ ひろき)です。物理学科に所属しているのですが、特に天文学の方も勉強しています。

部活は演劇部と天文部に所属しており、Active理[1]という大阪大学理学部の生徒会のような団体でも活動しております。さらに最近KARURAというローバーを作る団体に入りまして、理学の方面から携わっていこうと考えています。

[3]Active理 公式X: https://x.com/active_ri

ー宇宙を好きになったきっかけはありますか?


この質問は宇宙好きな人って頻繁にされると思うのですが、僕はこれに対して明確な答えを持てていなくて。

幼稚園くらいの頃、親が買ってくれていて家に何冊か図鑑があったんですよ。何冊かあったんですけど読むのは決まって2冊だったんです。その2冊が宇宙の図鑑と人体の図鑑なんです。結局大学受験の時も医学部に行くか天文に行くかで迷ってたので、「三つ子の魂百まで」なんだなと思いました。

図鑑が僕の宇宙好きだとか、研究に対する興味の原点なのかなと思いますね。気づいたら宇宙に惹かれていたという表現になりますね。

ー大学でとっている授業、興味分野について教えてください!


やはり物理学科ですので、力学、電磁気学量子力学、統計力学というような一般的な大学の物理学科で学ぶものは全て受けています。それに加えて最近は素粒子や物性など、少しでも宇宙に関連していそうな授業は基本的には幅広く取るようにしています。

阪大は大学院に上がるタイミングで物理学科から物理学専攻か宇宙地球科学専攻に分かれるんですね。大学院で宇宙についての専門性の高い授業が開講されているので、内緒なんですがそこに潜らせてもらったりしています(笑)

また、自分は一時期医学部に行くか物理学科で天文をやるか迷っていた時期があったので医学部の授業を1つとっています。専門性の高いものというよりは医学を幅広く学ぼうという授業です。

阪大にはすごく大きな加速器があってその加速器で放射線を扱えるんです。自分は将来天文学者になりたいとは考えているんですが、もう一つがん治療に携わる道も用意することで不安を取り除いて心置きなく天文をやれるようにという考えで受講しています。

ー天文学の中でも理論や観測どちらに興味があるんですか…?


理論か観測かと言われるとわがままなのでどちらもやりたいと考えています。自分が大切にしていることが、繋げるということです。ですので理論観測のどちらにも関わって繋げて行けたらいいなと思っています。

どちらかというと遠い宇宙が好きで、例えば惑星をやりたいなと思ったこともありますしブラックホールをやりたいなと思ったこともあります。もっと広げて銀河だとか宇宙論にも興味自体はあるので悩みどころですね。

ー憧れている人・刺激を受けている人


古林太郎先生[2]という先生に刺激を受けました。Keio Astrobiology Camp[3] でお会いした生物学の先生なんですが、ポテンシャルなどの物理っぽい話をなさっていて。それが物理の勉強をしている僕にとって結構ストンと落ちてくる話だったんです。

[2]古林太郎先生:東京大学 工学系研究科 特任研究員。
生命の進化やDNAやタンパク質に関連した進化生物学や生物物理学の分野の研究に携わっている。

[3]Keio Astrobiology Camp(KAC):アストロバイオロジーに興味を持つ高校生から大学院生までの学生を対象としたイベント

公式HP:https://sites.google.com/view/keio-astrobiology-camp
(実際にイベントに参加した際の様子は後編で詳しく話していただきます!)

https://sites.google.com/view/keio-astrobiology-camp


そんな中、なんと帰りの飛行機で隣の席が古林先生だったんです。古林先生の講演が終わったあと質疑応答の時間に質問してたってのもあって、先生が僕のことを覚えていてくださって。お疲れの中2時間くらいひたすらお話しさせてもらいました。

その時に僕がポロッと「お隣になれてすごく運がよかったです」みたいな話をしたら、「それは君が行動したからだよ」って言っていただけたんですね。

言葉で言うと「確率という概念があって確率が同じなら試行回数を増やした方がより多く実現する」というだけなので当たり前じゃないですか。でも「運がよかった」で片付けてもいいところを「自分が行動したからだよ」と言ってもらえてハッとしましたね。

自分が今まで面白そうなことをやった方がいいというふうに生きてきたんですけど、それに意味付けがされたような気がしました。

本当に今はそのマインドで過ごしてます。KACで出会った人とまた同じプロジェクトをやったりだとか、国立天文台のプログラムに応募したおかげで同じ分野に進もうとしている人たちと知り合えたり。先生に色々刺激を受けたなと思います。

また、つい2ヶ月前に「生命の起原進化および進化学会」に行ってきました。そこに古林先生の大学時代からのご友人もいらっしゃっていて。その先生と話した時に「古林くんから聞いていた君か」と話しかけてくださったのがあって、人脈を広げることをより意識しようと思いましたね。

人脈を広げようと言うと打算的に聞こえるかもしれないんですけど、悪いことだとは思っていません。人脈って人との繋がりのことだと思うので。多くの人と繋がっていたほうが成長する機会は多くなるじゃないですか。

学会では1番年下だったんですが、この学会以降はそれを言い訳にせず積極的に話してみて考え方や知識などを吸収するということをより意識的に行うようになりました。

ーASE-Lab.内の活動について

◯入ったきっかけ

元々ASE-Lab.の存在については知ってはいたんですが、工学の分野を主にやっている分野なのかなと思ってしばらく入っていなかったんです。でもKeio Astrobiology Campに参加した時に知り合った方がASE-Lab.に入っていらっしゃって、しかも理学系のことをやっているという話を聞き1年生の春休みに入りました。誘ってくださった方が初代宇宙論ゼミの主催者の方でした。

◯参加したゼミについて

初めて入ったのが天文統計学ゼミという、名前の通り天文学のデータ解析に必要な統計とかの勉強をして統計をどう天文に応用できるかという内容のゼミでした。宇宙統計ゼミと今主催している宇宙論ゼミが深く関わったゼミになります。

◯北川さんが主催されている宇宙論ゼミについて

宇宙論については元々興味があって、募集がかかったタイミングですぐに参加を決めました。

途中でゼミの主催者の引き継ぎを募集していたときに前任がASE-Lab.に誘ってくれた人というのもあり半分恩返しのつもりで引き継ぎました。

ゼミで扱っているのは宇宙論の入門で、宇宙論がどういうふうなお気持ちでやるものなのか、どういうことをやりたいのかというのを勉強しています。

◯ゼミを主催する中で気づいたことはありますか?


ASE-Lab.全体として元々理学系の方が少なくて、しかも宇宙論という理学的な面が強いゼミなんですが、1人工学系の方が入ってくださっているんです。
式一つ見ても工学の方ってなんとなく見方が違ったりするので、それは理工系が一緒にやれることのメリットかなと思います。大学で自主ゼミを開こうとするとみんな物理学科の人になってしまって見方が偏るのでこれはASE-Lab.ならではだなと思います。

宇宙論という専門的なゼミをやっているんですが、天文学のもう少し幅広いことを扱うハードルが低めのゼミとかだったらいろんな興味を持った人が気軽に入れるかなと思ってます。プログラミングのゼミをやると理学の人も工学の人も需要があって楽しくやれるんじゃないかなとか。

宇宙論ゼミを完走したらまたゼミを主催したいなとは考えています。

◯アストロキャンプについて

アストロキャンプはASE-Lab.が主催しているゼミ合宿で宇宙が好きな人たちが集まって4泊5日過ごすというイベントです。今回4つゼミがあったんですけど僕は唯一理学分野の宇宙流体力学ゼミに参加しました。

その時に設計していたミッションについて僕がたまたま休憩していた時に聞かれたのがきっかけで、3日目くらいからミッション設計ゼミにも参加しました。ミッション設計ゼミというのは「何を探査したいのか、それを探査するためにはどういう衛星を積んでどういう軌道をとればいいのか」というのを実際に自分たちで設計するゼミです。

僕が途中からミッション設計ゼミに熱中し始めて、このゼミの人たちと色々議論をしていましたね。
意見を尋ねられた後に、今作っているミッションでは彼らが知りたがっていることは知れなさそうだということを伝えたら、ミッション設計を1からやり直し初めちゃって…初っ端の部分から作り直すというのをやらせてしまったんです(笑)

自分1人で勉強している時にこういうことは絶対ないし、アストロキャンプに宇宙流体力学ゼミだけしかなかったらこういう場面は生まれてないだろうし。他の分野の人と交流ができたっていうのはすごくいい経験だったなと思います。

また第2回目のアストロキャンプの運営に携わらせてもらっているので、今回のよかった部分を伸ばして開催できたらなと思います。

↓第1回アストロキャンプのイベントレポートはこちらから↓


ー現在行っているASE-Lab.以外の活動について教えてください!


◯大学内の活動

実は中学校から演劇部をやっていて、ここでもブレブレなんですが一時期は役者になろうと考えていた時もありました。また過去には脚本を書いて全体を監督するようなこともやったことがあります。演劇は大学を卒業した後も続けられたらなと思っています。

演劇部での北川さん


次に天文部の方は、車で何時間もかけて山へ行き、望遠鏡を使って土星なんかを観測したり、星の写真を撮るということもやっています。

つい先日車の免許を取りました。なかなか星が撮れる場所まで歩きや電車で行くのは難しいので、これからは個人で気分の向いた時に撮りにいけたらなと考えています。


北川さんのお気に入りだという2枚(1/2) 和歌山にて
北川さんのお気に入りだという2枚(2/2) 三重にて

また、Active理という大阪大学公認の団体にも所属しています。「理学部の学生生活を良くしていこう」という目的をもった団体で、去年代表を務めていました。大学の先生をお招きして授業よりもフランクな形でお昼ご飯を食べながら、先生の学生時代や研究の話をしたり、学生が学生生活に対して抱いている要望を先生方との会議に出席して提言したりしています。新歓に行った時に面白そうだと思ってなんとなく入ったら代表をすることになってしまいました(笑)


◯KARURA

KARURAは以前から知っていました。ローバー開発を行っている団体だと思うんですけど、僕はその分野に明るくないので自分が加わっても貢献できないと初めは思っていて1年前の新入生説明会で参加を見送ったんです。しかし改めて今年の説明会でKARURAのメンバーから結構サイエンティフィックなこともやっているという話を聞きました。

KARURAの目標の一つである「火星の生命探査」において、僕が学んできた惑星科学や宇宙生物学に関する知識を活かせると思ってチームへの参加を決めました。

ASE-Lab.外での活動や今後の展望については後編に続きます!
後編はこちらから↓




この記事を読んで私達の活動に興味を持ってくださった方は是非弊団体のウェブを覗いてみてください!↓
団体ホームページ
こちらから参加登録が出来ます。

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取材・文・編集:神戸大学理学部物理学科1年 家本康ゆに(広報部メンバー)




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