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発達障害の当事者が「変わらない」と指摘される理由とは?

 発達障害を抱える当事者たちは、時に「変わろうとしない」「助言を聞かない」「自分に都合良く解釈する」と指摘されることがあります。そんな言葉を投げかけられるたびに、「本当にそうなのだろうか?」と私は疑問を抱きます。彼らがこのように言われてしまう背景には、発達特性と心の奥深くにある心理的な要因が関係しているのではないでしょうか。

 当事者たちは、否定的な体験を積み重ねてきた場合、多くの場面で傷つくことを恐れて「自分の世界」に閉じこもる傾向があります。これは、過去の失敗や否定的な経験から心を守るための自然な防衛反応です。しかし、この自己防衛の結果として、他人からは「変わらない」と見られたり、アドバイスに耳を傾けないと感じられてしまうのです。さらに、自分自身を客観的に見るという行為には、大きな勇気が必要です。自分の欠点や失敗を認めることは誰にとっても難しいものですが、特に当事者にとっては、その負担が非常に大きいのです。そのため、時には現実を受け入れることを避け、「自分に都合の良い解釈をする」と誤解されることもあるのです。

 このような状況を少しずつ変えていくために重要なのは、「社会は安心だ」と思える体験を重ねることが必要です当事者たちは、他人からの否定や失敗の経験が多いため、自信を持つことが難しいと感じることがあります。しかし、小さな成功体験や他者からの肯定的なフィードバックを受け取ることで、少しずつ「変わることへの恐れ」を克服していけるでしょう。それが積み重なることで、自分を少しずつ受け入れ、成長することにつながると思われます。

 ある匿名の方は、自身の経験を語っていました。その方は、もうすぐ中年を迎えるのですが、これまで恋愛経験がなく、自分の理想である若くて可愛い女性と恋愛し家庭を築くという夢が叶うことはないと感じているそうです。この事実は悲しく、受け入れるのに時間がかかったといいます。しかし、その苦しみややるせなさが、彼の中で深い考察や哲学的な思考を育てたのも事実だと語っています。理想を追い求めても叶わなかった現実に向き合う中で、人生の意味について深く考えざるを得なかったそうです。このような経験は彼だけでなく、多くの発達障害を抱える人々に共通しているのではないでしょうか。

 私を含めて当事者たちは、自分自身のペースで成長し、少しずつ変わっていくことができるでしょう。そのプロセスは周囲から遅く見えるかもしれませんが、それも一つの道ではないでしょうか。そして、その道を歩む中で、当事者たちは自分の居場所や生きる意味などを見つけていくのだと思います。焦らずに、自分を大切にしながら一歩ずつ進んでいくことが肝要に思えます。その過程そのものが、もしかすると当事者たちのリカバリーを表しているのかもしれません。

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猫男@ASD
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