祖父の死と仕事
ふと思い出したので今年のゴールデンウィークの話を
ゴールデンウィークの初日5月1日
私の祖父が亡くなった
88歳だった
5月1日の夕方に祖父は亡くなったから
通夜は5月2日
お葬式は5月3日に決まった
母から連絡を受けた私は
頭の中が真っ白になった
でも人間の脳というものはよくできていて
私の体は平然と明日以降の通夜と葬式のために
クローゼットから喪服を引っ張り出した
お葬式も無事に終わり
私に残された休暇はたった2日
私はその二日間でやらなければならないことがてんこ盛りだった
休み前に途中止めだった仕事に取り掛かろうとしても
部屋の掃除をしようとしても
涙がポロポロとこぼれてくる
テレビを見ていても
ぼーっとするタイミングが来ると
祖父と過ごした時間が走馬灯みたいに思い出される
そして涙が溢れてくる
その繰り返しの二日間だった
休みが明けて結局私は何もできていないまま仕事に向かった
途中やめになっていたゴールデンウィーク中に必ずしますと伝えていたはずの仕事が
できていないことに上司は怒った
なぜできなかったのか
上司は私に聞いてきた
実は祖父が亡くなって
なんて言えなかった
私が仕事ができなかったことを祖父のせいにしたくなかった
どっちにしろ私が辛い気持ちを奮い立たせて仕事をすればよかったのだから
私のメンタルの弱さが原因なのだから
私は仕事をやり遂げられなかった理由を考えるうちに
自分のデスクの上に置いてある書類に目がついた
この書類を持ち帰ることを忘れていたからです。
とっさに出た答えだった
これでこの場をしのげると思った
でもそうはいかなかった
じゃあ会社に取りに来ればよかったやん
上司の一言はまるで追い打ちをかけるようだった
それはおっしゃる通りなのだから
でも私は絶対に、絶対に、
祖父のせいにはしない
と自分に何度も言い聞かせて
奥歯を噛み締めながら
涙をこらえながら
すみません。
とだけ言った。
そんな私を見て上司が煮え切らないように
あきれたように自分の仕事に戻った
これでいいのだ
私は奥歯をキリキリと鳴らしながら
喉の奥がぎゅっと詰まっているのを感じながら
自分に言い聞かせた
退社する頃、外はもう既に暗かった
会社から1歩出た瞬間
どっと涙があふれた
声を押し殺して涙を拭いながら歩いて駐車場に向かった
こんなにも悔しい日があっていいものか
何が正解なのか私にはわからなかった
悲しさと悔しさと寂しさと怒り
全部がごっちゃになってただただ涙があふれた日だった
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