見出し画像

【わかりやすく解説】IT導入支援事業で不正受給続出!その手口と背景


近年、中小企業のデジタル化を促進するため、国がITツール導入費用の一部を補助する「IT導入支援事業」が実施されています。
(この営業電話、自分も対応したことがある。)
この制度を悪用した不正受給が横行していることが、会計検査院の調査で明らかになりました。

今回は、このニュースの内容をわかりやすく解説し、不正受給の手口や背景、今後の対策について考えていきます。

IT導入支援事業とは?

そもそもIT導入支援事業とは、どんな制度なのでしょうか?

これは、中小企業が業務効率化や生産性向上を目的としたITツール(会計ソフト、顧客管理システムなど)を導入する際に、その費用の一部を国が補助する制度です。

具体的には、以下のような流れで補助金が交付されます。

  1. 中小企業がIT導入支援事業者に相談し、導入するITツールを決める。

  2. 支援事業者を通して国に補助金を申請する。

  3. 審査に通れば、ITツール導入後、費用の一部が補助金として交付される。

この制度を利用することで、中小企業は少ない負担でITツールを導入し、デジタル化を進めることができるわけです。

不正受給の実態

会計検査院の調査によると、2020~22年度に交付された補助金10万件以上を調べた結果、少なくとも55件の不正受給が確認されました。その手口は、主に以下の2パターンです。

1. キックバック

支援事業者が中小企業に「補助金でITツールを導入すれば、自己負担なしで導入できる」「自己負担額以上の報酬が得られる」などと持ちかけ、補助金を申請させる代わりに、企業からキックバックを受け取るというものです。

今回の調査では、不正受給の大部分がこのキックバックによるものでした。

2. 虚偽の実績報告

支援事業者が実際には作業を行っていないにもかかわらず、国に虚偽の実績報告をして補助金を受け取るというものです。

調査では、合成した画面キャプチャーを報告書に添付するなどの不正が確認されました。

なぜ不正が起きるのか?

不正受給が横行する背景には、以下のような要因が考えられます。

  • チェック体制の甘さ: 国側の審査が書類確認のみで、実際にITツールが導入されたか、適切に運用されているかなどの実態確認が不十分だった。

  • 支援事業者による勧誘: 一部の悪質な支援事業者が、キックバックを前提に補助金を申請するよう企業を勧誘していた。

  • 企業側のモラルの低さ: 補助金を不正に受け取ることへの抵抗感が低い企業が存在していた。

今後の対策は?

会計検査院は、中小企業庁に対し、以下の対策を求めています。

  • 審査体制の強化: 申請内容や実績報告の精査、現地調査などを実施し、不正を見抜く体制を構築する。

  • 不正受給分の返還: 不正受給が確認された企業・支援事業者に対して、補助金の返還を徹底する。

  • 再発防止策の徹底: 関係機関への指導、啓発活動などを強化し、不正が行われないよう対策を講じる。

まとめ

IT導入支援事業は、中小企業のデジタル化を促進するための重要な制度です。しかし、不正受給によって国民の税金が無駄に使われることは許されません。

今回の調査結果を重く受け止め、国は不正受給の根絶に向けた対策を強化していく必要があります。

また、中小企業自身も、補助金の不正受給は犯罪であることを認識し、倫理観を持って制度を利用することが重要です。

IT導入支援事業が本来の目的通りに活用され、中小企業の健全な発展に繋がることを期待します。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?