アイデンティティという謎の概念

Twitterで「アイデンティティなにそれ食べ物?」みたいな話をnoteに書きたいと言ったので書いてみた。そのきっかけを作ったのは藤沙 裕さんのnoteがきっかけである。ぜひ見てほしい。何倍も素敵です。元ネタである藤沙さんのnoteはこちら→https://note.mu/fu_jisa_ytk/n/nfc122051ceae

さて、アイデンティティという8文字もあって正直だるい単語だが、日本語で自己の確立という意味があるらしい。今時の日本は何でもカタカナか四文字熟語にしたがる。エゴグラム、リソース、クリエイティブ、コスト、リスクマネジメント、プロフェッショナル(プロ意識)、或いは自己分析、資産運用とか。正直食傷通り越して吐きそうである。

転職活動で職務経歴書が必要で書いてみた。

・利用者の排泄、離臥床、入浴、移乗、着脱、食事などの身体介護、行事の際の誘導、来客対応、居室の整理、申し送り書類、報告書の作成、記録、……それをすごいスキルのように書いて経歴書を作ったが正直当たり前なので特にすごいスキルとも思わなかった。

コミュニケーションに自信がありますとか書いてみた。しかし、利用者の身体に触れる、とりわけ排泄介助はほとんど避けて通れない。同性介助が一番良いがそんなこと人手不足業界で通用するはずもなく男性の利用者の介助もやった。仕事なので忌避感もないし戸惑いもなかった。目や仕草からなんとか汲み取って介助をやったりコミュニケーションを取ったり。やっぱり特にすごいスキルとは思わなかった。

利用者の身体に触れるためにはコミュニケーションは欠かせない。それも介助のためにはこちらに調子を合わせて貰わなければどちらも大怪我する。当時58キロしかない私が52キロの利用者を移乗するには利用者が立位を保てるようにしたりこちらに身を委ねて貰わなければどうしようもない。特にそのことに疑問を抱いた訳でもない。見知らぬ人間に身体を触らせたいかという話である。私はいやだ。でも、慣れない中で何とか頑張ろうとしている人になら、多分身を委ねると思う。利用者とて好きで介助されたいわけではない。思い通りにならない自分に怒った結果、介護職に対して暴力暴言に出る。私が利用者で介護職がいきなり介護しようとしたら絶対暴れる自信がある。この職は万人が想像する以上のコミュニケーションが必要である。何となく発した言葉から一瞬で相手の気持ちを10パターンくらい思い浮かべるような。ケアプランを作成するには相談員が書いたサマリーとか調査資料からその人の人となり、生き方、生活状況、こだわり、趣味、食の好みを想像するような。そんなこと不可能だろうと思うかもしれないが実際頑張れば何となく分かるようになってきた。それが普通なので疑問に思っていなかった。

販売職に転身して慣れてきてからどうやらそうでは無いことがわかった。他人の気持ちや背景がわからない人が多い事を知る。私はだいたいリプライやツイートでその人の生き方くらいは想像出来るのだが……である。実際人と揉めたが相手は私が受け身に見えたのではっきり言ったらしい。

しかし、私がそれに耐えきれず怒りの意思表示すると驚いたようであった。そこで初めて私が怒っていると気付いたらしい。私には純粋に疑問である。

敬愛するフォロワーさんのツイート見て反応したくなるが相手がどのように考えているかとかその位はなんとなしに想像するからである。それでも間違えるが。

私は根本的には人とは分かり合えないと思っている人間である。例え親言えど他人だと。親もそう思っているので「理奈と毎日一緒だと息が詰まる」と言って寝ている。ご飯は食べるしよく未来の話をするが母は私に生活費を無心しない。ただ「実家で暮らすなら共同生活なので生活費は出せよ。嫌なら一人暮らしな」という。

有難いことに同人活動にも何も言われない。感想は求めるが特に言わない。ネットを知らない母ではあるが特にネットでのやり取りに口出しはしない。条件はひとつ。

「生活費も支払いも滞りなく仕事や生活と両立しやることやりながらやれよ」と言うだけである。

このように傍から見れば厳しいこと言ってるが実際否定しない母のおかげで道をそれほど外すことなく、なんかよくわからないけどいつの間にかいろんな経験してるなぁとか言って、呑気に構えながら転職活動をしている。新卒時もそうだった。なんか知らないけど専門学校だし介護だし実習先に勤めようとか言っていた。履歴書とか形だけしか書いたことなかった。そんなことより国家試験の7割合格、しかも9つくらいの部門を1問も落としちゃいけない試験のほうがだるかった。卒業出来ないので疑問も持たず国家試験に身を投じた。就活とかしてる場合じゃなかった。そして1ヶ月で辞めてすぐ新しい介護施設に行った。体調不良でやめたがもしなんもなければ今もそこで働いている気がする。

そして今の転職活動では一通書類が通過し、面接である。特に対策している訳でもない。答えたいことはまとめているが。縁を感じてくれたんだという感じに受け取っている。

特に自己の確立のために何かしたわけでもなく傍から見れば風任せに生きているような、目の前のことを頑張って「あーだるかった」とか言っている人間だった。新卒時から定時二分前にはタイムカードの機械の前にいるし、だからといって来るのが早い訳では無い。コンビニでからあげクンを買って食べながらフロアに入るような新卒であった。定時が来るとニコニコするような人間だしそもそも仕事する前から「休みじゃないの?マジ出勤?うそだろ?ん?」とか言っている人間である。年々頻度が増している。新卒時から普通は意識が高くなるが新卒時の意識もこのザマなのに5年経った今は定時15分前からタイムカード押印のためのウォーミングアップをはじめる有様である。意識は高くならない。低さが増している。お家大好き。プライベートがいちばん。なんなら一日の大半はお布団とイチャイチャしている。

「趣味活動の資金のための仕事、金の割合が7割切ったら死んじゃう」とか言ってる。

そんな人間でも特に不自由無く生きているし生きていける。多分早く帰って趣味して寝たい、楽しみのために仕事する。私はこのようにして生きてきたので身体は壊し、精神疾患にはかかったが鬱病にはならなかったようである。

自己の確立など、不可能ではないか。前記事にもあるが人間関係のコミュニケーションめんどくさいとかのたまってる私が一番向いているのが人とのコミュニケーションを軸とした仕事である。

やりたい事をやりまくり、遊びまくり、結果見つけた天職がコミュニケーションを軸とした仕事である。めんどくさいのに。

そしてポジティブとか前向きとか言うのもまあめんどくさい。私は悲観的だしうだうだ人間である。でもそのおかげで今回正社員登用には失敗したが登録販売者の資格とる?キャリアコンサルタントの資格は?とか言ってすぐに方針を変えた。小売の経験は活かしたいから営業でも飲食のジャンルで固定客に提案するルートなら行けるかもな?とか。

世の中、そんなものである。まあ、最悪の予想だけしていれば生きていけるんじゃなかろうか。

アイデンティティとはやりたい事をやり尽くした結果なんか知らんけど身についてるスキルなのかもしれない。知らんけど。