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データ活用マーケティング入門①: 「脱クロス集ケッター」へ~クロス集計だけでは問題解決は難しい!~

初めまして。今月起業したばかりの株式会社Studio ASAVI久野と申します。

私は20年以上広告会社で、マーケティング・プランニングに関わってきました。いろいろな売上データ、顧客データ、Webアクセス履歴、アンケート調査データなどを分析し、マーケティング戦略、ブランド戦略、プロモーションなどの提案を行ってきました。この間、メディア、IT技術、マーケティングツール、プログラミングなど様々な変遷・発展がありました。

クロス集ケッターの弊害

このような様々なデータをもとに分析レポートを作成するマーケッターの方はたくさんいらっしゃると思いますが、データ結果をひたすらやまのようにクロス集計し、購入層、ターゲット層などの特徴を列挙しまくるケースが非常に多くみられます。

クロス集計の山で疲れ切ったマーケッター

問題解決とは?戦略とは?

マーケティングや事業、経営戦略など、ビジネスの問題を解決するためには、売上・顧客離反・事業拡大などの問題を抱える状況に対して、何が現状を生む要因になっているのか? その要因を解決するためには何を行うべきなのか?を考える必要があります。さらに問題解決のためには、どの要因に対処するかプライオリティ(優先順序)をつけ、限られた資産(予算・人員など)を選択と集中を行うことが必要です。何に選択と集中を行うか?ということが、まさしく戦略なのです。

戦略は「選択と集中」

クロス集計だけでは、問題解決にむけた戦略は作れない!

問題点1 必ずしも”特徴=要因”とはいえない。
 ・購入者と非購入者のクロス集計での違いがみえる特徴項目はわかりますが、その特徴項目が、必ずしも、購入の要因とは限りません。
 ・また、特徴項目が複数あった場合、どちらがより重要なのか判断できません。

①コンビニ購入上位グループとそれ以外での、直近で利用した購入商品サービスの比較
②2グループのコンビニ来店頻度の比較
クロス集計の限界:どちらの要因が重要か?

問題点2 ”相関、疑似相関、因果” から、絞り込みが必要
 関係がありそうな特徴が、必ずしも要因とは限らないのは、結果と相関がありそうなもの、相関がありそうに見えるが、別の要因が関与し、疑似相関になっているものがあるからです。さらに相関がみられるからといって、結果に対する因果性があるかというと、そうでない項目も多くみられます。
因果性がみられたとしても、問題解決につながる、影響の強さや、項目同士の関係性も必要になってきます。

相関と因果の違いは?

脱「クロス集ケッター」へ

上記で挙げた問題点について、クロス集計だけでは、解決することは難しいです。言い換えれば、クロス集計だけから、戦略を構築することは、非常に難しいと言えるのではないでしょうか?
ですから、たくさんの「クロス集計」だけを根拠に戦略提案をしてくるマーケッターは、あまり信頼してはいけないのではないでしょうか。
では、どうすればいいのでしょうか?

「KPIモデル」を作成し、一発で解決

結論の一発提示で、説得力爆上げ!
KPIを目的変数とし、各種項目から影響要因となるものを説明変数とする数理モデルを作成すれば、下図のような考え方で、戦略方針が構築できるでしょう。

売上予測モデルにおいて、影響要因として、来店頻度、購入商品(カテゴリ)、属性などが機械学習により選定されます。さらに、各要因の売上に対する影響度の大きさもXAIにより影響度スコアとして数値に表すことができます。ですから、来店頻度のスコアが10、購入商品のスコアが5であれば、売上に来店頻度の影響が2倍となります。ですから影響度スコアを優先順位にして、対応施策の予算配分を考えてもよいかもしれません。

「クロス集ケッター」を卒業し、「KPIの数理モデルを作成し、戦略を組み立てる」ことこそ、現代のマーケッターに求められているのではないでしょうか。

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