
山口県道134号秋掛錦線 不通区間 中編
現在地の沢から県道市道分岐点へ向けて歩行再開だ。
地図上ではここから先、ぐねぐねと蛇行する川に沿う形の道が続く。


沢からほんの50mばかり進んだ地点。右手に落石防止の擁壁があるが、手前と奥で工法が違うのが分かるだろうか。手前側はおそらく玉石練積み、奥側はおそらく場所打ちコンクリート。想像だが、これら工法の違いは、擁壁を打設した時期の違いによるものだろう。それだけ何度も崩れて、何度も直している。そういう想像が容易なほどに、この道が置かれた環境は過酷だと思う。


そしてこの先、またもガードレールが消えた向こうで、

カーブミラーがお亡くなりになっていた。
支柱はかろうじて立ってはいるが、ミラー部分は消失しており、近くに落ちてもいなかった。支柱の真ん中のあたりが抉られたように腐食しているため、ヤクザキック一発で折れてしまいそうだ。
この辺りは蛇行だらけなので、カーブミラーもそれなりの数あり、鏡面が汚れてはいるものの皆健在であった。この支柱がある場所も見通しの悪いカーブであるが、なぜ復旧されていないのか不思議だ。放置しても支障がないほど、この県道の交通量は少ないということか。



似たような写真の連投で申し訳ないが、見てほしいのは3枚目。路盤を支える擁壁工だが、ここも隣接した石の積み方が異なっている。過去複数回路盤が決壊したものと推測する。
そして左端に見切れているのが、

この地図にない橋である。

木橋にパイプの状の資材を組み合わせて手すりを後付けしたような、名前のない橋。対岸の植林地に渡る作業道ではないかと推測。こういう手作り橋は強度に不安がありすぎるので、さすがに渡橋は御免こうむる。

この橋の1mほど下に、ケーブルで結わえた明らかに人為的なものと言える木の桁があるが、こちらは正体不明。まさか、旧橋?なわけないか。
どんな市販の地図にも載っていない小さな橋を見つけて、私の頭の中の地図をアップデートしていく作業がとても楽しい。


橋の発見からわずか2分後、ガードレールをひしゃげさせるほどの落石痕を見つけた。この位置は崖側も谷側も複数回にわたり補修を繰り返した形跡がある、崩落の巣のような場所だろう。何度も何度も自然の猛威に打ちのめされても、今こうして通行できていることを道路管理者に感謝。




その後道なりに400mばかり進んだ所で、この道は橋でもって今まで左手に寄り添い続けた川を渡る。以降は左崖右谷で進むことになる。
この橋の名称は現地では不明であったが、帰宅後に県管理の橋梁リストから緯度経度を照合して、向山橋であると判明した。1963年架橋のなかなか年季の入ったRCT桁橋である。
で、この橋の上から進路上に見えたのが、こちら。

光輝くような、ピッカピカの補修箇所だ!手前の石垣との風合いの違いがものすごくて、同じ道とは思えないほど浮いている。

ガードレールに傷一つない。ここ1年以内くらいの工事ではないだろうか。私が調べたところでは、ここ数年、県道134号秋掛錦線に関連した何らかの災害復旧工事が毎年のように発注されているようだ。詳しい工事内容は分からないが、ここもそのうちの1箇所と思われる。この道が開通してから、いったいどれほどのコストをかけて今日まで維持されてきたのだろう。


対岸に残雪があった。不思議なことに、雪を見たのはこの1箇所のみ。


まもなく分岐点に着くはず。道は林道然としてきた。
そこへ、


木がいい感じで巻き付いてるのを見つけた。
これってFF7でセフィロスがミドガルズオルムを殺したあとの死体みたいだ!と思って一人で興奮した。マニアックな話ですまぬ。

ミドガルズオルムを超えて、天然の高さ制限バーをくぐれば、いよいよ見えてくる。


不通区間への分岐点が!!
左へ行けば市道、右が県道不通区間へ続く道。
ここまで距離にして約2km、経過時間は40分弱。脚が疲れてきたが、ここからが本番だ。前・中編使ってまだ不通区間に入ってないのかと思われるかもしれないが、そこは、まあ、ね。

最後に今回のまとめ。たった2km程度の現役県道区間だが、予想外に私を楽しませるものが多かった。しかし、現役でも傷だらけのこの県道、その不通区間はどんな状況になっているのか・・・。
続く