Will it Go as Operation?? #3

 狭義のシチュエーションコメディ、とくに主人公が嘘をつき、誤魔化すことで状況が悪化していく型には、基本的な登場人物の配置パターンが存在する。

 主人公・・・ウソがバレそうになり、それを誤魔化そうと立ち回る。諸悪の根源。
 協力者・・・主人公に巻き込まれ、協力する。複数人置かれることもある。さほど積極的でないこともあるが、大体主人公より大変な目にあう。
 ターゲット・・・主人公に嘘をつかれる側。こちらも両面に嘘をつく場合は二名。騙されたあげく、走り回ったり勘違いの当事者になる。視野が狭く、勘が悪くないと務まらない。

 これが最小単位だが、多くはここにもうひとり、「第三者」的なキャラクターを配置することが多い。中盤くらいに登場し、状況をもう一段階混乱させ、一種のカンフル剤のように働く。勘違いのきっかけやオチに使われることもある。多くの場合、それまでの登場人物よりも突飛なキャラクター性をしているのは、少ない出番で印象を与えたり、物語の起伏上の処置なのだろう。とにかく、難聴だったりアルコール依存症だったりPTSDの退役軍人だったり、そういうキツめのデフォルメをされている(たとえコメディであっても)場合が少なくない。

 これをおれは、、、あんまりいい表現じゃないのはわかっているが、「気ちがい老人」という一種のストックキャラクターとして認識している。さすがに現代のシットコムでは減ってきているものの、コメディリリーフ(これも嫌いな言葉だ)的に「ぶっ飛んだ(これもだ)」性格付け・属性付与がされている登場人物は、たとえ若い女性であっても「気ちがい老人」枠である。

 オーソドックスなシチュエーションコメディをモデルに書かれた原作『Go as Operation!!』にも、もちろん「気ちがい老人」は出現する。書くのも憚れるが「私服がおかしいうえに人の名前を覚えられない私服警備員・大豆生田秀麿」という登場人物で、「変な格好をした/変な名前の/変なクセのある」という立派な「気ちがい老人」である、外形的には。この設定がそんなに面白くない、という以上に行動がキャラクターに見合わず普通である(よっぽどヒロインのがクレイジー)、というどうしようもない問題が存在する、リライトに当たっての最大の障壁である。障壁だが、跡形もなく改変したりあまつさえ消滅させるわけにはいかない。そこは、リメイクなのだから。

 書店(当時)という設定を生かし、警備員に準ずるものとして万引きGメンはどうだろうか。せっかくならばなにかもう少し「気ちがい老人」味が足りないような気がしたが、とりあえず置いておくことにした。つまり今作の陣容としては、

 主人公(中年男性店員)・協力者1(友人)・協力者2(店員?)・ターゲット1(若い女性店員)・ターゲット2(大学生?)・気ちがい老人(万引きGメン?)

 という原作どおりの6人はマストである。ここでもうひとつ問題が。上記のままだと、今作では劇団員である伊藤圭太のポジションがなく(中年男性が多すぎる)、しかし企画的に稼働している劇団俳優陣は全員出演してほしい、という思いはある。どうせ全部書き直すんだ、いっそのことなら原作から1役増やすことにした。

 当然のごとく、その1役はなかなか思いつかない。そして引き続き、「本屋にするかビデオ屋にするか問題」も宙に浮いている。しっかりと、暗礁に乗り上げて来た。


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