青椒肉絲を待ちながら
這這の体でシアタートップスを出、ゴールデンウィーク終盤に賑わう新宿3丁目の飲屋街を抜け、半死半生で地下鉄に乗り込み、降りたところで空腹に耐えきれず入った深夜までやっている地元の中華料理屋で、なぜか全然出てこない青椒肉絲。待っている間に寝てしまうのもアレだから、今これを書きはじめている。
コメディやってる快感って結局、計画して準備して訓練した作戦(ネタ)が遂行され、見事成功し(ウケ)た瞬間にしかないと思っている。だから極めてゲーム的な、勝敗が明解なものだ。ウケてたら勝ち。ウケなかったら敗け。それは誰の目にも明らかで、薄めようがない。だから勝つためにビルドを組み直し、何度も練習してプレイイングを最適化する。
一方でそのときそのときで客席は変化するから、「絶対にウケるネタ」なんてものは存在しない。満席か、ガラガラか。年齢層・男女比。マチネかソワレか。天候にも影響されるらしい。そういう諸条件と、もちろんこちらのコンディション。同じ状況は2度ないし、最適化といったってそのときの最適解は変化する。
言ってみれば、おれはコメディを上演することをローグライクゲームみたいだな、と思っている。『風来のシレン』とか『Slay the Spire』とか『HADES』とか。勝とうが敗けようが毎回ゼロからのスタートで、変化する条件に対応し、運に左右されつつそれを機転とプレイイングで乗り越える。そして次のランでは前回の失敗を経験にし、さらに最適化を行いゴールを目指す。
細かいことを言えばローグライク、というよりローグライトだけど。純粋な経験だけじゃなく、今までの蓄積も大きいから。正直なところ期待とか、イメージとか。そういうものにも支えられている。
なにを書いているのかわからなくなってきたからそろそろ寝るけど、この『なかなか失われない30年』というゲーム、めちゃめちゃ歯応えがあって大変だけど面白いです。その意味ではソウルライクでもある。クリア間近のメランコリーを感じながら、残りの「ステージ」もしっかりプレイしようと思っている。