女性は全裸で寝ることを誓わされていた中世 * ベッドの文化史
欧米のドラマや映画を見ていると、男女ともに下着だけ(女性はキャミソール含む)で寝ているのをよく見かける。
特に深く考えず、エンターテイメントに於ける単なるサービスショットだと思っていたのだが。
アメリカのドラマの中で、キャミソールのことを寝間着と和訳されていたのを見て、疑問が生じたのだ。
彼らにとって、下着は寝間着なのか?
この疑問を解消すべく、私は本を手に取った。
■結論
欧米人にとって、寝具は衣服と同意 というニュアンスがあることがわかった。
18世紀までは仕立屋が寝具を扱っていたことから、寝具 特にシーツは『寝るときの衣服』ということのようだ。
そもそも西洋では何も身に着けずに寝る習慣で、どんな聖人であっても裸で寝ていた。
そこへきて、古くは自由な結婚などはなく、親が決めた相手と結婚していたために、好きでもない相手と夜を共にする妻は、せめて下着くらい身に着けて寝ようとしたのだ。
夫は不服を司祭にぶちまけたことだろう。
1279年、結婚の誓いの中に
妻は何も身に着けずに寝なければいけない
という項目を入れた司祭がいたのだ。
こうして宗教味を帯びた就寝文化は、次第にそれがデフォルトになっていき、ついには寝るときに肌着を脱ぐことができないことは、恥ずかしいこととなった。
日本人の感覚ではピンとこないのだけれど、例えるなら、銭湯に入るのに裸になれないのと似た感覚なのかもしれないと、無理やり想像した。
この本はベッドのことだけでなく、『夜の営み』の文化についても書かれている。
欧米の男性が位の高い男性の夫人と不倫したがるのは、騎士道精神なのだとか。
海外古典文学でこういった作品が多いのもうなずける。
ちなみに、トルストイの『アンナ・カレーニナ』もその手の作品であり、これはロシアの作品だが、ビョートル大帝がフランス被れだったことでロシアにはフランス文化が多く流れ込み、強く影響されているからである。
それ以外にも多くの『夜のトリビア』が書かれていて興味深い本である。
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