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bonobos(ボノボ)のこと

bonobosというバンドがいる。

あと3日で
「いる」が、「いた」に変わる。

2023年、3月5日のライブをもって、
解散するのだ。

海外にもボノボというバンドがいるようなのですが、こちらは日本のボノボの話です。

私とbonobosとの出会いは、2003年。

その頃、大阪で、
音楽情報を発信する学生団体
「CRJ-west」に入っていた。

おもにインディース音楽の情報を発信する団体で、
毎週、京橋にある事務所に、
レコード会社から音源が届き、
それをみんなで聴いて、ランキングをつけていた。

まだスマホもない時代に、
できたてほやほやのインディーズ盤が聴ける。

宅急便の封を開け、生まれた音楽にどきどきする。
最高の学外活動だった。

2003年のある週、
この音源が届いた。

bonobos最初のミニアルバム


平成らしい、ポップな曲調。

でもフォークっぽさもあり、
いろんな民族音楽の風味もして、
リズムがなんだか新しい。

新しいのに、荒削りな感じではなく、
「俺らボノボってこういう感じです」
がはっきり出ている音だった。

当時、インディースで増えていた、
DUBとかHIPHOPとかのクセつよ勢の中で、
この完成された音楽が、一際浮き立っていた。

ー ー ー

話はすこし変わる。

bonobosがメジャーデビューして、
J-POPに新しい系譜を作り出していた頃、
私は病気で1年入院し、音楽の学生団体も辞めた。

入院している部屋には、
その団体、CRJの仲間たちが作ってくれた、
bonobosの音源も入ったディスクがあった。

ー ー ー

それから大人になり、
私も普通の社会人になった。

bonobosの新譜が出ては、
発売日にタワレコで買い、
タワレコから、無形のiTunesに変わり、
iTunesからSpotifyに変わり。


デジタル化がすっかり進んだ後で、
なんのきっかけか忘れたけど、
ライブにも行ってみようと思い立った。

初めて生で聞いたbonobos。

めちゃくちゃかっこよかった。


bonobosは、メンバー5人全員がうまい。
ギター、ベース、ドラム、キーボード。
そしてボーカル。

bonobosは後期に向かうにつれ、
どんどん難解な、
技巧的な音楽を作るようになるのだが、
レベルが上がっても、
平気な顔をしてするするっと演奏してしまう。


なぜ解散するのか。

仲間割れとか不一致とかじゃなくて、
このメンバーでできる「bonobos」という活動が
最高到達点まで、きた。

だから、フォーメーションチェンジします。
ということなのかと勝手に思っている。


ほぼ日での、bonobosボーカル蔡さんの言葉
も、たぶんそういう意味なんだと思う。

バンドたるもの、
同じメンバーで続けるべきだっていう
バンドマンもいると思うけど、
ぼくは、あんまりそうは思ってなくて。

蔡バンドを戦隊モノとして捉えるならば、
『サンバルカン』を見てみろ、
レッドさえいなくなることもあるんだ、
そう思ってやってます(笑)。

(サンバルカンって見たことないけど、なんとなく意味はわかった。)


そんなわけで、解散しても
私が号泣することはないだろうけど、
いまの最高な5人での演奏は、
もう見られないかもしれない。

そう思うと、そのロスは計り知れない。

だから、最後の2週間。

東京COTTON CLUB 1日2公演、
心斎橋BIG CAT、日比谷野外大音楽堂、ぜんぶ行く。

ー ー ー

話がとっ散らかるが、
もう一つ、bonobosの話。

私の大好きな洋服のデザイナーさん。
そのデザイナーさんが、bonobos好きらしいと知った。

自分の好きな人の好きが、
自分といっしょだと、とても嬉しい。


そのうちに、bonobosのベースの
森本夏子さんの衣装が、
そのブランドのものであることに気づいた。

大好きなbonobosの森本さんが、
私の大好きな服のブランドが好きなのだ。

好きと好きと好きがぐるぐるして嬉しい。
私が薦めたとかじゃないのに、勝手に嬉しい。

(なっちゃんのセーター、色違いで私も持ってる)

ー ー ー

あともう一つ、bonobosの話。

解散が発表されて、最初に行ったライブ。
恵比寿リキッドルームのフロア最前列で、

" ああ、あと何回見られるんだろう。
 悲しいなぁ、ありがたいなぁ "

と思って見届けて、
終わった瞬間に、すごく
「ありがとう」と言いたくなって
本当に言ってしまった。

メンバー全員が、ステージの最前まで出てきて
肩を組んで一堂礼をしている時だった。

ギターの小池龍平さんが、
すっと顔をあげてニヤッとした。

もっと、bonobosが好きになった。



さんざんとっ散らかしたが、
いちばん書きたかったことを、
書いていないかもしれない。

私がbonobosを大好きなのは、
「美しい」という言葉を、
ほんとうに「美しく」歌うからだ。

歌詞に、そのまま「美しい」という言葉を使う人は
多くない気がする。

ボーカル蔡さんの歌詞は、
ちょっと讃美歌に似ている。

美しいことを、美しいと歌い、
みんなに幸あれと祈りを込めている。
(ように、私には聞こえている)

私生活でちょっとつらいことがあったり、
人の汚い部分に触れてしまって落ち込んでいるときに、
この「美しい」はよく効く。

ぽろぽろと涙が出て、
汚いものを流してくれる。

人生のそういう思い出に、
いくつかのライブがなっているから、
お礼の気持ちも伝えたくて、ライブに行くのだ。


あと2公演、
大阪、東京、
全力で見届けるぞー!

(大阪に向う電車の中で)


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