【Youtube視聴者ならわかる】ASD(自閉症スペクトラム)の説明をガチで聞いたら、IT系の血が騒いだから解説してみた。

先日こちらを聴講してきまして、伺った情報のまとめに私の理解と解説を加えてお話しできればと思います。医療の識者とかではないので、公開後のコメントやTwitterでの反応にも協力してもらいながらグイグイ直していこうと考えております。
ここではとっつきやすい情報発信を優先するので、正確な情報は井手先生のnoteをご覧ください。

では、基本情報から。

〇講座名 :【脳科学】教えて井手先生! 感覚過敏のほんとのところ
〇開催日時:2019年11月09日 18:30~20:30
〇会場  :アットビジネスセンター東京駅八重洲通り

感覚過敏とはその名の通り、五感などの感覚が人より強く感じられる体質で、感覚過敏はASDやADHDなどのいわゆる発達障害との併発が多いそう。そのため発達障害の症状のひとつとして挙げられているのを私も見かけたことがあります。

最初に白状しておくと、感覚過敏とASD者の明確な違いをお話の中で聞き取れませんでした。なので、主語が感覚過敏になったり、ASDになったり安定しない部分がありますが、ご了承ください。精進します。
今回お話ししたいことをサクっとまとめます。

・ASD者の原因として2要素、「感覚神経の興奮頻度の増加」と「脳領域の協調の困難さ」が発生している方が多い
・例えるなら高画質動画をネットワークが混む時間帯に視聴するようなもののため、処理遅延が発生したり、状況が読めていないと思われる様子
・しかし、定形発達者(発達障がい者の対義語)が妥協して解像度を落としてしまうところを子細に感じ取れるASD者の方がよりありのままに世界をとらえられている可能性がある

1.感覚過敏は「感覚器が過敏な人」ではない!?

ここからは、全体を3分割してお話します。まずは井手先生が何をお話されていたか、覚えている限りでご紹介します。つまりどういうこと?を解説するのは次の段としますので難しいなと思ったらここは遠慮なく飛ばしてください。
まず感覚過敏がどのような特徴を持つか、というお話です。大きく3点ピックアップします。

特徴のひとつ目かつ今回一番のびっくりポイントなのですが、感覚過敏というのは、神経が反応する強度ではなく、神経が反応する頻度にどうも原因があるんだとおっしゃってました。
すごく大事な事なので言い直しをしますと、感覚過敏の人とそうでない人の違いは、神経が1回ドーン!と反応するか、トンッと反応するかの違いではなく、同じ時間でビビビビビ!って反応する人と……ビッ……って反応する人の違いなんだそう(伝わるでしょうか……)。
この神経の働きにより感覚過敏の方は、感覚過敏のない人が感じるよりよほど強い刺激を受け取ってしまうのです。
(強度が関係ないってポイントで引っかかった方は全か無かの法則の説明をご覧ください。※YouTubeへのリンクです)
井手先生はこの事象から着想を得て感覚過敏の方がどの程度細かい時間を知覚できるか実験をしたそうで、協力いただいた方(1名)と定型発達の方を比較すると、約10倍の開きがあったそう。

感覚過敏の特徴2点目は、脳の領域同士の協調が苦手な方が多いそうです。特に、脳の領域が遠いほど協調が難しくなる傾向があるそうです。逆に近いと定型発達者より処理が速い事もあるらしく、うまく得意を伸ばすことで人にはない才能を開花させることもあるとおっしゃっていました。
具体的には、言われた言葉を相手の感情に置き換える、頭で考えた動作を自分筋肉の運動に落とし込む、などの変換処理に不具合が発生するとのことでした。これが感覚過敏にも繋がっており「今日は周りがすっごく明るいけど、まぁこの位の明るさだと思って処理するか」みたいな調整行為に不具合が発生するそうです。
ここからは私の解釈なのですが、同じ嫌なことがあった時に相手の気持ちや環境に情報を散らして処理ができる定型発達者と、それが苦手なASD者では自分の感情にモヤモヤが溜まる度合いに差が出るんだろうなー、と思いました。事実、ASD者は鬱になる方の比率が多いのだそうです。

井手先生のお話に戻ります。3点目は、上記2点のような「特徴の強弱が多様」であることでした。定型発達者は、同じ刺激を与えると、同じ脳の領域が活動するのですが、(参考:幼少期にポケモンにはまった人は、脳に「特化した領域」が出来ている:研究結果)ASD者の脳の活動量を測ると同じ刺激でも個人のバラつきが大変大きかったそうです。ASD者と一括りにして同じ補助やフォローをすることはできないようです。

お待たせしました!一通り解説したのでこの過敏性、脳領域間の協調性の偏り、多様性を細かいことは一切置いて、YouTubeの機能に置き換えてみます。繰り返しますが、正しい情報は井手先生のnoteをご参照ください。

2.感覚過敏の脳でできること、苦手なことをYouTubeで例えてみる。

今回のお話を聞いて感覚過敏(ASD者の困り事)を「土曜の夜でも最高画質でYouTubeを観ちゃう状態」だと置き換える事にしました。どういうことかは順々にお話するので、まあ聞いてください。

①前提:高画質動画って何?
まずは動画の容量がどう算出されるかを説明します。
そもそも私達が画面を通じて観ている動画は全て「写真をすごい速度で切り替えて、動いてるっぽく見せているもの」でしかない事をご承知置きください。説明の都合上、音質については今回言及しません。
そんな動画の画質を決める要素は2つありまして、写真1枚1枚の画質の良さと、写真が切り替わる頻度に依存しております。
画質10の画像が1秒に3回出てきたら動画の容量は30といったように、かけ算でお考えください。

②整理:動画の容量とASD者の脳
動画の容量がどのように決まるかをざっくり理解していただいた所で、ASD者の脳に近い動画ってどんなもの?っていうのを明らかにしていこうと思います。
画質の良さは、感覚過敏の特徴2つ目に挙げた「脳領域どうしの協調がうまくいかないことによる調整行為の不具合」のせいで「正しい情報量がよくわかんないからとりあえず見たままの最高画質を採用してみる」状態になります。強制ハイビジョン状態だとでも思ってください。
画像が切り替わる頻度は、特徴1つ目の兼ね合いです。神経が高頻度で反応するので、写真がものすごい速度で撮られます。つまり高速で画像が切り替わるカクカク感極小な動画という訳です。
コレをかけ算すると、ナショナルジオグラフィックもドン引きの超大容量動画を頭で捌くことになります。すごいことじゃありませんか?

③比較:YouTubeの機能で比較する定型発達者とASD者
お待たせしました、本題です。定型発達者とASD者の脳をYouTubeの機能に置き換えると、どういう違いがあるの?という点を明らかにしていこうと思います。
ざっくり言うといい感じに減らせるか、減らせないか、という違いなのですが、この違いをもう少し具体的に見てみます。

(a)作業用BGMにもハイビジョン動画
まずは、自分一人に閉じた情報入力のお話です。
定型発達者は自分の目的に応じて動画容量を落とすなど、調整をしますが、ASD者にはそういった処理が苦手な方がいます。例えば、音楽を聴いてもらうのが目的の動画はYouTubeだと静止画+音という組み合わせが多いと思いますが、こういった判断が苦手な方はお構いなしにハイビジョン動画が添えられます。アップロードされてる動画が大容量縛りの配信サイトを想定してください。実態には近いですが取り回しは悪そうです。
この「迷ったら(迷わずに)実態に一番近い状態を頭に放り込んでしまう」というのが、感覚過敏の正体なのではないかと考えています。

(b)ネットワークが混んでもやっぱりハイビジョン
次に、周囲や環境との協調についてです。
土曜の夜など、回線が混み合う時間帯は、YouTubeだと自動的に画質が落ちる(画面がザラザラになる)なぁ、というのは皆さん経験があると思います。これは動画が途中で止まりにくくなるようにシステム的に配慮されているのですが、これも苦手な方がいます。つまりYouTubeから画質調節機能がなくなった配信サイトというわけです。
ASD者の特徴の一つに周りの状況を見ずに過集中を起こしてしまうという特徴が出る方がいますが、こういった特徴に由来するものと思われます。

(c)今日と昨日の5分が違う
上記(a)、(b)のどちらも苦手な場合を考えてみましょう。
大容量の動画しかない、でも画質調整機能がない動画配信サイトでしか動画が見れなくなったパラレルワールドを想像してください。

しばらくお待ちください。

これです。ずっとこれなのです、ネットワークが空いている日も、すごーく混んでいる日もこれなのです。そうすると、同じ5分の動画を観たとしても毎回開始から終了までの時間に差があるのです。
ASD者には時間管理が苦手な方もいると言いますが、周りの状況によってこっそり処理落ちを起こしていることにより、同じ時間を測るのにも体感が全く異なり、時間感覚が掴みづらい状態に陥っているのではないかと考えました。

3.感覚過敏は果たして障害か?

最後に、一通り特徴の抽出が完了したところで改めて、感覚過敏って特徴であって短所じゃないよねー。みたいな前向きな話ができればと思います。
これを読んでいる皆さん、顔の前でブンブン手を振ってみてください。そして目で追ってみて下さい(外出先だったらすみません)。
今見たご自身の手は、先述した動画のように画像の連続だったでしょうか?数十〜数百分の1秒ごとに位置がワープしていたでしょうか?
今回講演いただいた先生方は「世界をより正確に捉えている」と仰っていましたが、まさにここが違いだと考えています。
定型発達者は処理をする速度を優先するあまり目の前にあるものときちんと向き合えていない可能性があります。スピード感を求められている社会の中である程度は仕方ないかもしれませんが、質を優先する脳内の処理をしている方にも敬意を払って、両方が生きやすい社会になるともっと素敵ですよね、などと思った次第です。

まとまりはありませんが、今日のところは以上です。
門外漢がワーワー言っている記事のため、誤りや失礼な表現があったら教えてください。即直します。

酒蒸

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