見出し画像

24歳のカメラマンがお店に来てくれて、40歳の写真好きが色々気づかされた日

平日の一人営業、今日は静かだなぁなんて思ってた22時半頃に一見さんが来てくれた。初めましての人が1人で来てくれるのがコロナ禍になってからは珍しく、聞くと、年齢は24歳。「若!」と思わずこぼれた。
そしてバイトをしながら写真を撮っていると話してくれた。
その時僕は咄嗟に「俺も昔はカメラマンをやってた時期があって」と言ってしまった。自分で現在進行形に言えないことにちょっとびっくりした。

ここ2年のコロナ禍で、頂いてた写真の仕事はほとんど無くなってしまった。それもあって、Twitterのプロフィールに書いていた「たまにカメラマン」という表記を「写真好き」に変えていた。それもあってその言葉が出て来たのかもしれない。

そこからそのお客さんと色々と話し込んだ。
どういう写真を撮ってるかも見せてくれた、凄く良かった。
綺麗で繊細でやわらかくて格好良くて色んな要素がある写真を撮っていた。
自分がどういう写真を撮れるかをちゃんと言葉にして語源化できる人だった。それも凄いと思った。
自分の写真にちゃんとポリシーも自信も持っていた。
そして、「写真を撮ってないと生きていけないです僕」と言っていた。
めちゃめちゃハッとさせられた。

画像1

僕は24歳で会社員を辞めて、25歳になる直前に新宿2丁目aktaという所で写真展を始めた。そこからカメラマンと名乗り始めた。当時の名義は風太郎。
フリーターをしながらカメラマンで食って行きたいと思いながら気づいたら30歳になっていた。30歳でフリーターカメラマンだった時、そんなに稼げてもなくてタメ飲みなんかに行くと「保険とかちゃんと払ってるの?」「もうそろそろ地に足をつけないといけないんじゃない?」と言われた。そっからタメ飲みに行かなくなった。これは自分のせい。だし、そこでそれでも自分は写真でやっていきたいんだと胸を張れなかったから、引け目もあったんだと思う。

24歳のカメラマンは「30歳までに結果を出さなきゃダメって色んな人に言われるんです。でも30歳過ぎて成功する人もいると言った人もいるんです。」と話してくれた。自分のことと照らし合わせながら聞きこんでいた。
そこでようやく、自分が今も写真を撮ってること、店に自分の写真を展示してることを伝えると、1枚1枚とても丁寧に見てくれた。

画像2

「被写体との距離感が良いですね」と言ってくれた。
初対面だけど、多分嘘を言わないタイプだなと感じてたので素直に嬉しく思った。

僕は29歳の時大阪で占いが出来るというママさんお店に友達に連れて行ってもらって、占いは昔のトラウマで好きではなかったのに(この話もいつか機会があればします)なんだかとても説得力がありそうなその方に、写真かお店の経営かどっちをメインにしていこうか迷ってるという話をした。
占いの結果は、30歳になるときにどっちか1つに絞れていたらそっちはちゃんと成功しますよ、と言われた。
そして僕は30歳になった時、お店を構えたいという方を心の中でとったのを覚えてる。
それでもその後、31歳で新宿2丁目で雇われ店長をする直前まで、人生で唯一、1番の収入が写真仕事だった時期を少しだけ経験できた。そんな中で自分は商業で写真を撮るより、好きな写真を撮って行きたい、そんな写真を自分の店に展示できるような店を構えたい、その思いが強くなったのも覚えてる。

コロナ禍前は他の人にも展示してもらったりしてた店も、この2年は自分の写真を定期的に展示することになっていた。
喫茶店のおじさんが自分の趣味の写真を展示してるような感じだよ、なんてとお客さんに言ったりもしてたんですが、それでいいのかななんて思ってたりもしてたので色々葛藤しながらも写真を撮りたい!自分の写真を認めてもらいたい!と強い意志をもって話すそのお客さんが僕にはとても眩しかった。
ほんとに、眩しかったなぁ。

結局閉店時間を超え1時過ぎまで話して初来店でボトルまで入れてくれて帰っていった彼を見送って、閉め作業をしながら色々考えてました。

また彼が来てくれて、写真のことで悩んだりしていたら自分が言えることはなんなんだろうかとか想像したりして、写真撮るの楽しいよね!くらいしか言えないかぁ、でもいまだにそうは思えていて良かったとも思った。

凄く、いい日にしてもらいました。

コロナ前と比べるとまだ全然だけど少しずつ、前出来ていたことがやんわり出来るようになってきてる。有難いことに今月が入社式と新入社員を撮る仕事、舞台撮影、ライブイベント撮影を頼まれた。まだ需要があることに安心もしているし、写真を撮る機会をもらえることが嬉しい。こう言えちゃう時点でプロっぽくはないんだろうなとも思う。それでもいいか、なんて思って歳とっちゃったんだなぁって思うけど、それも悪くないか。なんて思う。
ライブ写真や舞台写真は誰にも負けてないと思ってる。その意思はかわっていなくて良かった。

画像3

いまだにプライベートでカメラは持ち歩いたり、友達を撮らせてもらったり道ばたで思い立って撮ったりしたり、そんな感じで楽しめてる。たまに仕事もある、だから写真好きのおじさんとして、まだまだ謳歌して行きたいなって思うし、店での展示も友達がもっとこうしたら!なんて言ってくれたりして気にかけてもらえてるのも嬉しいし、言ってくれたアドバイスをどういう形にしようかなんて思ったり、まだまだ出来る事沢山あるな。奥深いなって思ってます。

24歳のカメラマンにnoteにこの話を載せる事を許可もらいました。せっかくなので彼の写真が見れる場所載せておきますね↓

若いって素晴らしい、なんて昔は言われてもポカンとしてしまったような言葉を使ってしまいがちになるけど、そしたら歳とるのも楽しいよ、って言えるように、そう見えるようにならなきゃ。

そんな事に気づかせてくれた彼に、お店に来てくれて出会ってくれてありがとうと伝えます。ちゃんと直接も言うけどまずはここで。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?