【実録】介護事故 損害賠償のゆくえ
プロローグ
はじめに
父は特別養護老人ホーム(以後、「施設」と言います)へ入所して1年を迎えたところで、施設内での食事中に食べ物が喉に詰まり誤嚥窒息で亡くなってしまいました。
事故当日に施設からは「ご自身(父)で食事をしていて喉に詰まらせた」と説明されていましたが、のちに「職員が食事介助をしていた」ことが発覚したため、改めて施設へ説明を求め虚偽報告と責任の所在について確認しましたが、最終的に施設側からは「施設に責任は無く、不服があれば施設が契約した弁護士へ問い合わせてほしい」とバッサリ。
なんと不誠実な対応だろうと憤慨し思い悩んだ末に、私たち家族も弁護士へ相談することにしました。
この記事は信頼していた施設で父が亡くなったあとに発覚した介護事故について、施設の不誠実と思える姿勢に対してとった行動、およびこれから入所予定の方もしくは既に入所されている方の家族が私と同じような目に合わないための参考事例として体験談を残そうと思います。
また似たような体験談はネット検索してもあまり目にすることが無かったこともあり、私自身が市役所や病院、警察署、厚労省などへ問合せ確認したことや弁護士への相談などで理解したことなどをできる限り具体的に記述していこうと思います。
但し、遺族目線での記述となりますので、極力文言が偏らないよう心がけますが多少の想いが入るかもしれないことはご容赦願います。
なおこの記事をご覧いただいている方は、介護事故に合われた、介護事故を心配されている方かと思いますが、記事内容のパートの1つでも参考になれば幸いです。
介護施設の現状
まずは、ざっくりでも施設の現状を知ることから始めようと思います。
政府統計資料によると国勢調査のあった2020年度では、65歳以上は35百万人、構成比28.7%であり、10年前と比較すると6百万人増、構成比も5.7%増と増加しており、人口の3分の1近くが65歳以上という状況です。
そんな高齢化社会が進むなか施設へ入所される方も増え、それに伴ってか介護事故も増加しているようです。
介護労働安定センターの介護事故に関する調査報告書「介護サービスの利用に係る事故の防止に関する調査研究事業報告書(平成30年)」によると調査対象期間での事故原因は「転倒・転落・滑落」が65.6%、「誤嚥・誤飲・むせこみ」が13.0%、「送迎中の交通事故」が2.5%、「盗食・異食、ドアに身体を挟まれた、その他」で6.9%、「不明」が12.0%という状況でした。
また時折り施設での「虐待や暴行」などのニュースが報道されているのも目にします。
施設へ入所される高齢者は、パーキンソン病やアルツハイマー病などを患って自宅では目が離せないとか家族でお世話する時間や体力がないなど様々な理由によりやむを得ず施設へお願いする方も多いと思います。
私の母も自宅で父が転び、起こそうとしたが、父が重くて母が父を抱えたまま一緒に転んでしまうということが度々あり、限界を感じてケアマネージャーへ相談していました。
施設に勤める職員の方々は、高齢者の命を預かっているわけですので気を抜くことも許されないうえに多忙であり、心身ともに疲れやストレスが溜まる重労働な仕事であろうとは想像できます。
しかしそれ故に施設職員が入所者一人ひとりの細かなところまで目が届きにくく、事故に繋がりやすくなる原因のひとつになり得ているとも思えます。
例えば、「特別養護老人ホームにおける介護事故予防ガイドライン」には、誤嚥対策の具体例として「食事介助は職員1人で利用者2人までを限度とします」と明記されていますが、職員1人で多数の入所者を一度に対応しているのが現状ではないでしょうか。
予期せぬ事故が起きてしまうことは仕方ないことかも知れませんが、問題は職員へ事故予防の教育や事故が発生した時の対応が適切に行われているかということです。
人手不足などによりお世話をするのが手一杯で十分な職員教育ができていないのであれば、事故リスクは高くなり、事故が発生した場合にも適切な対応がなされないリスクも高くなります。
私も含め、この記事をお読み頂いている方も、いつか老人ホームにお世話になるかも知れないと思うと他人事ではないと感じます。
先にも述べましたが高齢化が進み人生100年時代とも言われていますが、高齢者の増加傾向の裏で少子化も進んでいるため、労働人口が減少傾向にあると思うと先行きの介護事故リスクの不安要素もますます高まっていくのではないかと考えています。
父の介護事故で食い違う説明
事故当日、私は仕事をしていると父がお世話になっている施設から「ご自分(父)で食事されていて喉に詰まらせたため救急搬送されました」と電話で緊急連絡を受けたので、慌てて搬送先の病院へ向かいました。
病院へ到着すると担当医から「これが喉に詰まっていました」とパンの塊りを見せられ、そして父の息が止まっているのを確認しました。
父はパーキンソン病とアルツハイマー病を患っており、またよく転ぶようになったため、やむを得ず施設へ入所することになったのですが、コロナ禍であったため入所後は家族も直接の面会ができない環境下でした。
時折り施設から届く資料で父の状態を確認する程度でしたが、父はよく「家に帰りたい」と漏らしていたようです。
そんな中あまりに突然の死に家族全員が悲しみながら、どうにか葬儀を済ますことができました。
そして一周忌を迎えたあとに施設が「自分で食事していた」という説明内容とは異なる「施設職員が食事介助を行っていた」と明記された報告書が出てきたのです。
何故1年も経ってからと思われるかも知れませんので説明しますと、私は父の一周忌の時に施設内での死亡事故だったのに、何の連絡もなく薄情なものだと思いつつ、そう言えば事故当日も事故発生時の状況を電話による一言だけの説明で、お詫びの言葉もなかったことに気付き、少し違和感を覚えたためネットで「介護事故」、「誤嚥事故」などと検索してみると「賠償責任を恐れて謝らない施設もある」とか「遺族から問い合わせが入るまで待っている」などという記事を見つけました。
また施設で事故が発生した場合は、市役所へ事故報告書が提出されるということも知り、さっそく市役所へその報告書について問い合わせてみると事故発生から数日後に提出はされており、それで事故当日の電話連絡で説明された内容とは異なる報告がなされていたことが分かったのです。
つまり施設から家族へ報告した内容が、たった数日後に異なった内容で市役所へ報告されており、家族へ訂正の連絡がされているのであればまだしも、それも無かったということは、施設は家族へ故意的に虚偽報告したとしか思えないということになります。
その報告書を見た時は、信頼していた施設に裏切られていたという気持ちがこみ上げてきたのですが、同時にもしかすると事故当日の施設からの連絡内容が私の記憶と違っていたのかも知れないという思いもありました。
それで改めて施設へ当時の事故状況と原因についての説明日を設けて頂くと、職員からは事故当日と同じ「自分で食事を摂っていて喉に詰まらせた」と説明されたのです。
これでこの施設は真実を報告していなかったと確信したため、施設が提出した市役所への事故報告書を確認していることを伝えると施設管理者は、職員が食事介助していたことを認めたのです。
そして改めて事故当日の状況について詳細を報告してもらうことにしました。
事故状況の真実
事故当日は、施設の食堂にて職員1人で入所者5名の朝食対応を行っていました。
朝食が配膳され、皆さん食事を始めたのですが、父はなかなか食事が進まなかったようで、それに気づいた職員が立ったままの姿勢からパンを父の口に運び、すぐさま他の入所者への対応を行い、そして1分も経たないうちにまた職員は同様の姿勢で二口目を運びました。
しばらくすると父は苦しそうにもがきだし、職員は慌ててコップのお茶を飲ませました。
その直後顔が天井に向いて意識が無くなっていったのです。
誤嚥だと思った職員は背中を叩きましたが、詰まったものが出てこないため他の職員へ連絡し、意識が戻らないため救急車を要請したということでした。
これが真実だとすると、パーキンソン病、アルツハイマー病を患っている入所者への食事対応として適切とは思えなかったのですが、その場では法的に何が不適切だったのかまでは分かりませんでした。
事故状況を推理
その後、真実を知って何が問題なのか、職員の重大なミスの有無について考えてみました。
そこで、念のため母に父が施設へ入所する前の自宅での食事状況について聞いてみると、とにかく咀嚼が遅く、パンはあまり好きではなかったようで特に咀嚼が遅かったと言うのです。
そうだとすると喉に詰まっていたのがパンだと言われていたので1回目の食事介助でパンを食べさせてもらい、まだ咀嚼中だったが、職員は立ったままの姿勢なので嚥下を確認できておらず、短時間で2回目の食事介助され口の中の食べ物の量が倍となったことで喉に詰まりかけ、それに慌てた職員がお茶を飲ませたことによりパンが膨張し気道が塞がったのではないかと推察しました。
ただ、母にパンの咀嚼が特に遅いことを予め施設に伝えていたかを確認すると、覚えていないということであり非常に残念に思いました。
施設の姿勢
そんなおり施設での状況説明を聞いた数日後に「施設の責任は感じられるので保険対応したい」と申し出があり、想定外にすんなり進むため少し不安を感じながらも初めての経験でもあり、こんなものなのかと思っていたら、やはり落とし穴がありました。
保険対応の話をされたときにやけにしつこく確認してくるとは思ったのですが、私が事故状況を推理したようなことを改めて施設も認識して賠償責任を認め保険会社へ手続きを行うものと思って保険対応の了承をしましたが、そういう意味ではなかったようです。
保険対応したいと言われてから数か月後に施設から「保険会社の判定では施設に責任がないという結果となったため、これで対応は終わります。」と責任がない理由などの説明は一切なく、対応終了のみ口頭で告げられたのです。
これもあまりに酷い対応だと思え、説明日の数日後に保険対応連絡が入ったのが早かった理由は、最初から保険会社を理由に終わらせようというストーリーだったのではないかと疑えるほどでした。
いずれにしても口頭のみで責任はないと言われ、終わりますでは納得がいくはずもなく施設に責任がないという理由を書面で報告するよう強く要請しました。
さてどうする
すぐに私は弁護士へ相談することを考えましたが、いざ弁護士への相談、依頼しようと思っても結構な費用がかかりそうだし、そもそも介護事故に強い弁護士をどう探したらいいのか分からず、まずはネット検索などで調べることにしました。
調べてみると介護事故は密室で発生する事が多いため施設の責任を立証することは非常に難しく、訴訟しても勝訴するケースが多くないことが見えてきました。
勝てる見込みが薄いのであれば、泣き寝入りする方が楽なのかと思いだしていたところに、妹から「多少費用がかかったとしても後でやっておけば良かったと悔やむより、負けてでもやっておく方が一生悔やまずに済むんじゃないの」と言われ、確かにそうかもしれないと弁護士を探すことにしたのです。
ただ弁護士へ相談、依頼するにしても誰でもいいと言うことではないため適任を探すのには時間がかかりました。
また私自身でも独自に調査を行い、何処へ問合せ、どんな資料を入手したか、そして弁護士の探し方、弁護士による調査方法などは後述します。
ですので、これから施設へ入所される方、既に入所されている方へ早めにチェックされた方が良いと思えることについて、先に私の「やっておけばよかった」反省点などをお伝えしたいと思います。
施設への入所時チェック
父自身が選んだ施設
出来ることなら自宅で最期の時までを過ごしてもらいたかったけど、その施設で最後を迎えることになるかもしれないと思いつつ、やむを得ず住み慣れた家を離れるのですから、できる限り本人が安心して生活できる場所を提供してあげたいし、家族としても信頼できる施設を選びたいものです。
私の父は85歳を過ぎた頃から家の中でよく転倒するようになり、いよいよ母一人では面倒をみきれない状況になってきたところにパーキンソン病が発症、その後アルツハイマーが発症し87歳のときにデイサービスに通い始め、88歳で要介護3に認定されたため特別養護老人ホームへ入所することになりました。
父がデイサービスで通った施設がいいと言うので、通いなれた先でもあるし、父の状態も把握されているだろうからとあまり気にすることもなくその施設へ入所することが可能ということでお願いしました。
「後悔先に立たず」とは言いますが、今思うともっと関心を持って関与しておけばよかったと後悔をしています。
施設への入所時のアンケートに答えた程度で済ませてしまったのですが、施設についてもっと調査して、アンケート以上の些細なことも伝えておけばよかったと。
過去に介護事故は無かったか
施設へ入所する前にその施設で過去に事故、事件が無かったかを予めネット検索や口コミなどで念のため調べておきます。
高齢者が集団でお世話されているので、誤嚥とか、転んだとか、擦りむいたとか、大なり小なりの事故等は発生していると思えますし、発生したことが全くないということは考えにくいですね。
調べてから施設へ直接問い合わせてみて、施設応対者から何らかの事故があったことを伝えられた場合は、「事故発生件数、個々の事故の発生時期、事故原因、事故対応、再発防止対策など」についての内容を確認してみて、適切に対応されていたかを把握します。
重要なのは「再発防止策」がキチンと講じられており、それが実践されているかということです。
もし同じような事故が繰り返し発生しているようであれば、家族を預けることが不安になりますよね。
ただ全ての事故を防止することは難しいと思いますので、発生してしまったあとの対応と責任の所在を明確してもらえることが、その施設への信頼に繋がるとは思えます。
故に施設へ問い合わせた時に事故の発生を包み隠さず話して頂ければ、その施設はまだ信頼に値するのではないでしょうか。
そしてできれば再発防止策や実践している説明などを録音しておくと、もしもの時に役立つかも知れません。
逆に事故があった事実を隠蔽や歪曲するようなら、今後も何かにつけ隠蔽等をされる可能性が高いと思えますので、信頼できない施設だと判断することができます。
隠していてもいつかどこかで発覚するものだと思いますし、この確認は既に入所されている場合でも、もしもの場合を考えて問い合わせておくことで牽制に繋がるとも思えます。
施設内の防犯カメラ設置状況確認
施設内の防犯カメラの位置や記録方式(常時録画か動きがある時だけ録画されるタイプか、また録音もされるか)を確認しておきます。
特に食堂など食事が提供される場所にカメラが設置されているかは確認しておくことをお勧めします。
というのももし誤嚥など事故が起きた場合にその記録映像があるとどのような状況で事故が起きたのかが一目瞭然であり動かぬ証拠となるからです。
防犯カメラがあることを確認できたら、実際に記録されている映像も確認しておくと良いと思います。
確認する時には、「映っている範囲、画質の粗さ、話し声が聞こえるか」などもチェックしておきましょう。
また施設の見取り図をもらうか自分で簡単に作成してカメラの位置、映っている範囲と先ほどチェックした内容などを書き込んでおくと自分なりの覚えになります。
何年か経過すると確認したことを忘れてしまうこともありますので、施設との入所契約書などと一緒に保管しておくのがいいと思います。
父がお世話になった施設にも防犯カメラは食堂に設置されていましたが、画像が粗く、職員が食事の介助をしている様子は認識できてもどんな大きさの何を食べさせてもらったのかの判別はできませんでしたし、職員が食事中に口頭で注意喚起したと言われるのですが、何も聞き取れなかったのです。
またこれは難しいのかもしれませんが、食堂での座席位置としては防犯カメラに顔が映る向きに座らせてもらえるかを問い合わせるのも家族を心配しているという意思表示にも繋がると思います。
介護認定時の主治医意見書
私は、父の事故により初めて知りましたが、入所前の介護認定審査においては、主治医の意見を確認するとこになっています。
市役所へ介護認定時の資料を申請すると「介護認定審査会資料」「主治医意見書」「認定調査票(特記事項)」を入手できます。
但し、主治医意見書は要望しないと出てこない書類でしたので注意は必要です。
主治医意見書に「傷病、特別な医療、心身状態、身体状態、生活機能とサービス、特記事項などに関する意見」が記入されます。
故に介護認定の判定結果がでたら、ご自身でも市役所へ問合せ「主治医意見書も含めた介護認定審査会資料」を入手し、内容を確認してから介護施設へも入手されているかを確認してみましょう。
ちなみに地区により異なるかも知れませんが、申請時に登記簿謄本など家族関係が分かる書類が必要で、入手に2週間程度かかりましたが、資料代は不要でした。
また介護認定結果については、施設へ例えば「要介護3」などと知らされるのですが、主治医意見書内容などは、施設が要望しない限り知らされないとのことでした。
判定結果のみ伝えて調査した内容は伝えないというのは少し不思議な気もしますが、現状はそういう仕組みなのだと理解するしかなさそうです。
しかしそのことは施設自体も認識しているでしょうから主治医意見書などの内容を把握せずに介護にあたる施設があるとすれば、信頼に値しない無責任な施設だと思えてしまいます。
特に主治医から「しばしば誤嚥がみられる、転倒を繰り返す」などと家族としても気になるコメントが記入されているようであれば施設にこの主治医意見書の内容を把握しているかを確認しましょう。
下記に介護認定審査時の資料画像を貼付しますが、記述された内容はほぼ塗りつぶしていますのでご容赦願います。
心身の状態は書面で細かく伝える
施設側は自宅での生活状況や健康状態、嗜好品や癖などについてアンケート形式で確認されているようですが、それ以外にも施設へ気に掛けてほしいことなどがあれば、どんな些細なことでも伝えておきましょう。
伝えておきたい事例として
食事については、特定の食材だと誤嚥しやすい、むせやすい、咀嚼に時間がかかる、口からよくこぼす、好物は大量に口へ入れる、焦って口に入れる、真夜中に飲食する癖があるなど。
転倒については、方向転換する時、右回りの時、靴を履く時、ベッドから立ち上がる時、便座に座る時によく転ぶ、転ぶときは頭をよくぶつける、骨折をしたことがあるなど。
トイレについては、大の時はギリギリまで我慢して間に合わない、便座に座ると立てなくなる、寝てしまうことがあるなど。
就寝については、夜中に寝ぼけてベッドからよく落ちる、夢遊壁がある、無呼吸になることがあるなど。
施設のアンケートに無い項目であっても注意点として少し大袈裟でも伝えておくと、もしもの時に伝えていた証拠となります。
故に書面を2部用意し、伝えた施設担当者の名前を記載もしくはサインを頂くか、録音しておくことをお勧めします。
前述していますが、父は普段特にパンを食べる時に咀嚼が遅くなり飲み込むまでの時間が長かったことを事故後に母から聞いて、入所時に施設へ伝えていたら誤嚥窒息することは無かったのかもしれないと悔やみましたので。
疾病のある入所者への食事対応
お餅やパンなどを喉に詰まらせ亡くなる事故を耳にしたことはあろうかと思います。
健常者でも起こりうることなのですが、特にパーキンソン病やアルツハイマー病などを患い、嚥下機能が低下している方にはリスクが高まりますので、施設の食事対応については具体的にどんな方法や対策を行っているのかは確認しておきましょう。
例えば、
食事において職員一人で一度に何名の入所者の対応を行っているか。
入所者の口に食べ物を運ぶときには口の中に食べ物が残っていないか確認しているか。
食事介助時には職員は隣に座り目線を合わせて介助しているか。
食べやすいよう小さく一口サイズにカットされているか。
餅やパンなど喉に詰まりやすい食材は提供されていないか。
食事前に、まずお茶や水などで喉を潤わせているか。など
職員だって忙しいし、一人一人に時間を掛けてそんな細かいことまで気にさせるのかと思われる方がおられるかもしれませんが、イメージとして幼児5人の席を円陣に並べて職員1人で一度に食事を与えるとしたら、口いっぱいに頬張ったり、勝手に食べたり、食べ物以外を口にしたり、食器などを落としたりと食事も進められず、全員に目が届きにくいため誤嚥するリスクも高まり、誤嚥してても気付くのが遅れるかも知れないと。
これでもし複数人が誤嚥を起こしたら職員1人では対応しきれないと思いますし。
ご高齢者と幼児を一緒に見立てるのは失礼かも知れませんが、一度に複数名の食事対応を行うのはリスクが高いということを伝えたかったのです。
父が誤嚥事故を起こした時の記録映像を確認したら、職員1人で入所者5名の食事対応をしていました。
職員は立ったままの姿勢から嚥下の確認もせずに食べ物を父の口へ運び込むとすぐにその場を離れ違う作業をしていましたが、父は口に運ばれて間もなく喉に詰まらせていました。
それでも施設側は責任がないと主張されていますが、この続きは後述します。
また更に新しく施設の職員になられる方も多いと思われ、不慣れな状態で食事対応等をされるのは不安でもあるため、新人教育・指導や中堅職員の研修会なども定期的に行われているかチェックしておくと安心度は増すと思います。
介護事故発生後の対応
介護事故の対応について
これまでは介護事故が起きる前の「予防」を前提とした話をさせて頂きました。
介護事故防止に役立てれそうなヒントにでもなれば幸いです。
ここからは実際に介護事故が起きてしまった父のケースについて、施設へどう向き合ったかなどを綴っていこうと思います。
内容としては、施設へ問い合わせる前段階として市役所、病院、警察署、厚労省などへの確認、そして施設へ説明を求める時の準備、また介護事故に強い弁護士を探した方法、弁護士費用・裁判費用、弁護士の調査方法などについて話を進めていきます。
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