ロードス島戦記、ポケモン、あつ森、そして。

ポケモンの新しいゲームがまもなく発売される。やるか、やらないか。
私は今、けっこう真剣に悩んでいる。

もともと私はゲーム好きな人間ではない。
はるか彼方昔に、PC98(←NECの昔のパソコンシリーズ)でロードス島戦記(←RPG)に挫折して以来、ゲームは明らかに苦手なものカテゴリに入っていた。

だってロードス島戦記ときたら。
出発して最初の敵に遭った時点で、何をすればいいのか分からなくて出発点に戻るしかなかったんですもの。
出発前になんの準備もしてなかったのがいけなかったんだろう、と今なら分かるけど。
当時は身近にゲームをする人もなく、何も分からなかったのだ。

それならなぜPCでロードス島戦記をやろうと思ったのか。

ロードス島の原点である、小説を読んでいた。そしてなによりも出渕裕さんのイラストが美しかった。さまざまなメディアミックスが展開され、CDも聴いた。その楽譜集も発売された。もちろんBGMを弾いた。イメージソングを歌った。ちなみに今でも時々弾くし、歌う。ここまでロードス島の世界に入り込んでいて「ゲームだけはやらない」という選択があるだろうか。

だから手を出したのだ。

いやいや…実は他にも理由はある。当時、PCはまだ普及し始めたばかりだった。父親がさっそく買ってきたが、家族は誰も触ろうとしない。おかげで学生の私は、お高いオモチャを独占できた。

せっかく独占できたオモチャだが、年賀状かゲームくらいしか使いどころがわからない。

興味本位で「Perl」(パールというプログラミング言語)の授業を取っていた私は、WordやExcelの使用法よりも先に言語系の考え方に触れるなど、PCとの出会い方が少し変わっていたかもしれないとは思う。

しかし学生だから仕事で使うことはない。学業ではPCどころかワープロ(←ワープロ機能しかない機械)ですら使用が許されず、卒論は手書きしか受け付けてもらえない時代である。

使用する場面がなければパソコンなんて邪魔な物体に成り下がるのは時間の問題だ。「パソコンはソフトがなければ、ただの箱」とよく言われていたが、ソフトがあっても使いどころがなければやっぱり「ただの箱」を卒業できないのだ。

せっかく数十万出して(親が)買ったパソコンを放置するのはもったいない。この高価なおもちゃで遊びたい。こう思った私はストレートに「遊ぶ」道を選んだ。つまりゲームである。

さっそく某大型電器店のゲームソフトコーナーに行った。その頃のPC売り場やゲームソフト売り場は、はっきり言って居心地が悪かった。たいへん失礼な物言いではあるが、さえない男性客しかいないコーナーなのだ。

自分もさえない客であることにかけては自信がある。しかし男性ではなく小娘だ。その時点でもう、あのコーナーでは異物混入事件なのだ。

さくっと「ゲームを買う」目的を達成するためには、パッケージをよく読んで確認している暇はない。知っている(ような気がする)ゲームを選ぶしかない。それがロードス島戦記だった。イラストも美しいし、小娘が手に取っても不審に思われない。たぶん。

今なら事前にネットでいくらでも調べられる。どんなソフトがあるのか。ジャンル、遊び方、値段、評判…。しかしそれらは爆発的にインターネット世界が拡大したことの恩恵だ。

当時のインターネット世界はまだ小さかった。知りたいことはネットにはころがっていない(どちらかというとネットには個人情報ばかりがころがっていた)。足で稼ぐしかなかった。

そんなわけで居心地の悪い電器店からは、滞在時間を最小にして逃げ帰ったのである。

帰宅して、ロードス島戦記をやってみた。すぐ思い出させられたのは、ファミコンやスーファミでRPGは苦手だったという事実。電器店では一刻も早く撤退することばかり考えていて、すっかり失念していた。

残念ながら、美しいパッケージのロードス島戦記はあっという間にお蔵入りとなってしまったのだ。

この一件で私はゲームそのものに苦手意識を持つようになった。

もちろんゲームが悪いわけじゃない。さまざまなアンラッキーが重なっただけだ。出会い方を間違えなければマブダチになれていたかもしれない。しかし現実はそうではなかった。

ゲームと私には「ご縁」がなかった。

そう思っていたが、以前にも書いたとおり子育てのなかでゲームと向き合うことになった。そして選択したのはポケットモンスターシリーズである。

ポケモンは子どもが遊ぶのに適したゲームだ。ストーリーもそうだし、操作性もそうだと思う。分かりやすい。

子どもに適しているということは、初心者の大人にも適しているということだ。案の定、分かりやすかったし楽しかったので簡単にハマった。

しかし数本親子で遊んだところで、さまざまな現実に直面した。

ひとつには我が子の成長。喜ばしいことに彼も中学生になった。しかし中学生活の構成は「部活に塾に部活に部活とあと学校」である。たいへんに忙しい。単純にゲームの時間が取れない。

またポケモンを遊べるゲーム機器の変化もある。3DSからSwitchへと、変わってしまった。これは大きかった。ポケモンのためにわざわざ新しいゲーム機器を買わねばならないのだ。

子どもは忙しすぎてゲームが出来ない。親は新しい機器を買ってまでゲームをする。こんな生活に納得できる中学生男子がいたらお目にかかりたい。

もちろん子どもに遠慮しただけではない。新しい機器を買うほどの情熱がなかったのが主因である。

さてその後、世界には「あつ森」ブームが訪れる。発売から10ヶ月遅れで、私も離島ライフを送ることになった。もちろん同時にSwitchを買ったSwitch本体を買ってでもやりたかったのである、あつ森が。

その後のあつ森へのハマり具合は予想以上のものであった。なにしろこのnoteにあつ森の記事を260以上も書くほどだ。

記事を書くためにはまず真剣に遊ばねばならない。そうでなければ記事など書けないのである。

あつ森を真剣に遊び、時には分からないことをネットで調べ、時にはyoutubeで上手な島クリエイトを眺めて我が島の未来を妄想し…。

記事を真面目に(?)書くために、私は一体どれだけの時間を費やしたのか。しかも趣味である以上、一銭にもならないのだ。同じ時間働いたらいくらの収入が見込めるのか。考えたくない。「空恐ろしい」という言葉がまさにぴったりだ。

毎日休まずあつ森ライフを送るようになって1年半が過ぎた。最近は島の景観作りが一段落したので、note上での公開を楽しんでいる。

しかし一方では、早く更地にして新たな島作りを進めたくて仕方ない自分もいるのだ。私のあつ森熱はまだまだ冷めない。

そんなところへ少しずつ公開される新作ポケモン情報。最近のポケモン数作には手を出さなかったけど、そろそろ戻ってもいいのでは?なんだかキラキラしてきれいだし。

いや、ちょっと待て。

ポケモンをやり始めたらあつ森の時間はなくなる。きっと熱が冷める。両方に取り組むほどの情熱は、持ち合わせが足りない。

だって他にもやりたいことがいっぱいあるのだ。他の趣味もあるし、家事もあるし、育児も最終段階にきているし、仕事もあるんだ。あるんだよ、いろいろ。

それなのに、あつ森ではまだまだやりたいことがたくさんあるのだ。あんな島を作りたい。こんな記事を書きたい。いくらだってあるんだよ、やりたいことが。

それらをやりきらずにポケモンに移行してしまっていいのか。

ポケモンは自分なりに納得したところで遊び終えるタイプのゲームだ。少なくとも私は今までそうしてきた。納得したらすぐにリセットして、もう一度最初から遊び始めたこともある。あつ森のように終わりが存在しないわけではない。

しかしある程度の期間離れていたら、もう気持ちが離れてしまうのは目に見えている。自分がそういう性格だと、私はよく分かっているのだから。

つまり新作ポケモンを始める時が、あつ森の卒業ということになる。

あぁ。どうしよう。

かくして私のくだらないけれど真剣な悩みは、まだしばらく続く。


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あさのしずく
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