マイクラで真っ暗な森を思い出した。
マイクラで「木炭」作りと「ガラス」作りにいそしんでいる。
木炭はガラスを作る材料にもなるし、たいまつの材料でもある。
以前のマイクラ記事で暮らしていた「世界」を離れ、今はまったく新しい生成して別世界にいる。
前回の世界でいろいろマイクラの勉強をしたので、今回はいよいよ本番にチャレンジだ。
・・・と思って、来る日も来る日も、木を伐採し、砂を採集している。
冒頭に書いたように、「木炭」と「ガラス」のためである。
ゲーム内時間で、もう何日この行動だけを続けているだろうか。
現実には三日ほど続けている。
だんだん、マイクラで何をしているのか分からなくなってくる。
私は伐採するためにマイクラをしているのか?
地球の環境を破壊しているのか?
伐採した木の苗木もちゃんと拾い集めてはいる。
後日ちゃんと植林しないといけない。
山が丸裸になっているから、大雨が降ったら大変なことになる。
・・・いや。これ、ゲームだ。たぶん問題ない。
来る日も来る日も伐採し続けていたら、ふと昔を思い出した。
* * * * *
子どもの頃、私は新興住宅地のようなところに住んでいた。
そこは、宅地開発される前はおそらく一面の森林だったと思われる。
あっちにもこっちにも四角い敷地の林が残っていた。
住宅と、四角い敷地に区切られてしまった林と、畑と、何に使うのか意図が分からない空き地・・・。
そして小学校の学区のはずれのあたりになると、必ずそこには奥深い森があった。
夜になると森は真っ暗だ。
夕方ですら真っ暗で、向こうを見通すことは出来ない。
ピアノの先生のお宅は奥深い森に隣接した、学区の最果てにあった。
低学年の頃は、夏の昼間でも薄暗い森に隣接したピアノ教室がとても怖かった。
冬は先生の家の玄関を出ると、真っ暗な森をなるべく目に入れないようにして、慌てて人通りのある道を目指して走った。
何年か住んでるあいだには学区のはずれの森が少しずつ開発された。
そうすると、きれいな住宅が十軒くらい建ったりした。
5年生の4月、新学期にともなって新しく異動してきた先生が、その開発されたばかりの住宅地に越してきたという噂が飛び交った。
私と友達は先生に直接、真偽を確かめに行った。
なんと、事実だった。
学区のはずれの森は、高学年になる頃にはいい隠れ場所にもなっていた。
友だちと秘密基地を作るのに、絶好の場所だったのだ。
せっせと空き缶を集めて、隠れ家を作ろうともくろんだ。
毎日、空き缶を集めては森の土に埋め込んで土台を作った。
ところが、ある日行ってみると、空き缶がすべて撤去されていた。
私たちは顔を見合わせた。
大人のしわざに違いない。
子どもがいたずらをして!と思って片づけたのだろう。
まったく大人ときたらロクなことをしないんだから。
そう思ったが、空き缶を集めることにも飽きてきたところだったので、秘密基地作りはそこまでとなった。
それから半年ほどして、秘密基地のことなど忘れた頃に、森の一部が整地されて家が建ち、先生が引っ越してきたのだった。
私はすごく複雑な気分だった。
先生は明るく元気な人気者である。
私も先生のことは大好きだった。
しかし、先生やそのご近所さんたちは、そこに森があったことを知っているのだろうか。
そこで私たちが遊んでいたことを知っているのだろうか。
開発されてきてから来た新しい人たちは、開発される前にもそこには人間や動植物の営みがあったことなんて、気にも留めない。