【小説】牛島 零
ごみゼロ運動
僕は善良な市民である。近所のイベントごとには毎回参加している。夏祭り・草刈り・どぶ掃除など僕にはもったいないほど楽しい行事で、いつも楽しい思いをさせてもらっている。ありがとう。
しかし、事件が起こる。僕は毎年楽しみにしているごみゼロ運動に参加した。その時にあるものを拾った。大人の手のひらほどの大きさの銃である。僕は銃をとっさにバッグにしまい家へ持ち帰った。ゴミ袋は半分も埋まらずに、隣の家に住んでいる自治会長に渡した。
家へ着くとすぐに二階にある自分の部屋へ直行した。バッグを開けるとやはり銃がある。重さはずっしりしていた。FPSゲームで学んだ知識で銃のマガジンを外すことに成功した。そこには2発の弾丸が入っていた。BB弾の面影がない。やはり実銃だ。
マガジンを外した銃の中に弾が装填されている危険性があった。確認した。入っていなかった。おそらく銃の持ち主は、何かをするための弾丸数は2発で十分だったのだろう。
このようなことがあり、銃規制がある日本で銃を持っている男子高校生が生まれた。
僕は銃を肌身離さず夕食まで見つめていた。母親の声が下から聞こえてくる。
「ごはんよ」
返事をせずに食卓に向かう。
今日のご飯はハンバーグだ。ごみゼロ運動など地域の行事の日は決まってハンバーグである。僕はこの時のために行事を頑張っていたといっても過言ではない。
しかし、今日のハンバーグは味がしない。
「味付け変えたの?」
母親が僕の顔を怪訝そうに見る。父がすかさずフォローするようなことを言っていた。僕は味がしないハンバーグを食べても意味がないので自室に帰ることにした。
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