遠距離家族・始
7月、夫の旅立ちが近づいた。
長女はやや不安定になり、母の胸元を涙と鼻水で何度も濡らした。前々日くらいからは特に顕著だったと思う。
次女は母的にはあまり変化がないように見えた。まだピンと来てないのかなと思っていたが、母の元に来なかっただけで、夫に直接「行かないで…」とストレートに言っていたらしい。
不安を母にぶつける長女と父に直接ぶつける次女。
それぞれの過ごし方だった。
前夜
そうして迎えた出立前夜、大人の寝室を明け渡し、父と娘は3人で眠った。
私はというと、子ども部屋の2段ベッドの下段でぬいぐるみに埋もれながら眠った。
……と言いたいところだが、実際のところはなかなか寝付けなかった。
現実逃避にスマホをいじり倒し、ぼたぼたと涙を垂れ流し、眠ろうとしては諦めてスマホを手にとり、また唐突に込み上げるものに耐え、といった風情で、結局眠りについた時には3時を過ぎていたと思う。
自分1人でやっていけるのかというプレッシャーと不安、そして後回しにしていた寂しさは誤魔化しようがなかった。
そして出立の朝
翌朝の出立は朝の8時、いつもの出勤と同じ時間。
家族全員が揃って寝坊気味に起き、なんとなく落ち着かないながらもいつも通り過ごし、夫はいつも通り出かけて行った。都心ではなく、雪国へ。
当初の予定では出立はもっと早く、まだ薄暗い早朝の住宅街に娘たちの泣き声が響き渡ってしまうのではないか車で最寄り駅まで送ったほうが良いだろうかともやもや考えていたが、拍子抜けするほどアッサリとした旅立ちだった。
もちろん、長女はオイオイ泣いて何度か取り縋ったが。
他方、次女は、長女につられて寂しくなり母に泣きつこうと近づいてきたものの、進路に落ちていた開かれた「ちゃお」が目に入るとアッサリ止まって読み始めた。切り替えの早さがすごい。
予想とはちょっと違ったが、あれこれ心配していたことが杞憂に終わり、とりあえずホッとしたのを覚えている。
離れて過ごす最初の夜
夕方、スマイルゼミのチャットでやりとりをしていた父と娘。
何時に電話していい?という質問に、今からでもいいよと返ってきて、長女はまた泣いた。
夕食時は、スマホをデザリングしてアレクサ同士で通話した。「お父さんに電話して」でOK。
そうそう、これがやりたかった。
予想がうまく当たり、少しだけ肩の荷が下りた気がした初日。
翌日の日曜日、やっぱり娘たちは暇そうで、暇ゆえに遊んでくれる大好きな人の不在を実感したようだったけれど。
やはり週末の過ごし方は課題だなと感じながら、フルワンオペ生活はスタートしたのだった。
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