ポジティブ転校生
新学期、新しい学校への転入を前にして、長女はひたすら前向きだった。
「楽しみ~!」「早く学校始まらないかなぁ」と毎日のように言っていた。
4月に入って、次女だけが学童に通うようになり(長女も申し込んだが落ちた)、暇を持て余していたせいもあるとは思う。
けれど、母は密かにそのポジティブさに驚いていた。
いつの間に新しい環境に物怖じしなくなったのか。
幼稚園に行きたくないと、
毎朝まだ寝ている母の顔を覗き込んで涙を落とし、
GW明けまで泣き叫びながらバスに乗っていたあの子と同一人物なのか。
確かに、急な転園をした年中の時も案外平気だったけれど。
笑顔で手を振り校舎に入る背中を見送ってもなお、母の疑いは晴れずにいた。
いざ行ってみたら、思っていたのと違ったと反動で泣いて帰ってくるんじゃないかとヒヤヒヤしながらテレワークしていた。
しかし、始業式帰りの長女は。
初めての集団下校にやや表情こそ固かったものの、家に帰ってひと息つくとやっぱり「楽しかった!!」と顔をほころばせた。
仲良くなれそうな子やいっぱい話せた子が居たのかと思いきや、そうでもないと言う。
そうでもないけど、なんか良い感じだから、と。
正直、母はちょっと感動した。
前の学校では、最後はやっぱりさみしくてたくさん泣いていたのに。
それはそれとして、新しい生活を楽しめる子だったとは。
しなやかに強く育っているのだなぁ。
親の想像を超えていくスピードがぐんと早くなった気がする、もうすぐ10歳の春である。
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