あさのぶんこ

こんにちは。言葉の世界が好きで、小説、エッセーなどを書いています。コラムなどお仕事文筆も出来ますので、ご用命がありましたら、お気軽に声を掛けて下さい。本とコーヒーが好きです。よろしければ仲良くして下さい。 アマゾン書籍:https://amzn.to/3leL2E6

あさのぶんこ

こんにちは。言葉の世界が好きで、小説、エッセーなどを書いています。コラムなどお仕事文筆も出来ますので、ご用命がありましたら、お気軽に声を掛けて下さい。本とコーヒーが好きです。よろしければ仲良くして下さい。 アマゾン書籍:https://amzn.to/3leL2E6

最近の記事

縁結の神 (長編小説)

 5年も付き合った男に好きな人が出来たかもしれないと振られた女。気が付けば三十路は目前。焦った女は結婚という称号獲得に向けて婚活を開始する。結婚の二文字に剥き出しの本性を戦わせる女たち。どこか煮え切らない男たち。女は結婚という幻想に翻弄され、自分、そして家族の真実と向き合う。結婚とは何か?その価値観が大きく変化する今、人生を左右する一大イベントの真実を覗いてみませんか? 【書籍情報】 285ページ(30x20レイアウト) 著   者: 浅野 直人 分   類: 人生ドラマ

    • 移住と羊とシンプルライフ

       彼女たちの左頬には逃、右頬には亡の文字が浮かび上がっているように見えた。  そこは地方都市の中心部から少し離れた郊外で田畑が一面を覆う。視界を遮るものは無く、ひたすらに広い空が広がっている。遠くに見える山の連なりは白く塗りつぶされ、その稜線が空の青にくっきりと浮かび上がる。  彼女たちがいるのは映像の中で、たぶん少し前の過去の彼女たちだ。しばらくして彼女たちには共通点があることに気がついた。彼女たちは何かから逃げてここに辿り着いた。飛びかかられるような恐怖ではない。でも

      • 年末ジャンボ総理くじに当たったら

         さあ、今年もこの日がやってまいりました。昨日の大晦日に抽選会が行われ、すでに当選者の番号が決定しています。新しい年を迎えたこの目出度き元日の朝に、4月から始まる新しい年度の総理になるのは誰か。今か今かと期待が高まります。現場にはたくさんの報道陣が集まり、新しい総理の姿を一目見ようとその瞬間を待ち構えています。どんな人物が来年度のこの国の顔となるのか。茶の間でテレビをご覧の皆さんも発表の瞬間を心待ちにされていることでしょう。まもなくです。もう、まもなく、総理任命官がやって来る

        • 荒野、鳥は唄う (新刊長編小説)

           少年は夏の日の神社で少女と出会う。少年は少女の心の奥底から聞こえる歌に耳を澄ませる。青年は困難に向き合う人の話を聞く。そして、世界の歪を知り、世界を変えたいと思う。二つの物語から立ち上がる思い。世界はどの時代も複雑に満ちていて、その先にある未来を霞ませる。それでも人は未来に希望を抱き、霞む未来に向かって手を伸ばす。そこに何があるのか?無いのか?そこにあるものの意味を決めるのは誰か。 【書籍情報】 290ページ(30x20レイアウト) 著   者: 浅野 直人 分   類

          連載 鳥になりたかった少年 第五話

          『連載 鳥になりたかった少年 第五話』/浅野直人 「それはひどいな」  自転車の座席の後ろの支柱に固定する三角翼を載せる骨組みを両手で支えながら翼が言った。 「だよね。僕もみんなも先生たちがそんなことするなんてすごくショックだった」  僕は針金で骨組みと支柱をぐるぐる巻きにして固定する作業をしていた。話しているのは望月さんの家で聞かされた話だ。 「それで、これからどうするの?」 「もうみんなは学校に対する怒りが爆発しそうで、とにかく学校には望月さんの真相を明らかに

          連載 鳥になりたかった少年 第五話

          連載 鳥になりたかった少年 第四話

          『連載 鳥になりたかった少年 第四話』/浅野直人  病院からの帰り、僕たちは僕の家にいった。父さんと母さんは二人で買い物に出かけていて家にはいなかった。僕たちはお菓子とジュースを僕の部屋に持ち込んで作戦を立てることにした。僕たちは今二つやらなければならないことを抱えていた。一つは空を飛ぶを実現するということ、そして、もう一つはクラスを嫌がらせのないクラスに変えるということだ。飛行計画については図書館で大体のやり方を決めていたし、ベッドの上で眠る望月さんの姿が頭に残っていた僕

          連載 鳥になりたかった少年 第四話

          連載 鳥になりたかった少年 第三話

          『連載 鳥になりたかった少年 第三話』/浅野直人  父さんと母さんとの話し合いは休憩を挟んで数時間に及んだ。僕は学校で起こったことと僕の気持ちをすべて父さんと母さんに話した。父さんと母さんは頭ごなしに子供に何かを押し付けるような人たちではない。僕の話を聞いて父さんたちの意見を言い、最後には僕にどうするかを決めさせる。そういう人たちなのだ。それは僕が本当の子供ではないということが影響しているかどうかは分からない。でも、そんな風に僕を一人の人間として扱ってくれる父さんと母さんを

          連載 鳥になりたかった少年 第三話

          連載 鳥になりたかった少年 第二話

          『連載 鳥になりたかった少年 第二話』/浅野直人  春になり僕は五年生になった。クラス替えがあって三分の二以上の子が新しい僕のクラスメイトになった。最初はもといたクラス同士の子が集まっていたけど、二週間もするとすぐにその集まりは分解し、新しいグループができていった。やっぱり四年生の頃に感じていたみんなの個性というものが四年生の時より感じられるようになっていて、グループは同じような個性を持った人たちが集まりやすいということが分かった。それでも、僕を含めて決まったグループに入ら

          連載 鳥になりたかった少年 第二話

          連載 鳥になりたかった少年 第一話

          『連載 鳥になりたかった少年 第一話』/浅野直人  薄暗い室内でモニターを見ながら、白い円筒形の物体がゆっくりこちらに近づくのを見ていた。機器の状態を示す緑やオレンジの小さなランプが蛍のようにポツポツと光り、モニター画面の周りだけがぼんやりと明るく照らされている。機器や空調が発する低い周波数の単調なノイズをベース音に、電子音のピッ、ピッという高い音がリズムを刻む。ボーカルを務めるのは地上の管制センターとの交信音声だ。  全て異常なし。  新たな実験棟となる輸送機をステー

          連載 鳥になりたかった少年 第一話

          固定電話がちゃ

          『固定電話がちゃ』 浅野直人  家族が寝静まった深夜。目覚まし時計を確認してから、そっと部屋のドアを開けた。電気も点けず、音を立てないように足裏で板の感触をを探るように一段一段、階段を降りてゆく。一階の床に降り立ったところで一息ついた。そのまま廊下を歩き固定電話に手を伸ばす。抱えるように電話機全体を持ち上げ、電話機から伸びるコードを引きながら居間のドアを開ける。  ギー。油の切れたドアの蝶番が悲鳴をあげる。そう言えば、前もそうだった。音が鳴らないように油を差さねば。そう思

          固定電話がちゃ

          ハイゴレイの君

           「ハイゴレイの君」 浅野直人  こんにちは、背後霊でございます。  えっ、なに?いきなり登場?  やはり驚かれましたよね?しだれ柳にうらぶれた裏井戸の情景描写、うめきや恨み節など効果音の一つもなしに、いきなり冒頭で背後霊でございますなんて居直り口上、日曜夕方のアニメじゃあるまいし、どこの三文怪談だよって話しですよね。お察しいたします。  確かにどのように登場にするかについてはいささか迷ったことは事実であります。第一印象というものはとても大切。できるだけ爽やかに軽やか

          ハイゴレイの君

          冷蔵庫の唄を聴け

          「冷蔵庫の唄を聴け」 浅野 直人 家には親の代から伝わる冷蔵庫がありました。3ドアで容量270リットル。色白ですが、十年以上の経年の劣化は否めず、外見の所々に染みが散見します。数人の家族がある家庭では一般的な大きさの冷蔵庫で、特に特別な機能や不思議な力はありません。食べ物をひんやりと冷たく冷やし、保存する。至極まっとうな冷蔵庫と言えるでしょう。  その冷蔵庫は何くわぬ顔で何年もキッチンに居座り、どうして君はそこにいるのか?と聞けば、『ここにキッチンがあるからさ』、なんて答

          冷蔵庫の唄を聴け

          からすのお頭 (新刊長編小説)

           夫を亡くした老女は人生の指針を失い呆然とした。この先自分はどうやって生きてゆくのだろう。初めての一人暮らし。新しい出会い。人生を彩る熱中。人はどのような状況に陥っても逞しく生きてゆく。しかし、老いの影はひたひたと背中を追いかけてくる・・・。人生の秋を生きる人々。そこに見えるのはどんな景色だのだろう。誰もが最後に向き合わなければならない人生の終盤。その時、自分はどう生きるのか。人生をどう振り返るのか。さまざまな心模様を想像し、その時に向けた心の準備体操をしてみませんか。 【

          からすのお頭 (新刊長編小説)

          スプーン (長編小説)

           熱狂のうちに閉幕したオリンピック。閣僚会議ではメダルの数を巡り、次のオリンピックに向けた指針が示された。内閣の意向を受けた官吏たちはスポーツ技能力の向上にA I(人工知能)の導入を検討するが、その破壊力は凄まじいものだった・・・。熱狂をもたらすオリンピック。巨大な利権が絡み合い、すでにその理念が揺らぐとも、人はその熱狂の中に身を投じずにはいられない。そこで勝つために人は何を得て何を失うのか。そこに意味はあるのだろうか?オリンピックを巡るどこかの誰かの物語がここにある。 【

          スプーン (長編小説)

          後見人 (長編小説)

           ある男は唐突に現れた弁護士にある人物の後見人(警護)を依頼される。対象の人物とはまだ幼い少女で、少なくとも少女が成人するまでという途方もない依頼だった。また、ある男は日本の未来を憂いていた。その男が考える未来はこれまでのような経済至上ではなく、より人が精神的に満たされる世界だった。二つの物語は何かに導かれるように絡み合い世界を変えてゆく。この世界とは何か?その答えがここにある。 【書籍情報】466ページ(30x20レイアウト) 著   者: 浅野 直人 分   類: アク

          後見人 (長編小説)

          シングルベッド (短編小説)

           深夜の公園の片隅に隠れていた女の子。偶然に彼女を見つけてしまった男。その特異な出会いが親密な恋に発展するのは必然だった。初々しい恋には神様が定めた通り道がある。二人は用意された階段を一歩づつ確実に登ってゆく。二人の間に流れる時間には甘い匂いが漂い、爽やかな鐘の音が鳴り響く。やがて、親密な時間を通り過ぎた二人には試練が訪れる。神様が用意したこの試練を乗り越えた者だけが、恋を超越した愛のステージに進むことができる。生まれたての若い恋は脆く儚げで美しい。柔らかで、ほんのり温かく、

          シングルベッド (短編小説)