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ミュージカル HIU版 クリスマスキャロル ドキュメント 第六話「ゼロ」

そうは言っても素人はやはり素人。
なかなか自我の壁を取り払うのは容易な事では無い。
演じる事に対してどうしても自らシェイドを下ろしてしまうのだ。

王子にしても端から高度な事は求める気は無いらしく、たまに「こうしてみるとバカになれるよ」「正解を求めず、逆に絶対違うよな、と言う事をしてみると案外見えてくる」等とアドバイスはするものの、基本的にはまず声を出して台詞を吐く事に慣れる事を促している様に見えた。

その中で、稽古初日にやって来たゼロ高生 あすみん(山口 明日美)、セイン(辻村 星音)、Ryo Tanaka(田中 遼)達は異彩を放って見せた。

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ゼロ高生と言うのは、堀江 貴文さんが立ち上げた『ゼロ高等学院、通称ゼロ高(1)』の生徒達だ。
ゼロ高は、一般的な全日制高校に飽き足らない若者の為の通信制の高校だ。
なかなか説明は難しい。詳細はオフィシャルウェブサイトを参照して欲しい。
キャッチコピーは「将来の夢なんか、今叶えろ」。

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ゼロ高生達は、てらい無く前のめりで台詞を放つ。楽しむ事に遠慮が無い。
特にあすみんに至っては何を演じさせてもいきなり器用にこなす。その見事な様は正に声優のそれだ。

やってみる事に躊躇が無い、ゼロ高生達のその姿に場の温度が上がった。大人達が刺激を受けていた。

「若い頃を思い返すと恥ずかしくて汗を掻くことしきり」
「若い時だからこそ恥をどんどん掻く事が尊い」

悪い意味でも良い意味でも、俺は「若さとは恥」だと定義している。
大人になって行くに従い、恥を晒す事を恐れてしまう。失敗したらどうしようと身を固くする。羞恥心など単なる錯覚だと言うのに。

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セイン、Ryo Tanakaのコンビは、半畳を入れがちだったり、はしゃぎ過ぎてたまに人の話を聞いていないのは難点ながら(君達、覚えが有るだろう?)、後に加わる、綺麗な見た目とは裏腹に、何故か素で笑いを誘える(昭和な動きが最高だ)いぶき(中村 一咲)を含めた彼等ゼロ高生達は、間違い無くこの座組みを成功させるに於いて重要なキーポイントになると思った。

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そして、我々が終始楽しく稽古に挑めた大きな要因は彼等によるものであったと思う。
だがこの時点では、まさか16歳の女の子と恋人関係を演じる事になるなどとは思いも寄らないでいたのだが。

それから、この読み合わせの時点で、演ずる事に覚醒したのはみーやんだろう。
他ではそうでもないのに、トニーのバカ息子役が秀逸過ぎた。とにかくもの凄いバカっぷりに稽古場が沸いた。満場一致で配役第一号が決まった。


(続く)

(1)ゼロ高等学院、通称ゼロ高のウェブサイトはこちら。
https://zero-ko.com/about/

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