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ミュージカル HIU版 クリスマスキャロル ドキュメント 第十八話「一意」

その時のたっちゃんにしてみれば、「話が違う!」どころのものでは無かったかもしれない。しかし、そのたっちゃんにしたって、最初に稽古場に来た頃からすれば、この時点で確実に変化はしていたのだ。

『演じると言う事に対する心構え』

稽古時間の少なさ故のハンディは仕方が無いにせよ、間違いなくそれは彼にも有るのだ。
とにかくだ。後はたっちゃん自らで何とかして貰うしか無い。

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何はともあれ、遂にキャスト全員が初めて揃ったのは1月30日。驚くなかれ、稽古最終日だ。
誰もが到底満足がいく程の稽古量でも進行状態でも有りはしなかった。だが、ここ迄来たらここから先の出来栄えは個々の想いに頼るのみ。たっちゃんだけでは無いのだ。

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稽古最終日以降、眼に見えこそはしなかったものの、全員がそれぞれ最後の追い込みを掛けた筈だ。
なほの協力を得て、たっちゃんも自主練に励み、ロバート夫妻の夫婦関係を修復させる努力を行ってくれた。

さりとて刻は待ってはくれない。
2020年2月2日。いよいよその日を迎えた。

当日のAM3時から場当たり、リハーサルとゲネプロもどきだと言う。最後の最後迄、どれだけギリギリ進行なのだろう。
時間帯からして、全員に深夜に集まれと強要は出来ない。各自の判断に委ねるのは当然だ。
だが、俺は主役なのだ。行かないと言う道理はあるまい。

俺の自宅は横浜だ。
衣装やら撮影機材やらのあれこれを抱え、終電でAM1時頃に会場入りすると、既に照明さん、音響さん、舞台監督さん等が、前のイベントの後片付けを終えた舞台上でいそいそと各自のお仕事に励んでいた。

今、俺に出来る事は何も無い。下手に何かしようとしたって却って邪魔になるだけだ。
(続く)

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