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Vol.10 たくさんの人に運動習慣の大切さを伝えたい
帰国後もクロスフィットへ
オーストラリアのワーホリ期間を終えて、帰国する日程が決まったとき、まず日本のクロスフィットBOXに予約メールをした。
当時は東京に数件しかなかったので、その中で一番通いやすい場所への入会を遠隔で決めていた。
オーストラリアで初めて知った「クロスフィット」だが、日本にもこんなコミュニティがあったなんて‼とワクワクした。
通っているうちに、「いつか私もこのフィットネス文化を伝えられる側になりたいなぁ~」と心の片隅で感じながらも、当時の会社を退職する気は全くなかった。
フィットネストレーナー=給料が安い
正直、そのイメージが強かったのもある。
ただ、クロスフィットをもっと深く学びたくて「クロスフィットトレーナーLevel1」というクロスフィットトレーナーになるための基礎講習を受けてみた。
元々、趣味を深堀りしたくなるタイプでヨガやピラティスのトレーナー資格も勉強していて、職業にするつもりがなくても常に何かの勉強をするのが好きな方ではある。
当時は広告代理店に勤務していたので、過労働ではあったが、それでもクロスフィットだけはどうにか続けたくて、早朝6:30のクラスに参加してから出勤していた。
夜も遅い仕事だったので、睡眠時間を削りながらもクロスフィットだけは続けたい気持ちが強かった。
クロスフィットトレーナーへ
新しくクロスフィットジムを開店するオーナーとの出会いもあり、トレーナーのインターンから始めることになった。
35歳からフィットネストレーナー業を始めるなんて、想像もしていなかったがすごく充実した日々の中で自分のやりがいを感じていた。
とは言え、すぐに大手広告代理店を退職する勇気は持てず平日は広告代理店OL、休日はクロスフィットコーチという生活を続けた。
休みがなくても、クロスフィットコーチの時間が楽しすぎて苦にはならなかった。
それどころか、本業の広告代理店の業務がロボットのように感じるようになっていた。好きな仕事をしているときと、社会的安定のためにしている仕事との差が明確に見えてきてしまい、「好きを仕事にする」ことでQOLがこんなに上がるのか!!と...。感じていた。
そして、嬉しいことに食べたいものを食べたいだけ食べてもクロスフィットを続けていると太らないどころか、どんどん身体が引き締まるようになった。
「私、食べても太らないんです…」ってホントだったんだ!!と自身が実験台になれた。
コロナ禍を機にフィットネス界へ
突然の出勤停止、突然のリモートワークがスタート。リモートワークといっても、ほぼ自宅待機状態でリモートワークのしくみがまだ確立されていなかった。とにかく自宅にいてください。その間はもちろんジムに行けることもなく、トレーニングができないことでQOL爆下げの悪循環になっていった。
「宅トレすれば良いじゃん!!」と思うかもしれないが、自宅で自分を追い込めるほどストイックでいられないのが現実。
ジムで運動仲間がいて、一緒に汗を流すからこそ
運動=Happyになれる。
そのとき、ただ運動をするのではなくそこにコミュニティがあること。家や職場以外で同じ趣味を共有しながら一緒に健康を目指せる仲間と楽しめることの意義を実感した。
こんな生活をしていたら、また心が壊れてしまうかもしれない。今までのキャリアはなくなるけど、また一から積み上げればいいや。今の私ならデキる!!
コロナを機にそんな気持ちが大きくなり、広告代理店に退職届を出した。
フィットネスを本業にしてからは、毎日がワクワクでメンバーさんに伝えることだけではなく、企業の福利厚生にフィットネス時間を取り入れてもらう営業をしたり、フィットネスマーケティングに興味がある企業とコラボイベントをやったり、今までのキャリア×フィットネスの仕事が続々と入ってきた。
アンバサダー契約
フィットネストレーナーをスタートすると同時に今までお世話になっていた企業などから、「フィットネスを通して一緒にブランドを盛り上げてくれないか?」などと依頼をいただくようになった。
35歳でフィットネストレーナーになった私。アスリートでもトレーナーとして著名なわけでもない、でも編集者から広告プロデューサーを経てフィットネストレーナーなった経緯や今までの仕事ぶりを買ってくれた部分もあるのだろう。
ただ、そんなお話しをたくさんいただく中で、自分がお客様に自信を持ってオススメできるブランドでないとどこかに嘘がある気がして、ブランドとしっかり打ち合わせをし、僭越ながら厳選させていただいた。また、ブランドと一緒に成長できるようなwin-winでサスティナブルな関係を築けることも大切にした。
届けたい想いが固まる
クロスフィットコーチを続ける中で感じたさまざまな想い。
ジムに来てくれるメンバーさんがどんどん内側から変化するのを見ていると涙が出るほど嬉しくなる。
「リハビリでも全然治らなかった痛みがクロスフィットを続けたらなくなっちゃった」
「ここに来ると嫌な事忘れて元気が出る」
「運動なんて自分とは無縁と思っていたけど、もう生活になくてはならないもの」
などなど…。
メンバーさんからの反応を間近で感じることができるコーチの仕事はやりがいしかなかった。
私自身なるべくクロップド丈トップス(へそ出し)を着るように意識している。日本では女性メンバーさんの多くがジムに初めて来たときは布の多いウエアで露出は控えめ。でも面白いことに、自分に自信が出てくると同時にどんどん布が少なくなっていく。私自身、自己肯定感底辺女子から上がってきた部分があるので、その気持ちがすごくわかるし、それを見るのもすごく嬉しい。
「先生のようにお腹出すのが目標」
「先生のような体型を目指してます」
それぞれ好みはあるものの、自分の身体をメンバーさんのなりたい身体でいれるように努力した。
特にアラフォーの女性コーチがレアな業界でもあるので、私の強みを最大限に生かしたいと思った。「いくつになってもなりたい身体は自分で作れる!!」それを楽しんで欲しかった。
また、女性コーチが少ない中で、女性特有の悩み×フィットネスを解消できるように女性メンバーさんに寄り添う時間を増やすようにした。
クロスフィットコーチを続ける中でクロスフィットジムに来てくれるメンバーさんは必ず良い方向を一緒に見つけていける自信はできたものの、それ以外の人たちにまだまだフィットネス習慣を届けられていないことが課題になってきた。
①さまざまな理由でジムに行くのが難しい人に対して、どのようなアプローチができるのか
②フィットネストレーナーやアスリートに対して、ジム以外の収入源や働き方、スポンサーとの組み方などの仕組みを作りたい
大まかに2つの課題から、動き出した新たなビジョンは…。
Vol.11へ続く。