山々との思い出

高校生まで埼玉に住んでいた。
平地ど真ん中という感じの土地で、山なんて地形は身近にないし、今山がある景色が好きなのは配偶者からの影響で、大人になってから生えてきた好みだと思っていた。
が、実は私は昔から山が好きだったのかもしれない。

思い返せば、寒い冬に武蔵野線から見えるくっきりした山並みが好きだった。
満員電車でぎゅうぎゅうになっても、とにかく山が見えるポジションを確保していた。(たまに出来なかった)
あの頃は富士山にはしゃいでいた記憶があるので、南西側の山々を見ていたわけだ。

今私は神奈川に住んでいて、あの時見ていた方向へと近づいたことになる。
今の私が京王線から眺めている山はきっと高校生の私が武蔵野線から眺めていた山と同じなのだ。
……たぶんね。

あの時は山の名前も知らないし、山の麓がどこかなんてことも考えもしなかったけど、今や私はその山々の近くにいて、やろうと思えば日帰り登山もできる。

そう思うと、今住んでいるここは私にとって憧れの場所だったのかもしれない。
昔からの繋がりを感じるというのは、なんだか妙に嬉しい。

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