見出し画像

第17日目

桑名にいる。だが旅館の名前は「四日市屋」という、二階建ての家を旅館にしたような、けれど、隅々まで清潔で居心地のいい旅館だ。昨日は大きめの家族風呂みたいなところに入り、ふにゃふにゃの枕とファブリーズ臭の利いた寝具で寝た。ちなみにwifiはない。タケシくんと旅行に出ると、いわゆる「ボロ宿」に泊まらせられるのだけど、ここは全然ボロじゃなかった。朝ごはんも出て5800円。

ニカイというシェアスペースが旅館からあるいてすぐのところにあり、そこをまず訪ねた。「OTONAMIE-オトナミエ-」というウェブマガジンに関連して、以前から付き合いのある福田ミキさんが主催している。ちなみに、OTONAMIEには、このnoteにもいろいろ記事をだしている、ハネサエさんも寄稿している。

桑名と言う町は面白いところだ。昨日も書いたけど、南の人間からしたら「ほとんど名古屋」と括られるこの街道の町は、人口14万人。伊勢が13万人。ほぼ一緒。ちなみに、観光客は伊勢志摩が1000万人強に対して、桑名を含めた北勢は1800万人(平成29年:出典三重県)。これは、ひとえに

・長島リゾート
・なばなの里。
・鈴鹿サーキット

という、一大行楽地があるからだ。特に長島リゾートは絶叫マシンめがけて全国から人が押し寄せてくる。しかし、これらはすべて郊外の立地であるため、来訪はほぼ車。桑名駅前が賑わっているかと言えば、全然そうじゃない。むしろ賑わっていない。桑名駅自体もどことなく昭和感が漂っている。ところが、小さい商店街がここは地味に生きている。まず行ってみて驚いたのがそこだった。

四日市屋旅館を9時にチェックアウトして出たすぐの総菜屋さんにもう鶏のから揚げが並んでいる。朝から唐揚げやで。近くに商店街があると言うので行ってみると、そこでもすでに総菜が並び始めている。八百屋も魚屋もあって開店直後のあわただしさだ。桑名は寺の町らしいので、仏壇屋や仏具屋も多い。だが待て、これは最後の最後、商店街の最後の輝きというものではないだろうか。つまり店をやっている人は年寄りばかりで、その年寄りが死ぬことで同時に店もなくなっていく…という、よくある地方の商店街。

ところが、中には若い店員さんもいる。和菓子屋さんも若奥さんでいい感じだ。お客は多いかと言われたらそうでもないが、なんとなく底力を感じる。桑名駅前もそんな感じだった。飲食店の充実具合もさることながら、居並ぶ昔ながらの小さい店を愛する地元住民を肌で感じる。この桑名駅前の「桑栄メイト」に関する記事を福田ミキさんがいくつか書いてみえるので、ぜひ。

桑名舐めてました。すみません。ちなみに、お昼はここのドムドムで食べました。こういう場所を「長島リゾート」や「なばなの里」へ行く人が訪れるとは到底思えないけれど、飲食店としてのポテンシャルはどこもかなり高そうだ。一般的な地方の駅前にありがちなのは、

・【チェーン店】が(地元の人)に《本部から来たもの》を提供している

例えば「マクドナルド」や「サイゼリア」「スターバックス」など。
ベッドタウンなどは特にそれが顕著。それから、一大観光地の駅前の場合。

・【観光客を見込んだ地元大手】が(観光客)に《特に感動的でないものを高い値段》で出している

というのもある。昭和時代に隆盛を誇った大観光地にありがち。なんとなくぼったくられた気分になるが、他に店もないため諦めがち。こうなると、むしろチェーン店のほうがまだマシと思うことも。

また、

・飲食店そのものがない。飲食店どころがコンビニもない。

私の乗り降りする駅も含め、日本のほとんどの駅前がこの状態だろう。これを読んでいるあなたの駅もそうかも知れない。

そんな中、観光地過ぎず、人口も少なすぎず、ベッドタウンでない場所。いや、桑名は完全に名古屋のベッドタウンなんだけど、どうも名古屋に通っている人は山の手在住でバス利用、あまり鉄道を利用しないらしい。それで、この駅前のほどよい状態がここまで残されてきたのかも知れない。羨ましい限りだ。伊勢の駅前はここまでの密集度、充実度はない。しかし、胃袋は一個しかないので、今日はドムドムだけになってしまう。

「ここの餃子も有名なんや」

と、すでに何度か桑名に通っている武司くんは自慢気に言う。この「桑栄メイト」は8月に取り壊しが決まっているらしいので、それまでにまた来るようにしよう。

ちなみに福田さんのニカイとはこういうところ。今回は、もうひとつFukimochiさんという場所も行ったのだけど、それはまた別の機会に。

----------------

車なしの生活になって

第17日目
交通費 1220円(桑名-伊勢市)220円(伊勢市-朝熊)
出会った人 福田ミキさん、イコマさん
おやつ なし
できごと 「花吉」で〆会。松阪肉幻のハラミ(1500円4切れ)めちゃおいしい。伊勢で松阪肉食べるなら、絶対にここ。
歩いた時間 80分


サポートありがとうございます!旅の資金にします。地元のお菓子を買って電車の中で食べている写真をTwitterにあげていたら、それがいただいたサポートで買ったものです!重ねてありがとうございます。