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多動と言われるADHDだが

もう少しADHDの話を続けることにしよう。ADHDの診断を受けて、私はすぐに知人のビール会社社長に連絡を取った。彼は自他ともに認めるADHD社長で、FaceBookでも時々ADHDの話題をちりばめたお茶目な投稿が目を引いた。例えば本に夢中になっていたら名古屋で降りそびれて京都まで行ってしまった、これで3回目。みたいな投稿だ。

「あはは、それはさすがにないし。ADHDってのは大変だな、あはは」

などと思っていた私である。彼はADHDをひとつの特性としてとらえ、実に前向きに日々過ごしており、おおいに励まされると同時に知人である成毛さんの本も紹介してくれたのでKindleで読んでみた。読んでみると「ADHDを受け入れ楽しむくらいで行こう。むしろADHDでよかった」という内容だったが、ダメ人間の烙印を押されたばかりの私には(それはそういう態度が許される人だけの特権だよ。家のことや自分が不得意なことは全部奥さんや周りがやってくれるじゃないか、こちとら全部自分でやんなきゃなんねえんだよ)と卑屈になるばかりである。

さて、ADHDの特性として多動というのがあるのだけれど、この多動を具体的に示してよく言われるのが「学校の教室で座っていられない」だったりする。さすがにこれはない。もし私が学校の教室で立ち歩いていたらもっと早くにADHDと気付いてもらっただろうか。あいにくその時代にはADHDなんて言葉はまだなかったからやっぱり気づかれなかっただろう。

だがこの多動という意味を「じっとしていられない」に置き換えるとまったく当てはまる。例えば、南の島でのんびりバカンスという機会が訪れたとしよう。私はこれができない。のんびりってどうやってやってるんだ?のんびりの方法が分からない。目に入ったものについてついつい考えてしまうし、音楽が鳴っていればその音楽を反芻してしまうし、このあとどうしようとか、帰ったら何しようとか、むしろ今なにしよう、とかいろいろ考えて行動を起こしてしまう。

でも、それって別にADHDじゃなくてもそうなんじゃないの?とか思うがどうだろう。なんでもかんでも「それはADHDだから」と言ってしまうのもどうかと思う。ただ、前にも書いたように思いついたら行動に移してしまう、これもADHDの特性と言われている。前の記事で「ADHDは止まっているのがデフォルト」と書いたんだけど見た目は止まっていても実は脳みその中は猛烈に回っている。

岩澤信夫さんの「究極の田んぼ」を読んだ時は日本不耕起栽培普及会に連絡をし、翌月には電車に9時間乗って高山村まで田んぼの農法講習を受けに行った。急にボイストレーニングを受けようと思い立ったり、急に店をすることを思いついてすぐ物件を探しに行ったりもする。初動は早い。初動だけが早い。そういう意味では多動というか、即動だ。

即動でやり始めたものがいくつもあれば同時進行で2つや3つ、時には4つも5つものことをやる。加えて頼まれたら断れないのもADHDだから、頼まれごとも入れて6つ、7つ、8つになる。これができるのは40代までだと思う。私は50代半ばで無理がたたって不調が一度に訪れた。よくよく考えてみたら、無理がたたったのではなく、今までと同じようにやっていたことで不調が噴き出した。

「今までと同じ」とは、夜は1時くらいまで起きてネットを見ていたり、寝る直前までお酒を飲んでいたり。食事も朝は取らないわりにポテチを間食で食べたりとか。農業やってるけど今は田んぼだけなので、ほとんど機械仕事で、たいして体を動かすわけでもないし、ウォーキングもやってはやめ、またやってはやめで、思い付きでしかやっていないとか、そんなんである。

気づけばいつまでも食べ物が胃に残っている感じがするとか、便秘が5日間くらい続くとか、すぐ眠くなるとか。なんか体がパッとしない感じが日常で増えた。それでも田んぼ、民生委員、町の役員、民生委員、三味線、老親の面倒を少し、民泊の運営管理もやって、時々は旅にも出て、などとやっていたのたけれど、結果的に仕事の量が膨らんで、すべてのバランスが崩れてしまった。

ネットで販売はコロナ禍であっても順調で、売り上げはぐんぐん伸びた。4人だったスタッフもコロナ明けには12人になった。困ったことだ。そもそも人と同じことをするのが嫌で独立しているわけである。それはひとりが気楽だからだ。それなのに、気づけば12人。外注の協力者も入れると総勢16人の人間をまとめる側に立っている。

話が違ってきたじゃねえか…

ひとりの気楽さはいずこへ。スタッフに仕事を振り分けるのも私、教えるのも私。製造部、配送部、店舗。3つを行ったり来たり。人の調整に追われ、慣れないマネージメントであっちを立てればこっちが立たず、金の工面も下手で、人件費節約になると思って無駄なシステムを導入してしまったり、使わなくてもいい金をたくさん使ってしまった。そんな中、私を圧迫したのは楽天の販促作業だった。よくも悪くもADHDは凝り性。やるとなったら徹底的にやるというのが仇になり、結果、勝手に苦しむことになった。

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ADHD(注意欠如・多動症)である私の散らかった思考がそのままマガジンになっています。日々書かれることに一貫性はありません。

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