苗の準備
お米の苗作りは、稲刈りの時にもう始まっています。来年使う籾種を選別するからです。しかし、これから稲作を始めてみようという人にはそれは高度な技。まずは苗を買うことから考えていきましょう。
野菜を作る時、普通は種を買ってきます。あるいは苗を使う場合もありますね。種はスーパーマーケットのレジ前でも売っているし、苗はホームセンターで買うことができます。しかし、稲に関しては、時期になっても種も、苗も普通には販売していません。
お米の苗というのは、普通に育てることが難しいとされています。なので、お米の苗を扱っている専門の苗屋さんから買います。
「やった!田んぼが借りられるみたい。よし!来月は田植えだゾっと」
と、いうことで、苗屋さんに電話をしてもですね。苗は買えないんですよ。苗はおおむね年内~1月いっぱいくらいに、「来年は○○箱ください」と、予約をしないといけないんですね。そりゃ、そうです。苗を作るには籾種の準備が必要で、それがどれくらいいるのか、などとちゃんと計画を立てて苗屋さんも作るわけです。第一、田植え時期を過ぎれば余った苗はまるっきり無駄になり廃棄です。苗屋さんも採算を考えてギリギリの量を作ります。だから突然思いついたように苗を買ってきて田植えができる、というものではないのです。
まあ、あまり広くない田んぼで、苗の枚数も数枚とかだと売ってもらえるかもしれません。しかし、基本的には予約です。来年の田植えはもうすでに始まっているのでございますよ。
ちなみに、父が初めて田んぼをやった年は、もう田植えの終わったよその田んぼにポイって置いてある余りの苗を掻き集めてきて、それで田植えをしたらしいです。まあ、かなり余裕を見て買っているところもありますから、みんなより遅れて田植えをすればそういうのもアリかも。
苗は1枚で普通800円(税抜き)くらいです。どれくらい必要か、というのは植え方で随分変わってきます。今回は家族4人で食べる1年間のお米を作る、と考えて、田んぼ1反の広さで考えてみましょう。
・ 田植機で植える場合 約16枚(12,800円)
・ 手植えの場合 約12枚(9,600円)
もちろんこれも
・ 何センチ幅(角)て植えていくのか
・ 何本植えていくのか
によって変わってきます。私は今年2,3本を手植えで尺角植え(30センチ角)にしたら5畝(1反の1/2)で5箱でした。これは私が冬期湛水不耕起移植栽培を学んでいる先生から買ったちょっと特殊な苗でしたから、普通の苗の場合は多分4箱で済んだかも知れません。しかし、尺角植えだと、ちょっと広すぎたので、来年はもうちょっと狭めて植えようかと思っています。
やる気のある方は自分で苗も育てたいでしょうが、最初は買うことをオススメします。なにしろ、失敗したときの精神的ダメージが大きいです。それに、失敗した時に苗の準備ができません。
しかし、普通の苗はもちろん沢山の除菌剤などの農薬が使われています。田んぼを自分で始めたい人は無農薬でやりたいでしょうか、まずは田んぼでお米を作る感覚を体験してからでも遅くないと思います。1年に1回しか作れないお米。ゆっくり付き合っていきましょう。