読み方
「ひとつのテクストと対峙するとき、読者はその背後に筆者の表象を想起する」
たとえば、この文章を頭の中で音にして読むとしたら、あなたはどんな声を人を姿を想像するだろうか。しかめ面をした中年男が壁一面の書棚を背景に、ロクロを回している姿だろうか。たとえば同じような意味の言葉でも、次のような書き方ならばどんな声を人を姿を想像するだろうか。
「ひとつのことばを読んだとき、読んだ人はそのことばの後ろに、書いた人の声や姿を思い浮かべます」
少し柔らかい雰囲気になったかもしれない。背景の書棚は白い壁と観葉植物になり、しかめ面は柔和な微笑みに変わった可能性がある。
「本とかを読むじゃん、そうすると、こんな人が書いたんかな〜って頭に浮かんでくるわけ」
一気に年齢が若くなり、服装もラフになる。背景は街のどこか、スプレーで落書きされたシャッターだろうか。なんにせよ、言っていることの内容がまったく同じようなものだとしても、私たちはその言葉の表層から感じとれる印象をもとに、その言葉を発した誰かのことを思いうかべる。
それが、いくつもの可能性と、結果に分かれていたとしたら。
リードロニカは、そのための実験場だ。
観客であるあなたは。膨大な選択肢の中からひとつだけの答えを手探りで探す。酩酊と混乱の中で、ある一定の法則により調整された声と声の重なりを体感し、ひとつの文章から生まれた、いくつもの声を同時に聴くことになる。
それはきっと、心地よいパーティの終わりごろ、わたしとあなたの境界がなくなる夜明け、まえの、あの感じに、似ている。
実演は2月23日(日)24日(祝)、新宿シアターミラクルにて。70分を予定。
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