三人目(セリフの書き方4)
セリフにはダイアローグ(対話)とモノローグ(独言)がある。このふたつの差は明白なようでいて曖昧だ。舞台に二人の人間を出して言葉を与えたらダイアローグになるかと言えば、そうではない。実は一人の人間(まあ脚本家だろうね)の、湿ったモノローグを延々聞かされるハメになることも、良くある話だ。
もちろん、優れたモノローグは、ある。誰に向けたものでもない言葉が観客の胸に穿ってきた穴の数は、数えればアルバートホール一つでは足りないだろう。とはいえ、対話の形で書かれたモノローグは多くの場合が退屈で味気なく、そして自家撞着的にヌルヌルとしている。なぜだろうか。
人は内面の対立を自覚できない。
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