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お前たちはまだサザエさんの本当のホラー回を知らない

普段、noteで気分的に小説とかを投稿している朝倉です

(初見の人、良かったら暇な時に小説も覗いて行ってね)

今回はかなり趣向を変えた記事を投稿しようと思う

今回の記事は一方的なサザエさん語りです

1.サザエさんと自分

朝倉、実はサザエさんに対してそれなりに詳しい
あくまでそれなりである、知識や視聴時期に偏りはあるので、サザエさんガチ界隈の人からしたらへなちょこの領域なのでガチ勢だと断言することはできない

磯野家の家庭事情やら親族やちょいキャラの名前、裏設定をある程度は把握してるし
サザエさん公式ホームページの「サザエさん検定」では全問正解する程度には知識がある
あくまでその程度である

そもそも朝倉の母が無類のサザエさん好きで、VHSが主流の時代から現在までほぼ毎週のサザエさんを録画して見ているヘビーユーザー

朝倉が産まれた日のこと、赤子を産むという大仕事を終えた母は、病室で好物のうどんを食べながら当時放送していたサザエさんを見ていたらしく、その瞬間がとってもホッとしたという話をよく聞かされた

そんなこんなでサザエさんへの愛を受け継いだ朝倉
乳飲み子の頃から今までずっとサザエさんを見てきた

未だに、辛うじて作動しているビデオデッキを無理やりいじくってVHSを見るほどにはサザエさんが好きである
とりあえず暇な時は1番気に入ってるビデオのサザエさんを再生する

サザエさんを視聴する度に、やれ「最近のこのストーリーは無理がある」だとか、「やっぱり演出は昔の方がパリッとしてる」だとか、「効果音の付け方が変」だとか
裏では何様やねんということを家族や友達に話している

ガチ勢のつもりはないが、サザエさんで育った身、ほっとく事ができない身近であり大切な存在であるため、生意気にも小言が止まらないのである
どの界隈にも言えるけど古参ファンほど斜に構えがちである

そんな中途半端にめんどくさいファンの記事にどうぞお付き合い下さい

2.インターネット上でのサザエさん

そんな朝倉が、ネット民に物申したいことがある
サザエさんのある回がホラーでは無いかという話が、YouTubeやTikTokというケツが青い若年層の巣窟…失礼、若者の最新情報の発信の媒体にて、話題になってる…というかネタにされている

2007年放送、作品番号5822
『こたつ依存症』

検索すれば、サザエさんのホラー回では!?という名目でこの話がヒットする
「サザエさんのトラウマエピソード」「都市伝説」「磯野家死亡説」など散々な言われようである

ストーリーは、城山昇先生が脚本を担当した季節を感じる内容
こたつが大好きな磯野家が、冬の日にこたつを中心に日常を繰り広げる、いかにもサザエさんらしい話だ

それが何故ネットの中でホラー扱いされてるかというと


寒夜にて、磯野家がこたつを抜けて各自布団に入って眠りにつく

電源を消された居間のこたつから、たまが出てきてくしゃみを1発
暗くなった居間に、冬空の如く寂しそうに映し出されるこたつ

そこに、こたつを囲って一家団欒で食事を取る磯野家の微笑ましい絵が浮び上がる……


とまぁ、こんな感じのラストである

この暗闇から家族団欒の絵が出される演出と、バックで使われてる寂しげなポク…ポク…と鳴るBGMから、不自然かつ意味深な終わり方をしている……という意味でネタにされているという

嗚呼嘆かわしい!ネット民が話題を作りたいだけのいじりだ!

※ここから、ネタにマジレスする悲しいオタクの独り言が続きます

例のラストシーンで使われたサウンドトラックは、ちょっと奇妙なオチにする時に使われる変わり種の曲なため確かに恐怖を感じる理由もわかる
場面が夜なのもあるし、深い意味を持たないオチだから不自然だなぁと思うことは何も否定はしない
だが、現実的に考えたら尺あまり、もしくは何かしらオチを付けようと無理やり入れた演出でしかない

奇妙に感じるのは分かる
だがそれをやれ「トラウマ回」だ「磯野家は亡くなったオチ」だ、ゴリ押しな話題性に持っていくのは納得がいかない

リアルアンパンマンとか筋肉モリモリドラえもんで笑ってる層が食いつく話だ

サザエさんアマチュアネット民め、サザエさんもそうだが国民的アニメの平和な世界で怖い話をしたら面白いと思って、やれネットでホラースレだ都市伝説だ繰り広げて満足しやがって…

そもそも、ニコニコ動画が流行り始め、YouTubeもまだ若干アングラだった時代からインターネット上でサザエさんはネタにされていた
コラ画像、ネタサイト、ネタ動画のオンパレード

ネット民の間で人気な「父さん発明の母」(2007年放送 作品番号5875)の、全自動卵割り機もあることだし

近年では、年々大きく離れてゆく時代感への議論がされていたり
穴子さんやノリスケおじさんのクズっぷりや、堀川という濃い天然のいじりなどで何かとネットで話題になるサザエさん

(どうでもいい話だが、個人的に堀川を君付けしたくない、昔のキャラクター性ならいいが、どうも昨今の堀川が苦手なのである)

ネタにされるからこそ、ガセネタや誇張ネタも多い
波平の収入は月収78万円だとか
大人たちは意外にも高学歴だとか(マスオの早稲田卒は本当である)

国民的アニメというものは、知名度が高い分、僅かな情報も広まりやすい
そして大衆に漠然としたイメージがあるからこそ「見てなくても分かるだろう」という意識が働いて、未視聴の層にも偏った知識が行き渡りやすい

名探偵コナンも、事件の背景を知らないまま犯人の動機を「くだらない動悸」と一蹴されることもあるし
クレヨンしんちゃんだって、ひろしのあるはずの無い名言が広まったこともある

3.激選!サザエさんの本当のホラー回(※個人の見解です)

有識者もどきとして言いたい、サザエさんにも、ちゃんとしたホラー回があることを

ホラー風味の話は、夏になるとチラホラと出てくるのだが
朝倉個人が特に推したい回がある
それは…

2002年放送、作品番号5151
『うちの座敷わらし』

朝倉が幼い頃に見たビデオに録画されていた話
当時、なんでも怖がりな年頃だったとはいえ、ちょっと身構えて視聴した回である


あらすじ

フグ田家寝室にて、マスオさんから「座敷わらし」が出てくる絵本を読み聞かせてもらっているタラちゃん

タラオ「うちにもいるですか?座敷わらし」
マスオ「さぁ〜どうかな〜?」
と親子のほのぼのした会話をしたのもつかの間

廊下からガサガサと誰かが移動した音が聞こえる

タラオ「座敷わらしです!」
マスオ「あはは、誰かがトイレに行ったんだよ〜」

しかし居間を確認しに行くと
お笑い番組を楽しそうに見ている磯野家全員が揃ってる

タラオ「みんないるですよ?」
マスオ「えぇ〜?」

そしてトイレに確認しに行って、扉を3回ノックすると…

ダン ダン ダン

何者かが内側からノックを返す…

タラオ「座敷わらしです〜!!」

トイレのノックを返した者の正体は?


…とまぁそれっぽいあらすじにしてみた

このノックの件を境に、磯野家は次々と奇妙な怪奇現象に出会う…

夏に放送されたホラーを意識した話で、全体的な演出もホラーテイスト

…とまぁ、ここまで説明されても、本編を見ないと具体的にどこがホラー回らしいのかはっきりしないだろう

ここから、朝倉のアニメ再現イラストを元に「うちの座敷わらし」をもっと具体的に紹介しよう
当時3:4の画面比率の映像を現在のテレビの画面に合わせているので全体的に画面が横長いのは目を瞑ってほしい

【怪奇現象その1】

トイレに誰かが居ると聞きつけて磯野家が全員集合


誰が入ってるのかは不明、鍵はかかってる
もう一度確認しようとカツオがノックを始める

ダン ダダ ダン ダン ダンダン

この瞬間BGMが止まるからちょっと空気が引き締まる

ダン ダダ ダン ダン ダンダン

またもや返されるノック!

サザエ「泥棒!?」
タラオ「座敷わらしですよ!!」

トイレの中にいたのは一体誰か……?

【怪奇現象その2】

その翌日、波野家にて談笑中のサザエさん
するとタラちゃんとイクラちゃんが
「ママー!イクラちゃんのお家に座敷わらしがいるですよー!」と何かを訴える

どうやら押し入れの中から声が聞こえるらしい

サザエ「お隣の話し声が聞こえるのよ」

タイコ「この押し入れはお隣側じゃないのよ?

危険を感じ、サザエさんはゴルフのパターを構えて対抗

サザエ「誰かいるの!?いるなら大人しく出てらっしゃい!

押し入れの中にいた"存在"の正体とは!?

【怪奇現象その3】

その日、波平が夕方に帰ってくると「さ、お入りなさい」と玄関に向かって一言

フネ「どなたかお連れがいるんですか?」

波平「あぁ、迷子になったらしいんだよ

しかし外を確認すると、誰もいない
波平が「おーい」と呼びかけても誰も返事をしない
波平に訳を聞くと

波平「表で泣いてたから連れてきたんだ」

サザエ「どんな子だったの?」

波平「タラちゃんより少し大きいくらいの男の子で、この辺では見かけん顔だった」

ワカメ「なんだか気味が悪い…」

するとタラちゃんが座敷わらしが出てくる絵本を持ってきて「こういう顔じゃなかったですかー?」と座敷わらしを見せる

波平「あぁ…似とらんことも無いが…」

タラオ「座敷わらしですよ!」

ワカメ「座敷わらし…!?」

その瞬間、急な場面転換

雨が降る夜の磯野家の前に座敷わらしが佇む

そのまま宙に浮き、磯野家の塀の上に登る

背筋を凍らせるようなおどろおどろしい音楽、暗くていつもの朗らかな絵柄とは違う劇画調でホラーな寂れた背景

ゆっくりと顔を上げて微笑む座敷わらし……

その瞬間、夢から目が覚めるワカメ

【怪奇現象その4】

座敷わらしの夢を見たから1人でトイレに行くのが怖くなり、カツオに付き添いを頼むワカメ
ワカメのトイレに付き添い、トイレの扉の前で待ってるカツオ

すると暗い廊下に響く、子どものすすり泣く声……

カツオ「ん、あの声は…!?」

ワカメ「お兄ちゃん!(トイレから出てくるワカメ)泣いてない座敷わらしが…!?

この泣き声の正体とは…!?

一体この話、この後どうなってしまうのか…

個人的には、この話を夏に再放送してもらいたいほどお気に入りの作品である
これに限らず、過去のサザエさんには本当にホラーとして話題になってもいいのでは?という演出がまだまだある

…ここからネタバレというか結論を申し上げると


はい、そうです、ホラーとかなんとか言いましたがやっぱりサザエさんです
全部気が抜けるようなオチです
だがそこがいい、それでこそサザエさん

タラちゃんは、座敷わらしに怯えながらも座敷わらしに興味津々
「座敷わらしとは幸せを運ぶ妖怪」
怖がる反面、座敷わらしが居て欲しいなと願うタラちゃんと
"我が家の座敷わらし"はタラちゃんだろうね、と微笑む磯野家なのであった

全体的に適度な緊張と緩和がある、見事なストーリー

これが、ちゃんとしたサザエさんのホラー回なのだ

4.サザエさんに求めるもの

歴史が長い分、昭和の風景を保ちつつ現代と大衆に寄り添わなくてはならないサザエさんという作品は、作り手の頭を悩ませる作品だとつくづく思う

どれだけネタにされようと、時代の変化に合わせようとも、朝倉はサザエさんにずっと求め続けてる変わらないものがある

それはファミリーアニメとして「世代別のキャラクターに共感性を持たせること」である

幼い頃はタラちゃんの目線で見て共感していた、サザエさんがタラちゃんに母親として声をかける時の声色の優しさに母の面影を感じていたし、フネには優しい祖母の印象を抱いていた

2人とも、実際の朝倉の母と祖母とは全然性格も世代も違ったのに、特有の温もりを感じたのだ

小学生になると、カツオやワカメの目線で見ていた、カツオやワカメの生意気な発言に、まるで同い歳の子と喧嘩するように本気に向き合っていた

世渡り上手で価値観も現代的なカツオだが、時にいたずらっ子としてワカメを泣かせてしまう場面に、実の兄貴の姿を重ね合わせていた

そして大人になり、まだ結婚はしてないが、サザエが美容を気にする姿、夫や父親の酒癖の悪さやだらしなさに呆れること、タラちゃんが心配になる母親心に共感するようになった

決して自分の家庭はサザエさんのような家庭ではなかったが、サザエさんがもう1組の家族のように見えていた
サザエさんは、今後も国民のもうひとつの家族として君臨し続けていて欲しい……





(蛇足)
自分が真面目に締めるのもなんか落ち着かないからふざけたオチを作ろうかと思って
今回制作したサザエさんのイラストをアレンジして、パステル調のゆめかわいいサザエさんのイラストをラストにドーンと載せようかと思ったが

小一時間イラストを制作したところで「こんなに真面目に語ってネットに物申してるのに自分もしょうもないコラを作るのか」と思い直しました、それだけです
でも今後ファンアートでそういう絵を描くかもしれないし描かないかもしれない…

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