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道東をめぐる旅

東北海道旅行 
2024年7月14日(日)
 ~7月18日(木)
 
航空機  小牧――札幌丘珠   
7月14日(日)FDA395便
 11:55~13:35
7月18日(木)FDA396便   
 14:20~16:10
 
宿泊
7月14日(日) 層雲峡
層雲峡観光ホテル 
7月15日(月) 阿寒湖
ホテル御前水(ごぜんすい) 
7月16日(火) 帯広(十勝川温泉)
笹井ホテル 
7月17日(水) 札幌(定山渓)
定山渓ビューホテル 
 

7月14日


14時過ぎにレンタカーに乗り込み、層雲峡へ向かう。
高速道路は渋滞もなく順調に進む。高速道路を降りて一般道に出ると、山の風景が広がる。しばらくすると、何度も縦長に削り取られたような岩の壁が、山肌に連続する景色が見え始める。その下には石狩川が流れている。
 
16時半ごろに、ホテルに到着する。
部屋の窓から川と車で見たのと同じような山肌が見える。バイキングの夕食を済ませて温泉に入る。岩の壁に囲まれた巨大な露天風呂があるが、混浴で、さらに水着を着て入るので、遠慮した。

7月15日


9時前に銀河の滝・流星の滝へ向かう。
車を降りると、中国語・韓国語が飛び交っているのが聞こえる。滝の近くでは中国人観光客がいろいろなポーズを取って写真を撮る。北海道の観光インバウンドである。日本人はそんな新体操のようなポーズは取らない。
銀河の滝は、木立にさえぎられて上の方だけ見えている。流星の滝は、真ん中付近まで見える。残念だが、2つの滝が並んで下まで見えるガイドブックの写真とは異なる。両方とも岩肌を滑り落ちる水は少量である。優しい滝になっているが、もっと激しくあってほしかった。

流星の滝
銀河の滝


 大函(オオバコ)は、川沿いにある岩の壁で、近くには鉄橋が架かる。
壁は大雪山の噴火の堆積物が固まってできた、ということである。層雲峡の景観は火山噴火の賜物なのだ。滝も渓流も緑の中なので、あまり映えない。紅葉の時期になれば色のバリエーションが楽しめるだろう。ここでも中国人の家族が一人一人ていねいに記念写真を撮っていた。珍しく彼らは静かに写真撮影をしていたのが印象に残る。

大函


山間の道をアップダウンして、広大な農地の間を抜けて、屈斜路湖を目指す。
美幌峠がビュースポットだ。「道の駅 ぐるっとパノラマ美幌峠」に車を停めて、展望台へ登っていく。巨大な湖がぼんやりかすんでいた。日本一のカルデラ湖である。大きな中島が見える。周囲にも山々が連なっている。緑と青の風景は霞に包まれていた。美空ひばりの「美幌峠」の歌碑で、何となく心が和んだ。歌は全く知らないけれども。

屈斜路湖


続いて、摩周湖へ。
第一展望台へ上がる。息をのむパノラマ。透明な湖に周りの山々が映る。すべての観光客が展望台に着くたびに歓声を上げる。ずっと見ていたい景色であった。布施明の「霧の摩周湖」の歌碑がなかったのは残念であるが、CDは売っていた。

摩周湖


さらに硫黄山へ。
なだらかな傾斜の白い土地が広がる。その先の丘陵で白い煙が上がっている。その下にはいくつか黄色く盛り上がった場所が見える。硫黄が燃えているのだ。白い土地はすべて、硫黄の燃えカスである。丘陵の周りには緑が残るが、やがて燃え尽きるのだろう。黄色い盛り上がりに近づくと、かすかに硫黄のにおいがする。その下で、沸騰した水が流れて出している。青空の下、白い傾斜地、黄色い盛り上がり、緑が残る丘陵、不思議な組み合わせの色合いだ。

硫黄山


 阿寒湖へ。
ホテルは阿寒湖のほとりにあり、観光船乗り場の近くにあった。観光は明日にして、夕食と温泉を楽しむ。部屋の窓から阿寒湖が見える。静かな湖で、周りは丘が連なり、さらに遠くには山々がそびえる。マリモはどこにいるのか。
 

7月16日


阿寒湖遊覧船に乗る。
2階のデッキで、風に吹かれながら景色を味わう。緑の小さな島々浮かび、遠くに、雄阿寒岳と雌阿寒岳がそびえる。背後から煙が上がる雌阿寒岳は活火山なのだ。途中でマリモ展示観察センターに立ち寄る。マリモの成長に関する展示や巨大マリモを見ることができた。再び遊覧船に乗り、今度は1階の座席に座って阿寒湖を眺めた。1階には、アイヌ文化の様々なオブジェが飾ってある。窓を開けると、風は強く、透明な水が波立っているのが見える。しばらくして、無事、「幸福の森」という名の桟橋に着いた。

観光船
マリモ


 「幸福の森」の近くの店で、マリモソフトクリームを食べる。
抹茶ソフトの中にマリモのゼリーが入っていた。マリモゼリーは甘かったが、マリモの風味は分からない。謎のソフトを食べていたら、テレビの「オモウマい店」に出演していそうな店主が、米粒を湖に投げ込んでコイを集めて、阿寒湖のコイの説明をしてくれた。透明な水の中で育ったコイは臭みがなく美味しい。確かにコイの刺身は昨日の夕食にも入っていた。
 
歩いて、アイヌコタンへ。
アイヌの村。商店や食堂があり、アイヌ古式舞踊の劇場などがある。観光施設なのだろうが、本来は、アイヌ文化を知る場所なのだ。村の入口にも店の前にも、動物たちの彫刻がある。自然と調和して暮らしてきた人々の心を感じることができる。アイヌ民族は、すべてのものに魂が宿る、と考えた。現代人が軽々と捨てた概念だろう。

アイヌコタン
アイヌコタンの店


 阿寒湖から帯広へ。
広大な田園が続く。○○農園の看板が続く。ジャガイモ畑、麦畑、タマネギ畑、トウモロコシ畑、菜花・・・左を見ても右を見ても、巨大な農園が遠く向こうまで広がる。そして畑の色合いが目を楽しませる。
巨大な農地に飽きてきたころ、道の駅「おんねゆ温泉」に立ち寄る。水族館もある道の駅だったが、「白い恋人」ソフトを食べただけだった。ソフトクリームは北海道を感じさせる濃厚さがあった。
昼過ぎになって、道の駅「ピア21しほろ」に立ち寄る。真新しい建物の中で、十勝の豆を原料とする商品が売られていた。白い「黄な粉」を不思議な気持ちで購入した。

農地は続くが、町らしくなってきた。
帯広市に入ったようだ。十勝が丘展望台に行くため、幹線道路を外れるや否や、風景は広大な農地に変わった。展望台からは、広大な十勝平野が見渡せる。十勝川が流れ、デザインされた橋梁が架かっている。広大な農作地が広がる。今夜泊まるホテルも見える。

展望台

ホテルで、夕食の後、モール温泉を楽しむ。泥炭から生まれた温泉で、茶色いアルカリ湯である。十勝川温泉はモール温泉で有名であり、その湯は北海道遺産になっているらしい。アイヌの人々は、薬の湯として重宝してきた。 


7月17日


山道を走る、走る。山越え、峠越えの連続である。
休憩する場所もなく、農協のスーパーへ入る。トイレを借りる。北海道のドライブは休憩場所を探すのに苦労する。トイレの御礼で、地元のパンと全国展開のコーヒーを買う。
 
さらに山道を走る。
夕張市に入る。メロンの町だ。道の駅「夕張メロード」に入る。「メロン熊」が迎えてくれた。クマの顔が縞模様のメロンからできている。キッチンカーに書かれている絵である。店内はメロン商品で溢れている。お客さんが多いのは、メロン熊のおかげなのかもしれない。

メロン熊


 突然、ソフトクリーム店へ。
札幌が近くなったころ、「あいすの家とエトセトラ」というピンクの店舗が目に入る。突入して、牛乳多めのソフトクリームを選んで買う。牛乳そのものを味わう感じで甘みは少ない。開店したばかりの店内の座席でのんびりする。本当に長いドライブに疲れてきた。北海道は広い。体感では愛知の5倍くらい広い。次の目的地にたどり着くには5倍の時間がかかる。そして、なかなか休憩場所が見つからない。
 
札幌に入ると道路がやたら複雑になる。
加えて、ナビの指示も不明瞭だ。苦労して定山渓にたどり着く。ホテルにチェックインする。巨大なホテルで、インバウンドの観光客や修学旅行生も迎えている。
 
部屋で休憩後、定山渓を見て回る。
美泉定山が開いた温泉には、カッパがたくさん存在する。「かっぱ大王」や「源泉公園のカッパ」をはじめ、いろいろなポーズのカッパにあいさつしながら、二見吊橋へ至る。赤い橋の下には豊平川が流れる。周りは緑だが、秋には赤や黄色になるのだろう。橋のたもとには、溺れてカッパになったという、伝説のカッパがいた。「かっぱ家族の願かけ手湯」で健康祈願して、ホテルへ戻る。

伝説のカッパ


 夕食には、信じられないほどの人が押し寄せていた。
中学生も、若者も老人も、中国人や韓国人も、少しばかり西洋人も。広いバイキング会場はカオスになっている。人々は料理を手に入れるため列をなす。席についても騒がしくてゆっくり食事を味わうことも難しい。北海道で初めてアルコール抜きの夕食になった。夕食後、露天風呂が工事中の温泉に入った。中学生の風呂タイムを避けて、11時過ぎに入浴できた。最近の修学旅行の消灯は何時なんだろう。
 

7月18日


丘珠空港に近いモエレ沼公園へ。
広大な公園だ。湿原から山までの敷地にオブジェが並ぶ。モエレ山を見ながらかなり歩いた後、ガラスのピラミッドが青緑にそびえたつのが目に入る。中には設計を手掛けたイサム・ノグチの紹介の展示もある。休憩所や売店もある。屋上に上ると、遥か彼方まで公園は続き、オブジェが点在している。あまりに暑くて、ピラミッドの中と周辺の見学で精一杯だ。

ガラスのピラミッド

昼になって、レンタカーを返却して帰路につく。

アイヌコタンの車
阿寒湖にて

北海道は広く、人知の及ばない場所もたくさんある。人間は自然を開拓して農業や牧畜を発展させてきた。それでも、人間は自然には勝つことができない。農地や街の向こうには、無限大の自然が広がっているからだ。
アイヌ民族は自然を愛し崇拝した。自然の魂を知っていた。自然と共存することを重視した。
この広大な北海道で感じたのは、自然と人間の関わりを再考しなければならないということだ。地球を征服してコントロールいていると考えているように見える人間は、年々高まる自然の脅威にさらされているではないか。

定山渓にて


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