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お客さんとごはんをつくる 7月27日(木)

 毎日暑い。
クーラーをつかわずとも、まずまずしのげるくらいだけど、いかんせん働くには暑すぎる(仕事も家事も)。

バランス的には1時間働いて、2時間休憩ぐらいがちょうどいい。休憩といっても「汗だくになりながら草刈り」や「渾身のラタトゥイユ作り」わたしにとっては「休憩」なので(もちろん昼寝や読書も)、まあ、なんというか、夏は休憩気分で働く感じ?

それでも昨日は体がだるくて、6時の夕食にお客さんをお招きしているのに、5時半まで横になって本を読んでいた(上橋菜穂子の『香君』)。

お客さんの到着まであと30分というところでようやく起きて、5分シャワー、ダイニングをさっと片づけて、たまっていた食器を洗った。

この時点でもう心は決まっていた。
「ごはんは一緒に作ってもらおう」

お招きしたのは、他県から去年移住してきたご家族。お子さんは小学2年生。さっそく一緒に庭に出て「お皿用の芭蕉の葉」と「お茶用のハーブ」を一緒に収穫してもらう。

芭蕉の葉をテーブルにおくだけで
南国気分

小学2年生のKちゃん。家でもきっと料理しているはず、とふんで、まずはインドのすり鉢で胡椒をつぶしてもらう。

笑顔が見えたので、うん、これはいけそう。次はまな板とナイフを渡して、プチトマトを20個ほどを8等分に切ってもらう。

Kちゃんのお父さんには、用意しておいたチャパティの生地を丸くのばしてもらう。チャパティは粉、塩、水だけでつくるインドの平焼きパン。雄一郎さんがチャパティを焼き、わたしはチリコンカン(トマトベースの豆とひき肉の煮込み。たぶんメキシコ料理)を作り始める。

材料は家にあるもので。特別な買い物をしないのがわが家の「おもてなしのルール」でもある。


おもてなし…ではなくて、これはまぎれもない共同作業…と思いながら、楽しんでくれているといいなと思う。

プチトマトを切り終わったKちゃんが「ほかにやることありますか?」とまっすぐな目で言ってくれたので、すかさず「ピーマンもお願い!」。横ではチャパティがどんどん焼きあがっている。

インドから持ち帰ってきたチャパティパンで焼く

最後は親子でチャパティを焼き上げてもらい、到着から1時間半、やっとごはん完成!

到着時にはまだ明るかった空は、もうすっかり暗くなっていた。

主食はインド、おかずはメキシコ

チリコンカン、サルサ(生野菜の刻みソース)、ハーブと唐辛子入りの焼き卵(子供はチーズ入り)、赤玉ねぎのスライス、チーズ。これらをそれぞれがチャパティに包んで食べる。

ほっそりとおとなしい印象だったKちゃんが、自分で焼いたチャパティをそのまま食べて「おいしい」と言ってくれて、すごくうれしい。

胡椒をつぶして、トマトとピーマンを刻んでチャパティを焼いて…と飽きずに手伝ってくれた様子を見て、彼女のあたらしい一面を見せてもらったように思う。

作業が丁寧で素晴らしかった

おしゃべりしながら、テーブルのあちこちから手が伸びて、積み重なっていた数十枚のチャパティがきれいになくなった。巻いたり包んだりする料理は、ひとりで作るよりも、何人かで作った方が断然おいしい。

デザートは雄一郎さんがひさしぶりに作ったヌガーグラッセ(卵白&生クリーム&キャラメライズしたナッツを凍らせた、アイスのような南フランスのお菓子)。食後は外に出て、末の子の自作望遠鏡で星と月を見た。

大人も子供も、それぞれに手を動かした食卓。それは、その日だけの記憶になると思う。そしてわたしは「一緒にごはんをつくってもらう」ことにすっかり味をしめてしまった夏の夜。


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