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沈黙は降伏③-反撃開始

年が明け、まず学部のAssistant Dean(副学長)に連絡を取りました。
おそらくアドバイザーから今回の一件を聞いているはずだけど、改めて「××教授について、お話したいことがある。面会をお願いします」と伝えます。

この副学長とは渡米前から長くやり取りしていて、とても仲良くしていただいていました。非常に親しみやすい方で、私が抱えていた困難や私の意向等々を的確に把握して、その都度助の手を差し伸べてくださっていました。メールでお願いやお伺いをしてもいつもすぐに反応が返ってきて、学内で直接お会いする機会は少ないものの、会うといつも気にかけてくれる。今回の件があって、すぐに相談先として頭に浮かんだのが副学長でした。

この時も、「あなたの頼みならもちろん、すぐにお会いしましょう」とメールが返ってきました。

会うと、副学長は「アドバイザーから聞いてはいるが、あなたの口から改めて事実を聞きたい」と仰ったので、順を追って一連の件を説明しました。

副学長は静かに聞いていましたが、すでにすべてを理解していたようです。

そして、「不幸なことだが、あなたが被害者であることは明白だ」と仰いました。「でも沈黙せず、訴えて来てくれてよかった」と続けます。

そのうえで「あなたはこのケースをどうしたいのか」と聞きます。

私は、じっくりと考えてきた要望を伝えました。

①成績のことはどうでもいい。本当は良くないけど、問題はもはやそこではなく、一連の教授の言動。
②教授からの謝罪と、なぜあのような言動を取ったのか説明を求める。
③今回の一連の出来事を、教授からの対応も含め「公的記録(書類)」に残す。
④二度と起こさないよう、教授と学内での再発防止策を徹底する。

私の最大の目的は③です。
①のように、私が個人的に得た結果はどうでもよいのです(発端ではありますが)。むしろ今回のことで、不快に思う人がいる、黙っていないぞということを知らしめる「過程」にこそ、意味があると思いました。

授業は幸いすべてがオンラインだったので、全部録画が残っています。しかも、所有しているのは教授ではなく大学です。証拠も、私が労せずして豊富にあることがわかりました。

教授とやり取りしたメールも、すべてプリントアウトして副学部長に渡します。

副学長は「一か月ください。その期限までに、教授に一連の内容と対応を取るように伝える。必ずあなたに返事をするから、待っててほしい」と言いました。

私はホッとしました。期待通りの答えが返ってくるとは思っていないけど、
とりあえず学内でそれなりの立場にある人に事件を伝えることができた。対応も取ると約束してくれた。

何より、副学長が「あなたが被害者なのは明白だ」と言ってくれた。アドバイザーの教授のようになかったことにしようとしたりせず、事態を把握しちゃんと対応してくれようとしていることは、何よりもうれしかった。

少し気が軽くなり、とりあえず新たに始まった学期に集中しようとしました。

そして一か月と2週間が過ぎました。約束の期限から遅れ、ようやくアドバイザーの教授からメールが届きました。

そこに書いてあった、例の教授からの返信。

上記に記した、私のすべての要望に対し:

「質問の内容もその意味するところも、私は受け付けない。(年末に交わした)メールでのやり取りがすべてだ」

とだけ回答。

「教室内での発言の意図は?」との質問には、
「私の”コメント”は、迷える学生をサポートするのがすべての目的。それ以外に受け取られたなら、それもまたそこに”言語の壁”があることを示している」と回答。

さらに、再発防止の点だけ、「大学の言うことに従います」と殊勝な返事。

私から見て、誠実さのかけらもないばかりかさらに愚弄するような、木で鼻を括るような内容でした。

それなのに、この回答を転送してきたアドバイザーはこう言い募ります。
「もうすでに長々とメールのやり取りもしているし、この教授に改善策も指導したよ。アドバイザーとして忠告するけど、もうこのへんでよいのでは?」

はああああ?この回答のどこを取れば、私が納得すると思ったのか。そして最後の一言の意図は?私への圧力?

木で鼻をくくるような教授の回答は、おそらく訴訟リスクを意識してのものだと思います。教授の性格からしたらこのような回答を出すのは不思議でもなんでもないですが、それにしても一貫してるなあ…。

なんて、感心している場合ではない。

猛烈に怒りが湧いてきましたが、いったん冷静になろう。
考えに考えて、友人たちにも相談したうえで、アドバイザーに返事しました。

「到底、納得がいきません。誠実さのかけらも見当たりません。ここで妥協せよ、というあなたの言葉も悲しいだけです。これからの対応を考えます」

副学長にも連絡しました。
「教授の回答を見ましたが、納得できません。ここで終えることはできません。またご連絡します」

そして、友人マインダートが提案してくれた学内の「駆け込み寺」に、すべて連絡を取りました。

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