沈黙は降伏④ー頼れるオンブズマン
友人マインダートが提案してくれた「駆け込み寺」に、すべて連絡を取りました。
ところで、大学にこんなにたくさんサポート機関があったなんて初めて知りました!人種や国籍、ジェンダーへの偏見や差別に対応する機関も複数あるのですが、それ以外にも性被害・メンタルヘルス・金銭的困窮等々、それぞれのテーマに対応する機関があります。声をあげようと決めたら、それを支えてくれる仕組みがたくさんあるのです。
「これは…声をあげなければもったいない!」とすら思いました。
できればこういうところに頼らなくてもよい状況なのが最善です。でも、万が一の時はこのように頼れる場がたくさんあるのです。
すぐに返信が来たのは、オンブズマン事務局でした。
「大変な思いをしましたね。一度会って話しましょう」。
早速アポを取り、プリントアウトしたメール等々、資料をそろえてキャンパス内の事務局を訊ねました。
そこにはいたのは、ニールとギザの2人です。ニールは局長、ギザは人権問題等を学ぶ大学院生で、オンブズマン事務局での勤務経験も長いとのこと。見るからに2人とも沈着冷静、でも何でも受け止めてくれそうな頼りがいのある雰囲気で、緊張していた私は少しほっとしました。
私はこの時点でもまだ、「あなたが遭遇したのは差別でも何でもない。大したことじゃない」とばっさり切り捨てられるんじゃないか、とおびえていたのです。相手は教授だし、アドバイザーである別の教授は「妥協せよ」と暗に言ってきてるのです。及び腰になる気持ちも時々湧いてきます。
でも、副学長はああ言ってくれたし…、私は間違っていない!と気持ちを奮い立たせます。
当然ですが、ニールとギザは「大した事ではない」なんてことは一言も言いません。
まず、「起きたことを話してくれ」と言います。私はまた、起きたことを最初から話しました。私にとっては、できれば思い出したくない。1つ1つの言動や出来事を説明するたびに、胸が痛むし変な汗は出るし、明らかに苦痛で不快です。
でも、これをやらなきゃ周りに伝えることができない。伝えられなければ、「なかったこと」になってしまう。体温が下がるような気持ちをこらえつつ、話しました。
ニールとギザもすぐに状況を把握したようで、ここでも「あなたはどうしたいのか?」と聞かれました。
私は、前回副学部長に伝えた4つの要望に付け加えて、さらに
⑤大学にも事件を認識し、再発防止に取り組むということを公に表明してほしい
と言いました。
前回のアドバイザーの対応を見ていたら、やっぱり大学も”なあなあ”で済ませようとしているという空気が感じられたのです。副学長の思いはわかりませんが。SUは留学生も多く、このような事件が多発しては困ります。大学側としても、毅然と対応してほしいと思いました。
ニールとギザは、こういった事例に対する対処方法が複数あることを教えてくれました。
①オンブズマン事務局から、大学に被害を報告し対処を申し入れる。
②学内の人権救済委員会に被害を申し立てる→学外の公的機関から調査が入る→調査後、教授や大学への処分が下される、などです。
それぞれ、
①処理は早いが、処分に公的拘束力はない。
②処分は、公的拘束力もあり広報するので周囲への影響力もあるが、調査に時間がかかる(おそらく数か月)。処分も必ず出るかはわからない。
などメリット・デメリットがあることを教えてくれました。
私は①を取る、と伝えました。私が大学に所属しているのは、残り半年ほどです。その間に、結論を出したいと思ったのです。
でも、今後二度とこのようなことが起きないようにするため、教授にも大学にも、私が本気だということをわかってほしいと話しました。
するとニールは、大学院全体を統括する部署の副学長や、学内の「機会均等局」にも相談したらよい、と提案してくれました。今後、オンブズマンとともに再び大学側と対峙する際、彼らにも一緒に来てもらうとさらに大学側にプレッシャーを与えることができる…というのです。
前回、私が相談した”副学長”より、さらに上の立場の人に話を持っていくという意味です。それでだめなら次はもう、大学トップの”学長”案件になります。
さっそくまた、動き出しました。
授業も佳境で、単位のためにインターンも探さなければなりません。体調も悪くて、合間にクリニックにも定期的に通います。それらと並行しながら、学内の様々な立場の人に「相談に乗っていただけますか?」と連絡を取り、会いにいきました。
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