サバンナをお散歩
私は自分へのアクセス権限がない。
人の事は分かっても自分の気持ちが分からない。
誰かと会話する中で発した言葉で初めて自分の気持ちを知る事が多い。
定期的に会話してくれる人がいなければずっと自分が不明のままだ。
最近、プロ社畜の方とTwitterでのやり取りの中で自分がサバンナ思考タイプである事がわかった。
サバンナ思考の対極は動物園思考だそうだ。
やれる事にフォーカスして冒険をせず安定した人生の動物園思考。
リスクをかえりみずやりたい事にフォーカスする波瀾万丈のサバンナ思考。
まさか、そんな厳しい世界で生きているなんて自覚していなかった。
しかもそれは自ら選択した生き方らしい。
そういえば前職を辞める際、最終出社日だった忘年会でこんな事があった。
会場のレストランではスクリーンとマイクが設置されて簡単な出し物が行われていた。
そこに突然私が呼び付けられた。
酔っ払ったのかシラフなのか、社員全員から嫌われている社長がマイクを持ってなんか言っている。
「おーい、sowaさん前に出ておいで。彼女ね、2回離婚してるのよ。どんな気持ちなのか教えてほしいなぁー」
私のアンタッチャブルな過去について知る者は同じ部署の数人だけ。会場の空気がざわついた。
事情を知る先輩が
「無視していいよ」
と目配せしてくれたところで私は立ち上がり前に出て社長からマイクを奪った。
「この勢いで何回でも結婚しようとおもいまーす」
社長はポカーン。社員は全員で拍手喝采、励ましてくれた。
辛い。なんて辛いんだろう。
動物園で生きていけばこんな目にはあわなかったはず。
確かに、サバンナだ。
忘年会の帰り際、社長がさらに私の年齢をいじり始めたタイミングでそのハゲ頭をバチンと引っ叩いた。
お互い酔っ払ってるんでしょ?忘年会じゃん?
社長がまたポカーンとしてる間に仲の良かった人達と別れを惜しんだのだった。
動物園では社長を引っ叩く光景は見ないんだろうな。平和だな。
離婚も転職も年齢も、全てがヒリヒリとしんどい。
でも動物園の人たちの代わりにハゲ頭を引っ叩いてみんなを笑顔にさせるのは悪くないなぁと思ってしまう。
敵も多いけど味方も多いかもしれない。
いや、やっぱり味方はいないのかも。
たった1人なのかも。
それでも面白いと思う事に吸い寄せられながら広いサバンナを生きていればいつか気の合う相棒に巡り会えるかもしれない。
それくらいの希望は持っていたい。
無根拠で無謀な希望こそ、サバンナで生きて死ぬには必要なんだから。
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