NYは桁違い!(1)
オノ・ヨーコを知らないひとはたぶんいないだろう。それほど有名な彼女。NYに住んでいることはもちろん知っていたが、7年前始めて訪れたNYのマンハッタンで彼女と遭遇した。ダコタハウス近くのカフェの前だった。車いすに乗った彼女と、その車いすを押していた女性、それからもうひとり車いすのそばにいた男性。三人連れだった。最初は気づかなかった。ああ、車いすに乗ったひとがむこうから来るな、ぐらいの感覚。しかし、だんだんと近づいてくるにつれ、それがオノ・ヨーコだとわかった。思わず”「えーっ!?」と小さく叫んでいた。失礼な態度だったと一瞬思ったがもう遅かった。でも彼女はやさしく微笑み返してくれた。有名人を前にしたときの一般人の反応に彼女は長い年月の間に慣れてしまったのだろうと思った。
彼女が車いすに乗って生活していることも知らなかった。彼女はわたしにとっては世界のオノ・ヨーコなのだ。そのギャップに少しこころが傷んだけれど、彼女に遭遇してよかったと心底思えた。彼女のことをいろいろ批判するひともいるのだろうが、彼女の生きてきた道を素直に尊敬したい。それは今も変わらない。この小さな、でもわたしにとってはとても大きな経験をした場所には、不思議と誰もいなかった。有名なカフェの前だったし、人通りの多いNYの街なのに、その時は信じられないくらいに人がまわりにいなかった。一緒にいたわたしの妹と姪のほかには誰も。