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身体の動きを学んでみる3;筋力について(6)

筋肉の収縮様式についての続きです。

筋肉の収縮様式について:2

ダンベルを使った上腕二頭筋(二の腕の力瘤が出る筋肉;
肘を曲げる筋肉)の働きに関係する話を続けます。

前回記したゆっくりとダンベルをおろしていく時の
筋肉の収縮様式は?(下図)です。

肘をゆっくりと伸ばしていく

その前に、
素早く下ろす(肘が伸びていく)とどうなるでしょうか?
ダンベルの重さに加わる重力を利用して下ろせばいいので、
上腕二頭筋は特に働かなくてもダンベルは
自然と下に降りていきます(肘が伸びていきます)。

※あまりにも速く下ろすと肘を痛める危険性があるので、
上腕二頭筋がブレーキ役として/ストッパー的に働くことはあります。
しかし話がややこしくなるのでそのことは今は除外します。

では、ゆっくりと伸ばすとどうなるか?ですね。
ゆっくりと伸ばすということは、
ダンベルの重さに逆らって調整しながら
下ろしていく=伸ばしていく ということになります。

そのとき、
上腕二頭筋は伸ばされながらも収縮していることになります。
この収縮様式を遠心性収縮 (eccentric contraction) といいます。

前回、筋肉が縮みながら収縮していく様式を、
求心性収縮 (concentric contraction) と説明しました。
それとは異なる収縮様式ということです。

では、
求心性収縮と遠心性収縮のどこが異なるか?
筋肉の長さ以外に何があるでしょうか?

実は、
筋肉の長さと収縮力というのは一定の関係性があります↓

筋の長さー力曲線

ちょっと稚拙な図ですみません。
簡単にいうと、
筋肉が収縮して出す力は筋肉が長くなるに従い、増加する。
反対にいえば、
短くなっていくと収縮力は減っていくということになります。

物理的・生理学的には、
筋の長さが長くなっていくと再び収縮力は減っていくように見えます
(上図の水色の点線部分)。

しかし、
筋肉は一種の弾力性のある(ゴム/バネみたいな)性質を持っています。
※他にも粘りのある粘弾性という性質もあります。
ゴムを伸ばしていくと元に戻ろうという力が働くことは、
容易に想像がつくと思います。

筋肉も同様で、
収縮しかつ伸ばされるとその弾性力が収縮力に加わります
(上図の黄色線の部分が弾性力)。

結果として、
筋肉が伸ばされながら収縮している状態は、
縮みながら収縮している時よりも
強い力を生み出すことになります
(上図の赤色線の部分が 収縮力+弾性力)。

結論:筋力は、求心性収縮力<遠心性収縮力

次回は、この不等式を実際の場面(階段昇降)で
もう一度考えてみようと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
ではまた次回に。



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