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ドグマ・カルマ.マグマ 序章 ~追憶の椿女より~
まだ愛が愛だと世間から認識されていた頃、
私は椿で真冬の灰色に染まった空をただ見上げていた。
そこに通りかかった私よりも若い老夫婦が話し掛けてきた。
「なんて醜い花でしょう。燃やしてあげたいわ」
人間の言葉を知らなかった私は、
それを誉め言葉と捉えて、
ただ朽ちるまで咲き誇る事しか出来なかった。
今になって思えば、そんなセピア色に殴られた
写真のような日々が最も幸せだったのかもしれない。
009.リ・スタート
止まった時計の針は何処を指してる
上か? 下か? それとも過去か? 未来か?
僕等は僕等の正体を探して
ようやく辿り着いたのさ
さぁ、竜頭を回して再び始めよう
リスタート リスタート
僕等がもう迷わないように
リスタート リスタート
僕等が僕等であり続ける為に
廻り続けないといけないのさ
生きている限り、時間は戻らないのだから
努力が報われるなんて思ってないけど
始めから何もかも決まってる
007.それでも僕は忘れてしまう
なんとなく覚えているような
どこかで美化しているような
そんな頼りない記憶を犠牲にしながら
老い続けるのが人生なのか?
そんな悲観ばかりに包まれる前に
昔好きだった歌でも口ずさんでみればいい
あの頃の自分にきっと会えるから
その時にそっと尋ねてみよう
「これから、どんな人生を歩みたい?」
その答えが今からやらないといけない事
きっと僕は忘れてしまっているだけなんだ
忙しい日々なんかに、どうで
006.自由という名の正体
フォークに生まれたら
刺せばいい
スプーンに生まれたら
掬えばいい
明確な目的を持って生まれた無機質たちは
何も悩まないでいい代償として自由を失った
それなのに
何の目的も持たずに
生まれた僕たちは
限りなく自由であるはずなのに
勝手に自分たちで作った法律や組織に縛られて
昨日からの仕事に時間を殺され続け
「不自由だ」と嘆きながら職場に向かう
そのうち
視覚さえ、
触覚さえ、
味覚さえ、
嗅覚
006.エバーグリーン
まだ秋が秋だった頃
確かに僕は僕だった
言い訳するつもりは無いけど
確かに季節は殺された
大切なものはいつも失ってから気付くけど
それではあまりにも遅すぎる
ましてや取返しのつかないものなら
尚更
四季は三季となり、二季となり、最後の一季も消え去った
辺りは色彩を失い、空の青も森の緑も僕にサヨナラを告げてきた
取り残された僕の身体も徐々に機能を失い
最後には人間とサヨナラして思想だけが宇宙を彷
004.愛しき人類(詩)
自分の眼で世界の全てを見る事は出来ない
そんな当たり前の事をあえて言おう
生身の身体で体験できる範囲と距離は限られている
そんな当たり前の事をあえて言葉で表そう
この世界に鳴り響く雑音も
この街中に飛び交う会話でさえ
全ての音を自分の耳で同時に聞く事は出来ない
世界中の子供と握手する事も
当たり前のように見上げる月や太陽も
全ての感触を自分の手で触れる事が出来ない
そんな当たり前の事実を知っ
003.サレンダー(詩)
世界は僕の一部なんだ
僕は世界の一部なんだ
だから他人と比べても意味ないんだ
そんな他人すら僕の一部になってる
目を閉じて 深呼吸して
イメージして 世界と融ける瞬間を
あと何回捲れる世界のカレンダー
心は痩せ細るばかりだスレンダー
誰かに利用されっぱなしのシリンダー
すべて一つに繋がるまでサレンダー
諦める事じゃなく 認め合う事さ
争う事じゃなく 助け合う事さ
疑う事じゃなく 愛し
002.神殺しラプソディ
昨夜 紫の蜘蛛が 教えてくれた
この世界は 僕のものじゃないんだって
だから 僕は 蜘蛛を握り潰した
午前2時のパラダイス
飛び散る 液体は とても綺麗な
宇宙色した あの頃の夢
何故だか 涙が流れてた
そんな夢から覚めた夢みたい
この世界は 神様のものだとしたら
たくさんの神様で奪い合ってるの?
ならば 僕も仲間に入れてよ
躊躇う事なく 銃を撃つから
それくらい この世界が欲しいのさ
そう
001.人生の檻の中の・・・(詩)
4才の頃
私はまだ夢の中だった
6才の頃
私はまだ母の中だった
16才の頃
私はまだ父の中だった
24才の頃
私はまだ社会の中だった
39才の頃
私はまだ地球の中だった
58才の頃
私はまだ宇宙の中だった
69才の頃
私はまだ人間の中だった
73才の頃
私は最後まで檻の中だった…
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新年あけま
2023.年末のご挨拶
このnoteを使用する切欠が、今年の7月頃にこのサイトで
「創作大賞2023」に参加した事でした。
結果は散々でしたが。。。
それでも最後まで読んでくださった方が数名居られた事に嬉しくなり
何となく昔の詩をアップし続けました。
主に2007年~2010年頃に書いた詩ですが、
今更ながら振り返ると、この時期は自分自身の迷走時代だったなと
改めて痛感しながら詩を読んではアップしてました。
そんな僕の
168.能率の悪い歩き方(詩)
誰にでも 生涯忘れられない場所がいくつかある
何度も通った通学路 真冬に訪れた海辺
その場所ごとに忘れられない友人や恋人
もう死んでしまった人が居る
昔は嫌いだった言葉 「ありがとう」に助けられた
去った時間はもう戻らない
散った生命ももう戻らない
残された時間の間に間に
僕は何度も思い出すだろう
能率の悪い歩き方をしてきたせいか
僕は何度も思い出すだろう
誰にでも 生涯忘れられない場
167.飛び立つ頃(詩)
こんなにも冷え切った世界を温めて
何を孵そうとしているの?
あなたが思っているほど、世界は容易くないのに
何かを与えたのだからと言って
何かの見返りを期待する性格
あなたが何より嫌っていたはずよね?
でも今のあなたは鏡に映る自分よりも明確に
あなたの嫌いなあなたになっているわ
さぁ、飛び立ちなさい あなたが本当に帰る場所へ
さぁ、飛び立ちなさい その卵はあなたの物では無