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ある日のスケッチ【エッセイ】
確か一昨年の夏、弟家族が岐阜へ来たときのものだ。
岐阜市には百々ヶ峰という山があるのだが、実はその山が岐阜市一高い。
417メートル。
お遊び程度に登っていた頃があって、上から見晴らすと百々ヶ峰より南に金華山を中心とする連山があって(金華山、権現山、上加納山)、それ以南には山は一切ないのがわかる。
濃尾平野である。
昔付き合っていた彼を車で連れてきたことがあって、家へ帰る近道にトンネルを通ったら、動揺していた。トンネルを通るなんて、一体どこへ行くのかと。
岐阜市には山があって当たり前なのだけど、濃尾平野に住む彼にとっては(彼の家は蟹江にあった)衝撃的だったらしい。
閑話休題。
これはその百々ヶ峰の麓の広場で描いたものである。
昔はみんなでボール蹴りしていたのだけど、子どもたちが大きくなって、遊びの内容についていけなくなったため、一人でスケッチしていた。
一番上の甥っ子が「めっちゃうめー」と褒めてくれた。けれどうまくない自覚はあるので大丈夫。筆致で誤魔化しているだけである(笑)
私はものをそのまま写し取る能力が極めて弱いらしい。相貌失認という障害が実はあるのだが、それと関連があるのかなあと思っている。
子供の頃6年絵を習っていたのだがこの程度である。
どちらかというとデザインのほうが好きで、パソコンを使えば手先の無器用さも誤魔化せ、結果ウェブデザイン職に就いたのだった。
昔テレビで平山郁夫氏がカッパドキアを描いていたが、彼はなんと紙の端から描いていくのである。つまりそこから描き始めるとどこが真ん中に来て、反対側の端がどこになるのかイメージ済みで描き始めているということである。しかもパースに狂いもない。恐らく彼の頭には写し取った風景がそのまま保存されていて、それをプリンターで描き出しているような状態なのだろう。
気候もよくなってくるし、最近スケッチもしていないので、外に静かにとどまれるぐらいの気温になったら、またスケッチに出かけようと思う。