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光野朝風
2016年3月12日 07:44
人は汚泥の中でもがくのだろうか、と神村は思っていた。 今時珍しくペンと原稿用紙で小説を書き、昔なら三文銭と言えるようなわずかな収入を得ながら生き延びていた。もはや風貌は浮浪者とさして変わりはない。 神村清語というペンネームだが、これは本名の村上清志をもじったもので、清き言葉が神より降りる場所、という意味も込めていた。 たいそうな名前だが作品は売れず、売れないからと言って面白くないわけ