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小劇場・新劇の世界にこそ『真の俳優達』が居た

小劇場・新劇の界隈で活動する人とは、
(ふと思うのは今となっては何が「新」なのか分かりませんが 笑)

言ってしまえば商業ベースの活動には入り込めなかった、もしかしたら敢えてそうしなかった社会人・アマチュア俳優達、という括りに入ると思います。

何かしら別の仕事をしながら演劇活動をしているということですね。最近は仕事しながら演劇活動していますとネット上で公言している人も多くなってきました。

取り組む姿勢はまさに『プロ』だという人、劇団はたくさんおられますがそこに金銭的報酬が伴っていなければ世間の感覚からしてみればそう言わざるを得ないでしょう。

やはり『プロ』と名乗る以上はプロ野球選手のイメージも強いと思うので、その活動に専念させてもらっている上でそこに生活できるだけの稼ぎも入っているのが一般の人も納得する条件だと思います。

一方で私は前回の記事ではこう書きました。

演技」とは私の言葉で表すと、
今日もどこかで生きている、生活している一人の人間を舞台、カメラの前で再現すること、

だからまだ人生経験が浅い子供のうちから演技ばかり必死になって勉強しても、そこまで深みのある演技はできないし子役なんて成長すればすぐにできなくなるポジションなんだから、あなたなりの人生を先ずは送ってみたらどうだろうか?

みたいな記事から出た言葉です。

俳優とは、

今日もどこかで生活をしている人物を舞台、カメラの前で再現するのが仕事である

なら俳優自身もどこか人間味溢れる、親近感がわく外見の方が本来であるなら望ましいのですが・・・現実はそうはなっていないかもしれません。

このnoteではビジネス視点で見れば、売れるためには?を考えれば容姿が優れているのはもはや必須条件である、みたいなこともこれまで何度も書いてきました。

が、芸術的な演劇を追求する観点、質の高い作品を作るという考えに基づけばそんな美男美女ばかりいても仕方がないだろう、とも言えるわけです。

だって芸能人みたいな圧倒されるオーラのある人って身近にそうそういませんよね?学校、職場に一人か二人いればいい方です。その人でさえ芸能オーディションを受けたらどこかのタイミングで落とされる確率の方が高いくらい芸能人・俳優として売れるとは狭き門なのです。

対して質の高い演劇作品とは多くは『普通の人』が登場して物語を展開していくわけですからイケメン、美女ばかり集めてもしょうがないわけです。(もちろん何人か華として登場させるのは良いので必要ではあると思います)

洋画など海外作品の映画をよく観る人であれば登場人物の外見、身なりを見て何度も「こういう人いそうだな〜」「生々しいな」みたいな感想を持ったことはあるのではないでしょうか?

主人公は正社員にならないままスーパーでアルバイトで働いている店員らしい、学校でいじめにあって不登校らしい、うん、いかにもそんな人生が滲み出ていると。

そんな客の人生の中で似たような境遇の人と会ったことがある、自分がまさにそうだ、そんな人物達を登場させて物語を展開していくのが演劇作品なのですが日本の大衆向け作品、地上波のテレビドラマだと全くないわけではないですが、こういう風に感じる作品は少ないです。

それよりも俳優がかっこいいと思えるような作品にしているように私は感じます。

うわ、俳優さんよくこんな役を演じられるな〜すごい」と俳優がぐちゃぐちゃになるような役はあまり出てこないってことですね。

自分はこんな演技できないわ・・・」と圧倒させるよりもむしろ「自分もこんな役をやってみたいな〜」と美味しい、楽しそうなシーンばかりが登場するのが日本の一般人がよく目にする演劇コンテンツではないでしょうか。

・初めて小劇場・新劇の舞台を観て・・・

私は思いました。この人達こそ『本物の俳優』だと。
先ほどこの界隈で活動している人は社会人・アマチュア俳優だとマイナス評価と取れることを書きましたが、本来の、理想とする俳優像と照らし合わせればこの人達こそ真の俳優だと言うこともできるのです。

なんせ多くの人達はどこかにいそうな普通の人達なので。

他にも癖のある、面白い俳優が見られるのもこの界隈です。

そうです。演劇作品とは今日もどこかで生活している人の人生を表現することであるなら殆どが『普通の人』が登場するはずなんです。出演者、全員が広瀬すず級の容姿だったら正直、芸能界を題材にした作品でもない限り現実感がわきません。

探せばどこかにいそうな人物を舞台で再現する、それが当たり前に行われていたのがこの界隈だったわけですね。

そういう意味では私が俳優としてこの世界に惹かれたのも必然だったのかもしれません。純粋な演劇活動が行われているのがこの世界だったので。

小劇場、新劇の魅力はそんな演劇、本来の姿を見せてくれることなのかもしれません。たとえ大好評でチケットが完売しても商業的には大きな儲けにはならなく本当にお芝居が好きな人だけがやっているのでほんと純度の高い演劇が観られると思いますよ。

ただそれでも多くは実績はないアマチュアであるのも事実なので、ハズレもたくさんあることもご了承ください😓 また少ない予算でなんとかやっているので豪華な商業演劇コンテンツを見慣れてしまっている方々からしたら視覚的に物足りないとも思うかもしれません。

それでも、

俳優、演劇の原点ってここだよな、

とも思わせてくれます。

スポンサーや大企業の意向が絡まない、演劇人たちが面白いと思ったものを形作ったのがこの世界だと思うのでこれからもここから素晴らしいクリエーターが出てくるのではないでしょうか。

では今回は以上になります。ここまでお読みいただきありがとうございました。


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Asakawa@エンタメ×ビジネス
高いお金を払ってプロの俳優・声優を育成するとうたっている学校や養成所に入っても大事なことなのに教えてくれないことを日々、発信しております。正しい認識を持ってこの分野を目指してもらうためにご覧になった記事がためになったと思われた方はよろしければサポートをお願いします。